住宅ローンの借り換えは実際にはかなりの時間と労力が必要
ひとことで表せば、住宅ローンの「借り換え」はスマホの「乗り換え」と同じようなものです。
ドコモからソフトバンクに乗り換えるように「A銀行」から「B銀行」に乗り換えることです。
しかし、住宅ローンの借り換えは実際にはかなりの時間と労力が必要です。
実際に今借りている住宅ローンは、自宅購入時に不動産業者が手続きをほとんどやってくれましたよね。
物件を販売するために不動産業者の営業マンの「私におまかせください」のセールストークにつられてまかしてしまうのが実態です。
自宅購入の時は不動産業者が一から十まですべて段取りをしてくれました。
しかし、いざ住宅ローンの借り換えを自分自身で一から十までやると、以外と大変ですよ。
借り換え先の金融機関の選定と交渉、今借入している金融機関との返済金額、返済日の交渉等、なかなかマニュアルどおりにはいかないものです。
住宅ローンの借り換え
1. 仮審査
事前相談、事前審査
2. 本審査(添付書類多数必要)
添付書類 (源泉徴収票、住民税決定通知書、印鑑証明書、住民票、登記簿謄本、売買契約書、重要事項説明書等)
3. 本契約
金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書等
4. 今借入している金融機関にローン期限前返済手続依頼書を提出
新規借入する金融機関の融資実行日に合わせた残債金額の算出
抵当権抹消書類の事前依頼
5. 融資実行日
新規融資された金額をもとに、新規借入した金融機関から現状借入している金融機関に振り込み手続きをする。
上記手続き終了後、すぐに、司法書士同行にて、現状借入している金融機関へ抵当権の抹消書類を取りに行く。
司法書士は、抵当権の抹消書類、設定書類を持参して法務局に行き登記手続きを行います。抵当権の抹消登記と設定登記は同じ日にしないといけません。
6. 権利証の受け渡し等
上記が住宅ローンの借り換えに要する概略日数です。あくまでもすべて金融機関の窓口対応の場合です。
今では休日も対応
古い話になりますが、私が最初に借り換えをした時代は、金融機関は土、日の対応をしてくれませんでした。平日会社を休んで対応しました。
今では、ほとんどのメガバンクで休日対応の体制を整えています。
休日専用の住宅ローンセンターを開設したり、住宅ローンに関して夜間対応したりとか相談しやすい体制になっています。
ネット銀行の台頭が大きく影響
ネット銀行の台頭が大きく影響しています。
住宅ローンに限らず、金融機関の業務自体がネットの時代になっています。ネット銀行の対応の場合、1回も店舗に行かなくても、最終契約できます。
しかし、金融機関の店舗に行かなくて良いだけで、時間と労力はあまり変わりません。
住宅ローンの契約の手続きの中で、最終的に契約書にサインする時に本人確認が必要になります。
コスト削減のため、店舗なし、窓口対応なしがネット銀行の特徴です。住宅ローンの契約書にサイン、本人確認は司法書士が代行していました。
もともと司法書士の役割は、住宅ローンの借り換え時に今借入している金融機関の抵当権の抹消登記、これから借入する金融機関の抵当権の設定登記です。
これから借入する金融機関の融資実行日に上記の手続きを同時にしないといけません。ネット銀行と司法書士事務所の利害関係が一致した仕組みです。
ネット銀行からすれば、抵当権の抹消登記、設定登記の仕事を回すから、本人確認の仕事を代行してくれということです。
ネット銀行の欠点を上手く補っているなあと思いました。
やっぱりネット銀行の方が便利でした
住宅ローンの借り換えをするには、個人的には、ネット銀行を利用した方が便利でした。
手続き自体すべてネット銀行のウェブサイトで行えます。質問、確認事項はコールセンターで対応してくれます。もちろん、土日の対応もしてくれます。
「住宅ローンの借り換え」という言葉をイメージすれば、簡単にできるようなイメージですが実際には、スマホの乗り換えのように1日では済みません。
かなりの時間と労力が必要になる事を覚悟して臨みましょう。(執筆者:中井 泰男)