過去最低を更新した日本の合計特殊出生率
ひとりの女性が一生に産む子供の平均数を示したものを合計特殊出生率といいます。
日本の合計特殊出生率は、平成17年(2005年)に1.26と過去最低を更新しました。
平成24年1月人口推計によれば、2060年に生まれる子どもの数は現在の約5割、高齢化率は現在の約2倍(39.9%)、生産年齢人口(15~64歳)も現在の2分の1近くに急激に減少するとされています。
新しい社会保障制度「こども保険」構想
自民党の小泉進次郎衆議院議員を中心とする若手議員でつくる小委員会は、少子化に歯止めをかけることを目的とした新しい社会保障制度として「こども保険」構想を3月29日発表しました。
子どもにとって必要な保育や教育を受けられないリスクをなくすため社会全体で支えるとしています。
保険料はどのように集めるのでしょうか?
厚生年金や国民年金の保険料に上乗せして、企業と働く人から徴収します。
保険料はどのくらいふえるのでしょうか?
所得の0.1%とする案が出されています。
国民年金の加入者の場合は、月々160円になります。
厚生年金加入者の場合
厚生年金加入者の場合で、子どもがふたりいる30代の家庭で年収400万円であれば、月240円を負担することになり、子どもがふたりいる50代の家庭で年収800万円の場合は、月約500円の負担増になります。
これによって、おおよそ3,400億円の財源が確保できると試算されていて、小学校入学前の子ども600万人にひとりあたり月5,000円を受け取れることができます。
段階的に0.5%に引きあげられます。そうなると子どもひとりあたり2万5,000円が加算されます。
児童手当とあわせて受け取ることにより幼児教育、保育の実質無料化が期待されます。
保育園に入園している子どもだけでなく、全員に加算されるという点は、女性の働き方の多様性にも対応できます。
家族政策全体の財政的規模が小さい日本
日本は欧州諸国に比べて家族政策全体の財政的規模が小さいことが指摘されています。
家族関係社会支出の対GNP比をみると、1.25%(平成25年度)となっており、フランスやスウェーデンなどの欧米諸国と比べておよそ4割程度となっています。
家族関係社会支出とは、家族を支援するために支出される現金給付および現物給付(サービス)のことで、出産、育児、介護に関する給付が計上されています。(内閣府より)
現在の案では子どものいない人からも徴収したり、高齢者は徴収の対象になっていなかったり、また国債を発行することも考えられています。
議論はこれからどのように深まっていくか、注目していきたいと思っています。(執筆者:藤原 洋子)