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【事例に学ぶ:年金の誤算】国民年金保険料の未納が原因で、障害年金を受給できなかった方たち



障害年金を受給するための要件


障害年金を受給するための要件の一つに、「保険料納付要件」があります。



障害の原因となった傷病の初診日の前日において、次のいずれかに該当することが必要です。

(1) 20歳になったときから初診日の前々月までの間に、年金保険料の未納期間が3分の1未満であること



(2) 初診日の前々月までの直近1年間に年金保険料の未納がないこと(65歳未満に限る)

ここでいう「初診日」とは、障害年金を請求することとなる障害の原因となったケガや病気で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。



なお、保険料を払えなくても、免除や納付猶予等を受けていれば未納にはなりません。



長期間未納が続いても(2) を満たしていれば大丈夫なのですが、それが満たせずに障害年金を受給できなかった方たちの事例をご紹介します。



事例1 学生時代の未納が原因で…






Aくん(23歳)



大卒で就職したその年の12月に、ドライブ中の事故で肢の機能を失う



障害年金の制度を知ったお母さんは、正社員で就職して厚生年金保険料が給与から天引きされているから問題ないと思って年金事務所へ行きましたが、

「保険料納付要件を満たしていないので受給できません」

と言われました。



Aくんは、20歳になったときから就職するまで国民年金保険料を払ったことがありませんでした。保険料の納付を猶予してくれる「学生納付特例」の手続きもしていませんでした。



お母さんも、20歳になったら学生でも国民年金に加入する義務があることを知らず、手続きをしていませんでした。



「就職したから安心」ではありません




障害厚生年金を請求するにも、国民年金保険料の納付要件を満たす必要があるのです。



誕生日や就職した年齢にもよりますが、就職して1年2か月は学生時代の未納が影響することがあるのです。





事例2 転職で1か月の空白ができた






大卒後、フリーで仕事をしてきたBさん



国民年金保険料を払ったことはありません。免除や納付猶予の申請もしていません。



35歳のときに結婚を機に正社員として就職し、3年後に転職。



転職して8か月後に「うつ病」に罹り精神科を受診。



有給休暇を使い切って職場復帰できる見通しが立たず退職。

初診から1年半が過ぎても社会復帰できる状況ではなく、奥様は障害年金を請求することにしました。



初診日の前に3年8か月の厚生年金加入期間があるので障害年金の保険料納付要件は大丈夫だと思っていた奥様は年金事務所で

「転職時に1か月の空白があり、要件を満たしていません」

という回答を受け、信じられませんでした。



「1か月の空白」は、こうして発生




1. X社を賃金締切日の1月20日付で退職。X社での被保険者期間は、退職月の前月(12月)まで。



2. Y社に翌月の2月1日付で雇用。Y社での被保険者期間は、雇用された月(2月)から。



したがって、X社を退職した月(1月)が空白となっているのです。



社会保険の被保険者資格期間




社会保険の被保険者資格は、雇用されたその日に取得し、退職した日の翌日で喪失します。



保険料の納付は「資格を喪失した日の属する月の前月まで」です。被保険者期間としてカウントされるのも「資格を喪失した日の属する月の前月まで」です。



全国民共通の国民年金の被保険者の種別は、その月の最終日における種別に属します。



つまり、1月20日付でX社を退職したBさんは…



1月21日に厚生年金の被保険者資格を喪失します。



そのため同日付で国民年金の第1号被保険者(自営業者、学生、フリーター等が属する種別)に適用されその1か月は国民年金保険料を納めなければなりません



月末付で退職した場合



資格喪失日は翌月の初日となり、退職した月まで厚生年金の被保険者として、会社経由で保険料を納めます。



もしBさんが1月31日付でX社を退職し、2月1日付でY社に採用されたなら、このような空白は生じなかったことになります。



退職日の違いにより生じた保険料納付の空白が、思わぬ誤算となった事例でした。





事例3 「後出しじゃんけん」は認められない






高校を卒業してから、定職に就かずフリーター生活をしていたCさん



国民年金のことなんて全く気にしていません。



運よく正社員で雇ってもらえても1~3か月で退職。



40歳のときに脳梗塞で倒れ、半身麻痺。

倒れる前に年金保険料を納めた期間をかき集めても3年に満たない状況で、あとは全て「未納」でした。



Cさんのお母さんは、年金事務所で障害年金は受けられない旨の説明を受けた後、

「将来の老齢年金受給のために保険料納付の時効である2年前にさかのぼって保険料を納めること」

を促され、2年分まとめて払い込みました。



これにより「初診日の前々月までの直近1年間」の未納が埋まったことを確認したお母さんは、街角の年金相談センターで、「息子の障害年金を請求したい」と言いました。



保険料の納付記録を調べた相談員は、2年前からきっちり「納付済み」になっているのを不自然に思い、保険料の納付日を確認すると初診日の後でした。



初診日の当日以降に納めた保険料は、納付要件にカウントされません




「後出しじゃんけん」は認められないのです。



相談員から「保険料納付要件は初診日の前日に満たしている必要がある」旨を説明され、お母さんは受け容れるしかありませんでした。



年金相談センターの相談員として…



たまに自分に都合のよい回答を求めて「都合よく解釈できる言葉を捕まえて言質を取ろう」と相談窓口を渡り歩く人たちがいます。



相談員としては誤った期待感をもたせることのないよう、気をつけなければなりません。





保険料を納めるのが困難なときは「免除・猶予の手続き」


障害年金を受給するには、初診日の前日において、一定期間保険料を納めているか、免除または納付猶予を受けている必要があります



保険料を納めるのが困難なときは、医療のお世話になる前の元気なうちに手続きを行ってください



所得等の基準を満たしていれば、2年前にさかのぼって保険料の免除・納付猶予の承認が受けられます。国民年金保険料の免除・納付猶予等の概要は、日本年金機構HPをご参照ください。(執筆者:服部 明美)



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