収益物件への投資可能性を検討するのに、私は物件全体に占める土地値の割合を参考にするようにしています。
当てが外れた、つまり投資に失敗した場合でも、土地として売れば土地値程度は回収できるというのが、そのように考える主な理由です。
以前のコラムでも、このことについては何度か触れてはいるものの、その手法の詳細についてはお話ししていませんでした。
今回は、路線価を基準に考える不動産投資について、詳しくご説明することにしましょう。
路線価とは
まずは路線価について、簡単にご説明しましょう。
路線価とは、路線や道路に面する宅地1㎡当たりの評価額のことで、公示価格の8割程度になるように決められています。
毎年7月1日、全国の国税局・税務署で公表されるものです。
路線価には、
固定資産税や都市計画税を算出するために用いられる固定資産税路線価
があります。
単に路線価と言った場合は、相続税路線価のことを指すのが一般的です。
路線価の他に、国土交通省が定めた全国の各地点を対象として、毎年1月1日時点の1㎡当たりの価格が公示される、公示地価というものがあります。
公示地価では、適正な取引価格であると見込まれる金額が公示されることになります。
「土地値が7割」は路線価で考える!
私が収益物件の購入を検討する際、「販売価格に対して土地値が7割以上を占めていること」をひとつの判断材料にしています。
ここで大切なのは、土地値は路線価をベースにして考えることです。
路線価ベースで土地値が販売価格の7割を占めているということは、公示価格ベースで考えると販売価格に対して土地値が87.5%を占めるということになります。
もし8割以上を土地値が占めるようであれば、「販売価格」≦「土地値」ということになり、購入価格以上の価格で売却できる可能性もあります。
場所によっては路線価が定められていないこともあります。そのような場合は、対象となる場所の近隣地域の公示地価を参考にするとよいでしょう。
公示地価の約8割が、路線価相当額ということになります。
各地の路線価および公示地価は、下記サイトで検索することができます。
良さそうな物件を見つけたら、路線価や公示地価を確認してみてはいかがでしょう。
路線価の見方
ご紹介した国税局のサイトに掲載された路線価図をみると、赤丸で囲った数字と道路沿いには矢印が記されています(下図参照)。
数字がその場所の路線価を、矢印がその路線価の範囲を表しています。
路線価が示された道路に面していない場合、その土地の路線価ベースの価格は、前面道路に面した土地の路線価の8-9割ほどと考えればよいでしょう。
私は、「19」と記載された道路から少し入った場所に建つアパートを所有しています。表の道路から隔てられている分を考慮すると、路線価ベースで1万7,000円/㎡ほどでしょう。
敷地面積が720㎡ほどあるアパートの土地値を計算してみると1,224万円。
1,700万円で購入したアパートの土地値の割合は72%ということになり、独自に設けた投資判断基準を充たしていることがお分かりいただけるでしょう。(執筆者:内田 陽一)