医療保険や生命保険の申込書に記入をし、提出をしたら、その日から保障が始まって安心できる、と思っていませんか?
この記事では、保険に加入するときに押さえておきたい、保障開始や告知に関することを解説します。
医療保険・生命保険の保障が開始される時期は?
医療保険・生命保険の保障が開始される時期を、「責任開始期」と呼びます。
責任開始期については、約款で以下のように定義されています(文言は会社や契約によって異なることがあります)。
「会社は、つぎの時から保険契約上の責任を負います。
(2) 第1回保険料相当額を受け取った後に保険契約の申込を承諾した場合:第1回保険料相当額を受け取った時(被保険者に関する告知の前に受け取った場合には、告知の時)」
つまり、第1回目の保険料の支払いと告知の両方を完了させた日が、責任開始期(日)となります。
ただし、がん保険(特約)に関しては考え方が異なりますので、こちらの記事で詳しく解説します。
では、責任開始日の次の日から開始した入院なら対象となるのか
上記で述べた責任開始日以後に発生した入院・手術・死亡なら、すべて対象となるのかというとそうではありません。
ここで注意したいのは、入院そのものは責任開始日以後でも、責任開始日より前に発病していたものは対象外となる点です。
保険というのは、「相互扶助」で成り立っています。加入者から納められた保険料を、本当に必要な人に本当に必要なタイミングで支払うのが保険です。
もともと入院などのリスクがある人ばかりが給付金を受け取ることになってしまっては、相互扶助のシステムが破綻してしまいます。
そのため、責任開始日より前に発病していた病気に対しては、たとえ入院が責任開始日以後であっても給付金は支払われません。
契約者間の公平を期すために告知を求められている
上記で述べたように、契約者間の公平性を保つ必要があり、そのために「告知」があります。
よく求められる告知項目には、最近3カ月以内の診察・検査・治療・投薬の有無、過去5年以内の手術・入院の有無、女性に対しては妊娠・分娩異常の経験や現在妊娠しているかどうかなどがあります(保険会社や保険商品によって異なります)。
この告知に基づいて、「引き受け可」、「引き受け不可」、「特別条件付き(部位不担保)」いずれかが保険会社により決定されます。
告知書には、必ず正直に答えましょう。
自己判断で、「これくらいなら告知しなくていいか」と申告しなかった場合、「告知義務違反」とみなされ、いざという時の給付金が受け取れない可能性があります。
それだけでなく、それまでに払った保険料が返ってこない可能性もあり、損をする結果にもなりかねません。
給付金を請求する際には、医師の診断書を求められます。診断書には、初診日や既往症などが必ず記載されますので、告知内容と矛盾があれば保険会社は詳しく調査することになります。
保険の成り立ちを理解しておきましょう
保険会社が告知や給付金支払いに際して詳しい審査を行うのは、何も払いたくないからではありません。必要な人に、必要なタイミングで受け取ってほしいからこそ、不正に給付金を得ようとする人を排除しようと考えているのです。
ですので、いざという時に備えたい人は、健康なうちに加入することをおすすめします。また、健康状態に不安のある人でも加入できる保険もありますので、保険会社に相談してみましょう。(執筆者:近藤 あやこ)