東日本大震災からはすでに6年が経ち、熊本地震からももう1年になります。
人災にまで目を向けると、過去には地下鉄日比谷線脱線事故・地下鉄サリン事件・JR福知山線脱線事故と、3月・4月は何かと大規模災害が多かったように思えます。
確定申告や住民税申告された方は、今年からマイナンバーの記載が必要ですと耳が痛くなるほど聞いて申告されたと思います。
税務で利用されるのは徴税の都合で使われるイメージしかないでしょうが、「社会保障」「災害対策」での利用は、自分たちにも何か恩恵があるように見えます。
ただ「災害対策」でどう役立つかはご存じでしょうか?
被災時に救いとなる給付金
震災被害者などには、国から下記の給付金が支給されます。
1. 被災者生活再建支援金
大震災などで被災した場合は、政府が激甚災害の指定をした後、申請により「被災者生活再建支援制度」に基づく支援金がもらえます。損壊の程度に応じて下記の金額が支給されます。
a. 基礎支援金
・ 全壊 100万円(ただし単数世帯75万円)
・ 半壊 50万円(ただし単数世帯37.5万円)
また、住宅の再建方法により下記の金額が支給されます。
b. 加算支援金
・ 購入 200万円(ただし単数世帯150万円)
・ 補修 100万円(ただし単数世帯75万円)
・ 賃貸 50万円(ただし単数世帯37.5万円)
震災の場合は、地震保険の加入をしていると損壊の程度に応じた形で保険金がおりますが、給付金があることも忘れないでください。
また震災だけでなく、平成28年12月22日の新潟県糸魚川市の大規模火災においても、「激甚災害」に指定されたことにより、この支援金は(上記に県・市の制度で50万円または100万円プラスして)給付されました。
2. 災害弔慰金
亡くなられた方のご遺族に支給されるもので、下記の金額が支給されます。
・ 亡くなられた方の税法上扶養親族等 500万円
・ その他 250万円
実際の「災害対策」活用は道半ば…?
マイナンバーを活用した場合に期待されること
社会保障の一環として、上記のような給付金支給に役立てるというのは勿論ありますが、一般に給付金の申請には様々な書類が必要になります。
災害関係の給付金申請では罹災証明書・住民票などが必要ですが、マイナンバーの活用により書類の添付を不要にするような構想がされていました。
具体的にはマイナンバーをもとに被災者台帳を作成し、その台帳をもとにマイナポータルを通じて申請を促し、申請した場合は添付書類なしに給付を行うようにするというものです。
平成28年にはマイナンバー制度導入するも…
平成28年1月からマイナンバー制度が導入され、導入後の4月14日には熊本地震が発生しました。また12月の糸魚川市大規模火災でも被災者生活再建支援金を給付しています。
しかしこれらの災害にあたって、マイナンバーが有効活用されることはありませんでした。
被災地でマイナンバーを提示してもらう(もしくは避難所にICカードリーダつきパソコンをおきマイナンバーカードを読み取らせる)ことによる本人確認も検討されていたようですが、実際に被災のゴタゴタでやるのは難しいところもあります。
平成29年になっても、今後震災が発生した場合に活用できる体制にはなっていないようです。よってマイナンバーの「災害対策」に関しては不明朗であることが否めません。
「もしも」の時に不安にならない為に
この機会に災害時にどういう給付金があるかを知っておいてください。こういう制度を知らないと、被災時のゴタゴタでいたずらに不安になってしまうからです。(執筆者:石谷 彰彦)