イデコが普及していないワケ
個人型確定拠出年金(以下イデコとする)は、現役世代のほぼ全員が加入できるようになって4か月目だ。
実際の加入者は1月末時点で35万人超と、昨年12月と比較して約8%増加(厚生労働省調べ)。
ただし、全加入者数(約6,700万人)に対しての比率は0.5%弱。加入者数は増えてはいるが、まだまだ認知されていないのが現状だ。
その理由
(2) 加入手続きが分かりにくい
(1) については、貯蓄型の保険や投資信託などに比べて、金融機関に入る手数料が低いため、販売に積極的ではないのだ。
(2) については、ネット証券などを利用した場合、金融機関から申込書を取り寄せ、記入するのだが、その申込書の3割~4割に記載不備・出し直しがあり、口座開設まで1か月以上かかるケースもあるようだ。
また会社員がイデコ口座を開設する場合、その加入資格があることを事業主が証明する必要があるが、中小企業などではイデコの制度自体を把握していないケースがあり、手続きが円滑にすすんでいないが現実だ。
イデコに積極的に関わる金融機関
そんな中、これらの煩雑な加入手続きを緩和・解消し、イデコに積極的に関わろうとしている金融機関もある。
りそな銀行
イデコに関する質問を無料でFPに相談できるようにしている。
みずほ銀行
顧客が質問に答えることで、ロボットアドバイザーがイデコにおける資産配分を無料提供している。
「お金のデザイン」が出資する「MYDC」
ロボットアドバイザーを手がける「お金のデザイン」が出資する「MYDC」では、イデコの申込をオンラインで10分でできるようにしている。
また、申込以外に商品選択や相談機能も用意している。
長期運用を左右する手数料に注意!
イデコ加入者の増加を図る金融機関が出てきているのは、すばらしいことだが、加入者はこれらのサービス以外の面にも目配せをする必要がある。
それは、長期運用を左右する手数料だ。
口座管理手数料とは
運営期間中に、ずっと支払う管理費だ。高い金融機関では年間7,000円を超えるので30年間続けたときの差額は大きくなる。
手数料最安は年間2,004円
・ 金融機関では、楽天証券(資産残高10万円以上)
・ SBI証券(資産残高50万円以上)
・ スルガ銀行(資産残高50万円以上)
信託報酬とは
投資対象が投資信託などの場合に残高に対して発生する手数料である。
信託報酬は毎月拠出することにより積立てられる残高に対して必ず発生する手数料であるため、かなり神経質になる必要がある。
信託報酬が安いファンド
・ 国内債券を投資対象としたもので、0.13%程度
・ 国内株式や先進国株式を投資対象としたもので、0.2%程度
・ 新興国株式を投資対象としたもので、0.4%程度
信託報酬が高いファンドになると1.5%~2%となり、その差(1%~2%)は長期投資にかなりの影響を及ぼすのだ。
イデコの口座を開設する場合は、イデコ対象商品の豊富さも含めたサービスと長期運用を左右する手数料のバランスを見た上で、選択していただきたい。(執筆者:釜口 博)