「あのとき始めておいて良かった」そう思える日が来るように…
貯蓄なんてほとんどないし、あってもお金は銀行に預けたまま…という方も多いかと思います。
「実際に自分が本当に困る」ような体験をしないと、人はなかなか行動しないものです。
しかし、そろそろ将来のために「殖やす」ことを真剣に考えないと、
と心配です。
※この記事の専業主婦(主夫)編はこちらです。
残ったら貯蓄する」のではない
「将来の必要額に応じて先に貯蓄して、残りでやりくりする」のが一番です。
「今」行動することで「あのとき始めておいて良かった」と、将来思える日がきっと来るでしょう。
「なにをしたらいいの?」に答えます
NISA、企業型の確定拠出年金、個人型の確定拠出年金(iDeCo)などなどいろんな制度があります。
そんな悩みにお答えします。
「老後のお金をどう準備するか」
まず前提ですが、今回は「老後のお金をどう準備するか」のお話とします。
老後前に引き出す予定のお金は、また別の方法で。長くなるのでこの記事では各制度の概要、メリットやデメリットの説明も省略します。
会社員・公務員
・ 企業型の確定拠出年金が利用できる人(会社員) → 利用する(マッチング拠出できる場合はそれも検討)
・ iDeCoが利用できる人 → 利用する
マッチングと聞いて「まいっちんぐマチコ先生」を思い出してしまうのは私だけでしょうか?
ちなみにiDeCoが利用できるかどうかは、所属先に確認するほか、ろうきんなどのサイトでも加入診断できます。
夫婦ともに会社員や公務員の場合
節税効果は
なので所得の高い方から優先的に拠出するようにします。
大きな会社や公務員の場合
組織独自の制度(預金金利上乗せなど)もあわせて検討しましょう。
さらに拠出する余裕がありそうな場合の次の選択肢
上記制度が最優先ですが、
・ 個人年金保険(所得控除になるので節税メリット)
・ NISA
などがあります。
NISAのルール
NISAについては「通常の口座への移管時には、(NISAで当初購入時の価格ではなく)移管時の価格で取得した」とするルールがあります。
現行のNISAは期間限定の制度であるため、特に制度継続期間の終了時(2027年)にこのルールがデメリットになる可能性があります。
「当初NISAで購入時より価格が下がっているのに移管後に売却した際に課税され、最初から通常の課税口座であれば課税されることはなかった」というケースもありうるのです。
将来恒久的な制度になれば、特に気にする必要はないでしょう。
自営業者
まずやるべきは「付加年金」と「iDeCo」
付加年金は月に400円しか拠出できませんが、2年で元が取れ、給付時までのリターン率がかなりよいです。
iDeCoは自営業者の場合毎月の拠出限度額が6万8,000円(付加年金利用の場合は6万7,000円)もあり、全額所得控除になるので、節税効果は年間最大約25万円近くなります。(所得税20%、住民税10%の場合)
国民年金基金
iDeCoと拠出の枠を共有する制度として、自営業者には「国民年金基金」があります。
節税効果はiDeCoと同じですが、将来もらえる月額がほぼ確定しており、さらに亡くなるまでもらえる終身年金が基本です。
ただし最近は予定利率が低く、若いうちに入ってかつ長生きしないと元を取ることさえ大変になります。付加年金と国民年金基金は併用できません。
iDeCo or 国民年金基金?
一方でiDeCoは運用成績により受け取り総額が変動しますが、長期の加入を前提に考えるなら大きなリターンが期待できます。
ほとんど増えなかったとしても、給付額が決まっていることを重視するなら国民年金基金、自分で運用でき、給付額が多少変動しても長期なら増やせる可能性が高いことにメリットを感じるならiDeCoといったところでしょうか。
小規模企業共済
また、節税効果がiDeCoとほぼ同じ水準にあるのが「小規模企業共済」です。
掛け金拠出が20年間未満の場合は、ケースにより元本割れの覚悟が必要ですが、それを十分上回る節税効果がある、とも言えます。
付加年金とiDeCo(あるいは国民年金基金)、小規模企業共済の利用により、自身の払っている所得税・住民税分の節税効果を得られる人も多いでしょう。
ただし、節税のため拠出しすぎて生活資金が足りないことにならぬよう注意が必要です。
優先順位が次にくる選択肢
・ 個人年金保険(所得控除になるので節税メリット)
・ NISA
などでしょう。
自分の人生に合わせて考える
今回は「老後のお金をどうするか」という観点で、資金の振り向け先を考えました。つまり老後まで引き出さない前提でのお話です。
近い将来にお金が必要
子供の教育費や結婚資金など近い将来に必要になるお金であれば、NISAなどいつでも引き出せる制度が第一の選択肢になるかと思います。
住宅ローンがある
住宅ローンなどがある場合は、繰上返済に充てた方が上記の各種運用より効果的な場合もあります。
自分にとって一番よい方法…
将来のためと思って積み立てしすぎて、近い将来に必要なお金が足りなくなったりしないよう、適正な積立額を把握するためのシミュレーションをした方がよいでしょう。
自分にとってどうするのが一番よいかは、専門知識を駆使した「総合的な判断」が必要になりますので、複雑だなと思う場合は専門家の力を借りるのが得策です。(執筆者:日比野 岳)
※この記事の専業主婦(主夫)編はこちらです。