「ツーリズムEXPOジャパン2016」グローバル観光フォーラム・テーマ別シンポジウム開催
ツーリズムEXPOジャパン推進室
「ツーリズムEXPOジャパン2016」
グローバル観光フォーラム9月22日(木・祝)・テーマ別シンポジウム <海外旅行・訪日旅行・国内旅行>9月23日(金)開催
■グローバル観光フォーラム「基調講演・基調シンポジウム」
「輝き続ける日本、そして世界―インバウンド4000万人時代の交流大国を目指して」
日時:2016年9月22日(木・祝)14:00~16:00/会場:ベルサール東京日本橋 B2Fホール
公益社団法人 日本観光振興協会(日観振)と、一般社団法人 日本旅行業協会(JATA)が共催する世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2016」(会期9月22日(木・祝)~9月25日(日))の9月22日(木)、ベルサール東京日本橋で「グローバル観光フォーラム」を開催しました。
グローバルツーリズムの継続的な成長の中、日本における2015年の訪日外国人数は約2000万人を記録し、今後もさらなる増加が期待されています。一方、国連世界観光機関(UNWTO)の発表では、世界的にも国際観光旅行者数は年率4~5%の成長が期待され、2030年にはその数は30億人に達すると予測しています。
こうした状況のもと、持続可能な成長を実現するためには受け地において、いかに調和のとれた観光開発を進めるかがグローバル共通の課題となっています。
同フォーラムでは「輝き続ける日本、そして世界―インバウンド4000万人時代の交流大国を目指して」というテーマのもと、まずグローバルツーリズムの官民の両巨頭であるタレブ・リファイ氏(国連世界観光機関UNWTO事務局長)、デイビッド・スコースィル氏(世界ツーリズム協議会 CEO)が登壇し、日本、そして世界の持続可能な観光発展について基調講演を行いました。
その中で、リファイ氏、スコースィル氏が共通して訴えたのは「観光の開発・発展には責任が伴う。 観光産業に携わる全ての人が、世界の平和、観光開発、すべての人が旅することが出来る権利に重い責任を持っているという認識を共有していなければ、今後の成長はあり得ない。」ということでした。
続く基調シンポジウムでは、本保芳明氏(首都大学東京特任教授、東京工業大学特任教授)をモデレーターに、パネリストに基調講演者二人と、ヴィジャイ・プーヌーサミー氏(エティハド航空副社長、国際・広報担当)、クリスチャン・マンティ氏(フランス観光開発機構ジェネラル・マネージャー)、田川博己(JATA会長、WTTC副会長)を迎え、日本および世界の観光地開発に求められる成長戦略について論議しました。
ここでは、プーヌーサミー氏からは 「デスティネーションに対しては航空が大きな可能性を提供する。両者が パートナーシップを作り上げていくことは極めて重要だ」、マンティ氏からは「現在、世界の観光産業にとってセキュリティ、セーフティが大きなチャレンジとなっている。このことを忘れては今後の持続的な成長はあり得ない。」、さらに田川氏からは「日本ではデスティネーションの偏りがあり、地方分散をいかに進めていくかが大きな課題である。また、デスティネーション開発にはDMO機能が求められると同時に受け地側からの情報の発信力が必須となる。」との意見が出されました。
■海外旅行シンポジウム「日本における海外旅行の将来」
日時:2016年9月23日(金)10:00~11:30/会場:東京ビッグサイト 会議棟605/606
公益社団法人 日本観光振興協会(日観振)と、一般社団法人 日本旅行業協会(JATA)が主催する世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2016」(会期9月22日(木・祝)~9月25日(日))の9月23日(金)「海外旅行シンポジウム」を開催しました。
海外旅行自由化から半世紀が経った今、日本の旅行会社は商品開発、市場開拓などを通じて海外旅行市場、日本人の旅行スタイルを創り上げてきました。
このシンポジウムでは「日本における海外旅行の将来」とのテーマのもと、菊間潤吾氏(JATA副会長・株式会社ワールド航空サービス代表取締役会長)をモデレーターに、高橋広行氏(株式会社ジェイティービー代表取締役社長)、平林朗氏(株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役社長)、松田誠司氏(株式会社阪急交通社代表取締役社長)の3氏がパネリストとして登壇、海外旅行の未来を展望するとともに、旅行会社の役割・存在意義を再確認し、海外旅行復活に向けてディスカッションを展開しました。
ここでは、日本人海外渡航者数は、2012年の1849万人をピークに減少傾向が続いているものの、訪中韓を除くと微増傾向で、円高が追い風となり2016年以降の拡大が見込まれます。中でも、団塊世代の本格的退職もあり、60歳以上のシニア世代や、2016年に入っての伸びが目立つ16歳~29歳の若者世代、さらには海外旅行経験者の約半数を占める旅行経験10回以上のヘビーユーザーへの働きかけが不可欠であることが明らかにされました。
そして、そのためにはターゲットに応じた商品企画やキャンペーン、LCCによる国際ネットワークの拡大、LCCの国内ネットワークにおける地域マーケットの掘り起こしが重要であることが示唆されました。
シンポジウム後の記者会見では、登壇者4氏が出席し、海外旅行市場の復活に向けて記者らと活発な意見交換が行われました。
■訪日旅行シンポジウム「持続可能な地域誘客」
日時:2016年9月23日(金)13:00~14:30/会場:東京ビッグサイト 会議棟605/606
公益社団法人 日本観光振興協会(日観振)と、一般社団法人 日本旅行業協会が主催する世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2016」(会期9月22日(木・祝)~9月25日(日))の9月23日(金)、「訪日旅行シンポジウム」を開催しました。
日本においてより一層の訪日客を拡大していくためには地方誘客が不可欠です。
しかし、現在、訪日客はゴールデンルートを中心とする地域に集中し、昨年の年間平均客室稼働率において、都市ホテルやビジネスホテルは70%以上、リゾートホテルが50%を上回っているのに対して、地方観光の主役ともいえる旅館は37%と厳しい状況にあり、地方への分散、地方への誘客が緊縛の課題となっています。
そうした中、本シンポジウムでは「持続可能な地方誘客~日本旅館と地域のコラボレーション」というテーマのもと、平田真幸氏(日本政府観光局[JNTO]海外プロモーション部特命事項担当部長)をモデレーターに、植田佳宏氏(ホテル祖谷温泉 代表取締役社長)、タイラー・リンチ氏(戸倉上山田温泉 亀清旅館 宿主)、水谷初子氏(株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル 執行役員グローバルマーケティング第一事業部長)、井川今日子氏(株式会社観光文化研究所 専務取締役)の4氏がパネリストとして参加、地方に数多くあり日本の観光魅力の粋を体現する旅館が周辺の地域と連携して、インバウンドビジネスを発展させていくためにはどうしたらいいのかについて、「外国人目線で見た日本旅館の魅力と改善点」、「誘客における旅館と地域の連携の方策」、「中長期にわたり継続的に海外から観光客を誘致するための方策」の3点に関して積極的な議論が行われました。
その結果、今後は
・世界でも優れた観光資源の旅館と地域が連動した個性的な魅力の磨き上げ(ブランディング)
・旅館と地域が連携したリーダーシップの発揮
・リピーターや富裕層の満足度や主要客である日本人の国内観光客の重視
・観光資源・施設が少ない地域での工夫(季節限定の飲食施設・イベント、周辺観光地の巡回バス等)
・日本人が外国人客のニーズを理解し、ビジネスに反映させるための海外旅行体験の重要性が示唆されました。
■国内観光シンポジウム「ガストロノミーツーリズムで地域を元気に」
日時:2016年9月23日(金)15:30~17:30/会場:東京ビッグサイト 会議棟605/606
公益社団法人 日本観光振興協会(日観振)と、一般社団法人 日本旅行業協会が主催する世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2016」(会期9月22日(木・祝)~9月25日(日))の9月23日(金)「国内観光シンポジウム」を開催しました。
日本食は近年世界中から注目を集めていますが、食そのものを主目的とするガストロノミーツーリズムは地域の一次二次産業にも大きな影響を与え、地域を活性化する大きな力を秘めています。今回のシンポジウムでは「ガストロノミーツーリズムで地域を元気に」をテーマに、欧米では大きな動きとなりつつあるガストロノミーツーリズムの世界の潮流を紹介するとともに、日本における可能性や課題を展望するため、基調講演とパネルディスカッションを行ないました。
ヨランダ・ぺルドモ氏(国連世界観光機関[UNWTO]アフィリエイトメンバー部門長)の基調講演では、同氏の指揮のもと、早くからガストロノミーツーリズムの重要性に着目し、世界の先進事例を発信しその普及に向けた国際会議やネットワーキングを推進し、またパイロットプロジェクトを通じて得られた知見を体系化しさらに発信を行う活動を行っているUNWTOの活動を紹介いただきました。ツーリストの指向や社会の変化がこのガストロノミーツーリズムにうまく合致してきていることを指摘されるとともに、地域の魅力を個々人がガストロノミーツーリズムを通じていかに体験できるか、またその際に必要な要件などの事例をあげていただきました。特に地域が魅力・特性を備えることの重要性、そしてそれをいかに発信していくか、そのための組織やリーダーシップ等、海外の事例や課題を挙げていただきました。日本の各地には大きな食の魅力があるなか、同氏の指摘により課題が明確となりました。
続くパネルディスカッションでは、モデレーターの小川正人氏(株式会社ANA総合研究所 代表取締役副社長)の司会のもと、ぺルドモ氏を含む5名のパネリストが登壇。まず、ぐるなび株式会社の代表取締役社長・久保征一郎氏からは同社が日本の食文化を守り続ける企業使命のもと、食と観光を通じた地域の魅力が人とモノを動かし、さらに生産者や料理人・シェフを応援し食材にも光を当て、地域を発展させる取り組みをご紹介いただきました。
新潟市の篠田昭市長からは、行政の視点から新潟におけるガストロノミーツーリズムの取り組みをご紹介いただき、食と農と文化をいかに融合させて人と地域と世界をつないでいるのかについて語っていただきました。ピースキッチン運動によって、農家さんに光を当て、意欲ある料理人をつなぎ、新潟から食文化を発信しようという積極的な運動や、また小学生を対象とした食育や農業体験の取り組みについてもご紹介いただきました。
次に、日本で13しかないミシュランの星付旅館でもある浅田屋を金沢で経営されておられる株式会社浅田屋代表取締役社長・朝田久太氏より、金沢の料理人と海外の料理人との交流の様子をお話しいただきました。インバウンドの旅行客を取り込むことは避けては通れないという認識のもと、金沢ではミシュランやザガットといったレストランガイドにおいて高評価を得ているニューヨークの気鋭のシェフたちとの交流を有志の手弁当で行い、その結果日本料理を学ぶなら日本の金沢でという流れを作ることによって結果的に金沢の知名度があがりに日本食の地位向上につながる点を指摘いただきました。
最後に、佐賀・鹿島の造り酒屋である冨久千代酒造社長兼杜氏の飯盛直喜氏より、日本酒や地方の酒蔵を取り巻く現状が厳しいなか、まずできるところから始めた地元での酒蔵ツーリズムの取り組みで人口3万人の町に1日で3万人の観光客が訪れたことが地域に驚きと元気、自信を与え広域での取り組みにまで広げ、食文化や有田焼に代表される焼き物、旅館に裾野を広げ地域を元気にしていくストーリーを語っていただきました。
この後パネリストの間で意見交換がなされ、ぺルドモ氏が最後に日本のガストロノミーツーリズムには成功の要素がそろっており、課題としてはコミュニケーションと情報発信が大事であり、プランと工程管理、またステークホルダーとともにバリューチェーンの確立が必要である点をまとめとして総括いただきました。
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