個人投資家に人気のファンドラップ
その残高はここにきて急増中です。特に2012年以降の伸びは著しく、昨年末時点での残高は約6兆4,000億円にものぼります。
証券各社のテレビCMを見てもその力の入れようは明らかです。数年前からは、信託銀行での取り扱いも始まりました。なぜファンドラップはそれほどまで人気なのでしょうか。
実際に販売に携わった身として、その背景と投資家へのメリットをお伝え出来ればと思います。
ファンドラップ人気は「作られた人気」
結論から言うと、
と言えます。この人気は証券各社の営業力のたまものでしょう。
そもそもたった数年で1兆円未満だった残高が5兆円以上も増える訳がありません。商品の魅力そのものに頼った人気ではなく、人為的に「作られた人気」という側面が強いでしょう。
実際に、投資信託の乗換営業が制限されて以降、証券各社はファンドラップ営業に力を入れてきました。その結果、現状の6兆円を優に超えるファンドラップ残高が積み上がったのです。
「作られた人気」が悪いかと言えばその限りではない
経済評論家は口を揃えて金融商品の批判をします。まるで口裏を合わせたかのように。ファンドラップに関してもその批判対象の一つです。
理由のほとんどは証券会社が「儲かるから」に終始します。
証券会社は営利企業です
自社の利益を考えるのは当たり前です。この点は、その他の企業も同様です。
例えば、メーカーなら製品販売時に一定程度利益が残るように価格設定します。それを踏まえた上で商品を買うのは、消費者として当たり前のことです。
個人的には、総合的に考えるとファンドラップは投資初心者にはおすすめの商品だと思います。「作られた人気」が批判されるべきかと言えば、決してその限りではないのです。
ファンドラップの魅力は様々。証券会社次第ではコストも抑えられる
ファンドラップの魅力はその手間の少なさ。
・あらかじめ投資方針さえ決めておけば、専門家がそれに則したポートフォリオを作ってくれます。
・個別株のように、日々の動向を確認する必要はありません。
・安定運用コースで国内債を高めたコースにすれば、比較的手堅い運用が可能になります。
手数料が高いと言われるファンドラップですが、投資信託と比べると高くありません。年間の実質手数料が1%程度の証券会社もあり、一概に高いかと言えばその限りではありません。
専門家の否定的な意見を鵜呑みにするといつまでも、低利の預金に頼ることになります。将来のインフレヘッジの為にも、一定程度リスク資産を組み入れたポートフォリオ作りをおすすめします。(執筆者:徳田 陽太)