最近、インターネットでも「同一労働同一賃金」という言葉をみかけることが増えてきたように思います。
「同一労働同一賃金」とは…
契約期間の定めがある契約社員、あるいはパートタイマーや派遣といった非正規で働く人と、正規で働く正社員との賃金の格差をなくして、
という考え方です。
「同一労働同一賃金」の考え方は、産業を超えて職種を考え、職務の内容によって賃金を定めるヨーロッパの労働市場のあり方がベースになっていると言われています。
労働契約法では、今でも契約社員の労働条件を合理的でない理由で低くすることを禁止していますし、パートタイム労働法では、正社員と職務内容などが同じパートタイマーについて差別的な取り扱いが禁止されています。
しかし現状は…
正社員と契約社員、あるいはパートタイマーなどとの賃金などの格差が問題になるケースがあります。
その改善を図るため、
・ パートタイム労働法
・ 労働者派遣法
の関連している3つの法を改正して、どういった場合が労働条件で問題になるか、よりわかりやすい形で定めたりするなどの対応をしていくことになっています。
ガイドライン案
そして、法改正に向けての動きとして先日12月20日に政府は「同一労働同一賃金」についてガイドライン案を示しました。
ガイドライン案では、主に正社員、契約社員・パートタイマーとで、
・ 手当
・ 福利厚生
などについてそれぞれ処遇にあたっての基本的な考え方を示し、典型的なものについては具体例をあげることで、企業が判断する上で参考になるようにしています。
職業経験実績
正社員が契約社員と比べて多くの職業経験があっても、今の職務と関連がないような場合は、職業経験が多いからといって、給与に差を設けることは問題だとしています。
勤続年数
基本給を働く人の勤続年数に応じた支給としている場合、契約社員の労働者については、今の契約期間における評価だけではなく、当初の雇用契約開始の時から通算して評価するようにとしています。
「賃金制度」の考え方
日本では、基本給をはじめとして、賃金制度がいろいろな要素を考慮して決められていることが多いです。
ガイドラインでは
各企業で職務や必要とされる能力などをはっきりさせて、職務と能力などに見合った賃金の待遇になるよう、処遇についての体系全般を労使の話し合いで確認し、非正規で働く人も含め、労使で共有することが重要としています。
不合理な待遇の違い解消には、賃金だけでなく、福利厚生やキャリア形成や能力開発など含め取り組みが必要です。
特に能力開発の機会が広がることが非正規で働く人の能力・スキル開発によって生産性向上と処遇の改善にも繋がり重要との位置づけをしています。
今後の取り組み
各企業でガイドラインの内容を参考にして、具体的な賃金体系、手当・福利厚生などを再度検討していくことが必要になるでしょう。
また、契約社員など非正規で働く人も、自分の受け取っている給料や手当など待遇の面で、正社員と比べて職務内容などに見合ったものになっているかをしっかりチェックしていくことがより大事になってくるでしょう。(執筆者:片島 由賀)