水産物・水産加工品の輸出拡大に向けた海外市場調査結果を発表
水産物・水産加工品輸出拡大協議会
アクセンチュア株式会社
水産物・水産加工品の輸出拡大に向けた海外市場調査結果を発表
次なる市場として有望なイギリス、タイ、マレーシアへの輸出拡大に向け提言
【東京発、2016年2月16日】
アクセンチュア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:江川 昌史、以下アクセンチュア)は、水産物・水産加工品輸出拡大協議会(会長:齋藤 壽典、以下輸出拡大協議会)からの委託を受け、「水産物・水産加工品の輸出拡大に向けた海外マーケット調査」を、輸出拡大協議会との連携のもとに実施しましたので、その結果を発表します。
輸出拡大協議会は、農林水産省が公表した「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」の達成に向けて設立された団体であり、本調査は、輸出拡大協議会の会員である国内水産物取扱企業各社が、輸出拡大を進めるにあたって指針となる情報を提供することを目的として実施されたものです。
本調査の実施にあたっては、輸出拡大協議会での協議を経て、高付加価値水産物・水産加工品の消費状況やニーズを踏まえてイギリス、タイ、マレーシアの3カ国を次なる有望市場と設定しました。アクセンチュアと輸出拡大協議会では、それぞれの国に関して(1)水産物・水産加工品ニーズと市場動向、(2)流通構造と販売形態、および(3)効果的なプロモーション方法について調査し、輸出拡大に向けた提言を取りまとめました。
各国の調査結果の概略
■イギリス
(1) 水産物・水産加工品ニーズと市場動向
マグロ、サーモン、白身魚を中心に、寿司・刺身をベースとしたフュージョン料理が広まりつつあり、「安価な中食」として持ち帰り・デリバリーのニーズが増加。イギリスを含むEUでは、食品安全に係る衛生管理基準「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)」の認証/登録を取得した漁船、養殖場、加工場、市場の水産物・水産加工品の輸入のみが許可されており、該当施設数が少ない日本は、輸出量が限られ、価格も高価である。そのため、大衆店はより輸出可能量が多く、価格も安価な欧州、中国産を扱っており、日本産の水産物の利用は高級日本食店のみに限定されている。
(2) 流通構造と販売形態
イギリスでは、日本産水産品の大手輸入業者の4社が小売・外食の卸先を寡占して消費者ニーズを的確につかんでいるため、まずはこれら4社の信頼を勝ち取るための営業提案が必要。
(3) 効果的なプロモーション方法と輸出拡大に向けた提言
特定の大手輸入業者がイギリス国内の商流の要であり、また輸出業者との密なパートナーシップを望むため、彼らのニーズを満たすテーマや品目を限定した小規模イベントや、日本への招請を行うことが重要。評価の高いブリを主軸に、地域ブランド等稀少感の演出や、フュージョン料理レシピの提案が有効である。併せて、イギリスにおけるニーズの広がりを日本の生産者、輸出事業者等にアピールし、EU-HACCPの取得を促していかなければならない。また、輸出入や認証に関する手続きの確実性、情報の透明性を訴求して信頼関係を築く努力が必要。
■タイ
(1) 水産物・水産加工品ニーズと市場動向
国内消費は主に外食であり、淡水魚、サバが主に消費されているが、近年ノルウェーサーモンなど、脂ののった魚の人気が急増し、レストラン数では日本食は現地食に次いで2位の規模。日本産水産物は、高級店から大衆向けチェーン店まで幅広く取り扱われており、脂身のあるハマチ、中トロは日本語名称で呼ばれるほど浸透しているほか、近年では貝類、カニ、ウニ等多岐に渡る品目の引き合いが増加している。「旬」と結びつけた季節プロモーションや、日本の産地名を載せたメニューを提供する店舗も増加している。
(2) 流通構造と販売形態
外食店舗数の急成長に伴って、大小さまざまな輸入業者と卸売業者が存在し、階層が複雑化している。大手輸入業者は高級ホテルから大衆向け日本食店、小売チェーン、国内卸売等、幅広いグレード・業態の顧客と関係を構築しており、提案先として最有力。
(3) 効果的なプロモーション方法と輸出拡大に向けた提言
輸入業者は、直接輸出関係者からの情報を好み、外食・小売事業者はインターネットでの情報収集を好む。これら取引先の意向に沿った形で、国産水産物の旬、特徴、最新の価格情報や、あまり知られていない日本食メニュー等を発信することが有効。また、タイの事業者が最重要視する「鮮度」と「味」を評価してもらうために、サンプルを持参して売り込むことが重要。さらに、取引開始後の欠品を回避するための具体的な施策を想定したコミュニケーションが必要。
■マレーシア
(1) 水産物・水産加工品ニーズと市場動向
世界有数の魚食国であるが、国内消費の大半は地元産品。サバ、エビの人気が高いが、近年では中華系の消費者を中心に、アメリカやノルウェー産の高単価なサーモン、タラ、貝類の人気が高まっている。しかし、日本食市場は発展途上段階にあり、寿司・刺身等の生食に拒否感を持つ消費者も多いが、一部店舗は、香辛料等の現地の味を取り入れにより消費拡大を図っている。日本産水産物・水産加工品は「高級品」としての見方が強く、正統派の日本食を提供する高級日本食レストランでの取扱いに限定され、中級店以下では近海や中国産が中心。高付加価値品として既に需要がある品目は、マグロ、ホタテ貝、イカ。
(2) 流通構造と販売形態
日本産水産物・水産加工品の利用が少ないため輸入専門の事業者が未成熟である。高級小売・外食店は、調達部門や日本駐在の仕入れ担当者を設置して日本の輸出事業者から直接買い付けるコストの高い流通構造となっている。
(3) 流通構造と販売形態効果的なプロモーション方法と輸出拡大に向けた提言
日本から直接仕入れを行っている主要レストランの買い付け担当者等との1対1の商談の場を設けて、現地の味覚に合うメニューに関する意見交換が必要。長期的には、調達を集約し、複数の取引先を抱えられるような輸入業者を育成し、調達コストを低減させる体制構築が重要。
水産物・水産加工品輸出拡大協議会 会長の齋藤 壽典は次のように述べています。「海外での日本産水産物のプロモーションセミナーは、すでに20回ほど実施しましたが、どの国でも和食に対する関心や期待は大変に高く、品質の良さや安全性に裏打ちされたものと考えています。今後はさらに、輸出拡大に向け海外マーケットをしっかり見据えた市場開拓に努めてまいります」
アクセンチュア株式会社 執行役員 公共サービス・医療健康本部統括本部長の後藤 浩は、次のように述べています。「素晴らしい水産資源、およびその優れた加工技術に恵まれた日本において、国内水産物、水産加工品のさらなる発展に繋がる調査に携わることができたことを大変嬉しく思います。今後も、世界に誇るべき日本の魅力を積極的に海外に発信できるよう、尽力してまいります」
水産物・水産加工品輸出拡大協議会について
平成27年2月23日に水産物の輸出を促進するための全国団体として発足しました。
平成28年2月1日現在の会員数は下記9団体です。
(一社)大日本水産会、全国漁業協同組合連合会、(一社)全国海水養魚協会、
全国水産加工業協同組合連合会、全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会、(一社)全国養殖魚輸出振興協議会、(一社)日本真珠振興会、全日本錦鯉振興会、北海道漁業協同組合連合会
本協議会が取り組む大きな4つの課題は
1.国内検討会等の開催
2.海外マーケット調査の実施
3.海外への日本産品PR
4.輸出環境課題の解決に向けた取り組み
となっており、各会員団体協力のもと課題に取り組んでいます。
「水産物・水産加工品の輸出拡大に向けた海外マーケット調査」の詳細は、以下のURLからご覧いただけます。
URL:http://seafood-export.jp/report2015.html
アクセンチュアについて
アクセンチュアは「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。豊富な経験、および世界最大の規模を誇るデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界とあらゆる業務に対応できる専門スキルなどの強みを生かし、ビジネスとテクノロジーを融合させて、お客様のハイパフォーマンス実現と、持続可能な価値創出を支援しています。世界120カ国以上のお客様にサービスを提供する35万8,000人以上の社員が、イノベーションの創出と世界中の人々のより豊かな生活の実現に向けた取り組みを行っています。
アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、
アクセンチュア株式会社の詳細はwww.accenture.com/jp をご覧ください。
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