さる2016年12月8日、安倍晋三首相の年末エコノミスト懇親会での挨拶から。
「今年は申年、そして来年は酉年でありますが、相場の格言は「申酉騒ぐ」ということで、正に今年はそれにふさわしい年になってしまいました。」(首相官邸HPより引用)
私などには、昨年末に円安株高がぐんぐん進んだのは、単にトランプ氏がアメリカ大統領選に当選したことによるドタバタだったように思えてならないのですが、これがわが国の宰相の言葉です。
とはいえ。
この「申酉騒ぐ」のに代表される相場格言、根拠の不明瞭な迷信かもしれませんが、まったく信用できないものと斬り捨てるのはもったいない気がします。
賢者の智慧の結晶かもしれませんからね。
私が気になる相場格言、しかもあえて理屈がよく分からないもの(いわゆる「アノマリー」)を選んで紹介するところから、今年をスタートしたいと思います。
なんたって、「理屈上手の商い下手」ですから。
申酉騒ぐ
こちらは冒頭で紹介した通り、安倍首相の口からも飛び出したことから、最近よく聞こえてきますね。
意味は言葉の通りで、干支が申年と酉年の2年間は値動きが荒くなるということ。昨年は申年、今年は酉年です。
注意しておかなければならないのは、格言は決して激しく上昇するとは言っていないことです。
激しく値下がりするかもしれません。ともかく騒がしいということですね。
「どか儲けすればどか損する」という相場格言もありますから、最後まで気を抜くわけにはいかない一年になりそうです。
掉尾の一振
「とうびのいっしん」、と読み、年末にむけて株価が急上昇することを指します。
2016年は大納会こそ日経平均は下げて終わりましたが、11月以降は順調に上がっていった末のことでした。
となれば今年も期待して良いのでしょうか?
しかし、「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言もあります。狙いすぎても良くないかもしれませんね。
節分天井の彼岸底
節分と彼岸は、それぞれ2月上旬と3月中旬を指します。
つまり2月上旬にピークを迎えた株価が、3月まで右肩下がりに下落していくということですね。
とはいえ「上がるが優良株」とも言います。
トレンドに流されず、そんな時期でもマイペースに上昇していく銘柄を探すチャンスかもしれませんね。「Sell in May」の5月にも同じことが言えるのでは。
2日新甫は荒れる
新甫(しんぽ)はその月の第一回目の取引日を指します。
それが2日だということですから、2日が月曜日の月は相場が荒れるということですね。
2017年には、ありました。10月です(1月もですが、2日も休日ですね)。
個人投資家としては、10月ごろは一年間の出口戦略を考え始めるときです。
最後のひと勝負に出るもよし、利益がでているなら、「買うべし、売るべし、休むべし」とばかりにこのあたりで勝負から下りても良いかもしれません。
噂で買って事実で売れ
これはアノマリーとは言えません。理屈が分かりやすいので「知ったらしまい」だとも言います。
株価は期待感で上昇して、期待の正体が判明する前後には利益確定売りが入って下がります。
そういえば、トランプ氏はまだアメリカの大統領に就任していないって、みなさん気づいていましたか?
あんなにツイッターで世界中を騒がせていますが、一応まだ政治家ではありません。
大統領就任は1月20日金曜日に予定されています。政治は未経験なものの、経済界の重鎮ではあるトランプ氏のことです。
直前まで騒がせておいて、案外ホワイトハウスでは大人しい顔になったりして…。
あるいは「材料は後からでる」とばかりに、さらなる大騒ぎが起こるのでしょうか?(執筆者:徳田 仁美)