子ども用スペースなど特定の人が使える設備は要注意
最近のマンションは、居住スペースだけでなく共用スペースの充実さを売りにしていることがあります。
高級マンションでは、シアタールームや大浴場などの設備があり、夢のような生活を送ることができそうな物件もあるようです。
しかし、高級で贅沢な設備は維持費がかかるものです。設備の維持費は、管理費として購入した人に降りかかってきます。
管理費は、購入時に一回支払えばよいというものではありません。住んでいる限り、毎月一定額が引き落とされていきます。
映画が大好きで毎日シアタールームを利用するならば、維持費を支払う価値はあるのかもしれません。
しかし、実際に住んでみると「仕事から帰ってきたらクタクタで、映画をみる時間があるなら早く寝たい」と思ったり、大浴場を利用している人はいつも同じ人たちで仲間に入りにくいと思ったりすることが多いようです。
キッズルームも使える時間はあっという間
また、子供を遊ばせるためのキッズルームがあるマンションをよくみかけます。
集合住宅であるマンションでは、子供の足音やおもちゃの落下音は階下の住民の迷惑になるため、好きなだけ遊ばせることができるキッズルームがあればとても助かる気がします。
しかし、子供がバタバタと遊びまわる時期はとても限られています。
学校に入れば、昼間は家にいることはなく、夕方からは習い事があります。
いつしかキッズルームの存在すら忘れてしまうでしょう。それでもキッズルームの維持費は、管理費に繰り込まれて引き落とされ続けます。
マンションを購入するとき、夢のような生活をイメージして「あればいいな」と思うものを求めてしまいがちです。
しかし、「あればいいな」は「なくてもいいな」である可能性もあります。長い目で考えるならば、一時の便利さよりも払い続ける管理費に注目したほうがいいでしょう。
暑がりは光熱費も考えて階を選ぶ
近年の夏は、ますます暑くなっています。以前は贅沢品と言われていたエアコンが、今では生きていくために必要な必需品となってきました。
高層階に住んでいると「風が通るから涼しいでしょ」と言われることが多々あるようです。
しかし実際は、最上階に住んでいる人ほど冷房費はかかるのです。なぜならば、最上階は天井からの熱が室内に影響を与えます。
さらに、遠くの景色まで眺められる大きな窓からは太陽の光がサンサンと入ってくるため、室内は温室のように温められるのです。
高層階は西日の影響も受ける
20階建て以上のタワーマンション最上階では、部屋によって2月以外は冷房が必要という人もいます。暑い夏が苦手な人は、住む階を選ぶことで大きく光熱費を節約できるかもしれません。
室温は、西日の影響も強く受けます。
西日は部屋の奥まで入り込んでくるため、西日が気になってしまう人は、午後からは遮光カーテンを閉めた生活をすることにもなりかねません。
高層マンションでは、「高いところに住むことこそステータス」と考える人もいるようですが、自分が快適に住める住空間を基準に考えることで光熱費の節約にもつながるのです。
きれいな見た目ほどお金はかかる
一時期、デザイナーズマンションが流行ったことがありました。
コンクリートが打ちっぱなしの外壁はスタイリッシュで、住んでいる人までもおしゃれに見えたものでした。
しかし現在は、おしゃれな打ちっぱなしの壁は維持が難しく、維持費がかかると言われています。外壁の修理には、修繕費があてられます。
修繕費は管理費と同様に住民から毎月集められ、大規模修繕や突発的な修繕に使われるもののです。
一般的なマンションでも修繕費の積立はありますが、大規模修繕計画に基づいてまとまった金額が使われることがほとんどです。
細かな修繕や修理にお金を使ってしまっては、肝心な大規模修繕の時には積立金が不足してしまう事態も考えられるのです。
おしゃれな外観に惹かれても、その裏に隠れている維持費やデメリットにも目を向けるようにしましょう。
おしゃれな外観のマンションは、内装にも凝っているものです。
国内のメーカーでないと修理も大変
例えば、蛇口をみても国内のメーカーではなく外国から取り寄せた物を使っていたりします。
外国製の蛇口はおしゃれですが、故障した時に余計なお金がかかることがあるのです。
国内メーカーのものであれば、調達も早く修理費も抑えられるのですが、海外メーカーのものだと取り寄せるまでに時間がかかり、特殊な工具や部品が必要となるため修理費が割高になることがあります。
住居に「おしゃれ」を上手に求めるならば、おしゃれを求める箇所を工夫することがポイントです。
例えば、カーテンは一度購入すれば維持費は洗濯代程度です。
カーテン代を節約したいからといって気に入らないカーテンを買ってしまえば、ずっと「気に入らないカーテン」と一緒に生活しなければなりません。
ポイントは「維持費」
住居費の節約ポイントは「維持費」です。
カーテンのように、一度購入すれば維持費が必要ないものにはお金をかけて、長く愛用することが最大の節約になります。
一方、住居そのものは購入費と同じくらい維持費の負担は大きいものです。長い目でしっかりと「出るであろうお金」を計算してみることが大切です。(執筆者:式部 順子)