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寡婦(夫)の受けられる手当・年金~死別・離婚にまつわる制度のお話(2) 



年末調整や確定申告を控えて、寡婦・寡夫控除の説明をしました前回のコラム



生活を支えてくれる本丸は死亡後・離婚後も定期的な収入を得ることでしょう。大きく分けて手当と年金があり、年金は死別の場合のみもらえます



なお年金受給額の計算は毎年変わり、国民年金の保険料納付月数・厚生年金の加入月数によるところもありますので、ここでは目安となる数字に留めておきます。



遺族年金にはシミュレーションできるサイトもあります。







児童扶養手当・児童育成手当


死別・離婚を問わず、ひとり親世帯がもらえる手当として有名な児童扶養手当は、平成22年8月に母子家庭だけでなく父子家庭ももらえるようになり、母子手当から名前が変わりました。



市区町村が窓口となって支給しています。



まず親側の要件ですが、寡婦・寡婦控除の要件にあるような、



・ 配偶者が死亡

・ 配偶者が生死不明

・ 配偶者と離婚



で婚姻していないといったことがこの手当支給の要件になります。ただ手当支給ではそれ以外にも、



・ 配偶者が重度の障害状態にある

・ 配偶者が裁判所からの保護命令を受けている



などともっと要件が広くなっています。



児童の要件




児童の要件は年齢要件があり、



(*)18歳に到達してから最初の3月31日(高校生相当年齢)まで。



ただし、特別児童扶養手当という障害者手当がもらえるような、所定の障害状態にある場合は20歳未満です。



平成28年8月以降の手当額は対象児童が1人の時は月4万2,330円、2人の時は1万円をプラス、3人目以降は1人あたり6,000円プラスとなります。



ただしこれは全部支給の時で、一定所得以上になると1人の時は4万2,320~9,990円、2人の時は増額分が9,990円~5,000円、3人目以降の1人当たり増額分は5,990円~3,000円となります。



所得制限について




所得制限については、下記のようになります。



・ 全部支給の限度額:19万円+38万円×扶養親族等の数

・ 一部支給の限度額:192万円+38万円×扶養親族等の数

・ 配偶者・扶養義務者・孤児の養育者の限度額:236万円+38万円×扶養親族等の数



限度額の基準となる所得については、寡婦・寡夫控除判定のように「合計所得金額」ではなく、前年(もしくは前々年)の総所得金額等や養育費の8割から



・ 8万円

・ 雑損控除

・ 医療費控除

・ 小規模企業共済等掛金控除

・ 寡婦・寡夫控除(受給者が父母以外の養育者等の場合)

・ 勤労学生控除

・ 障害者控除

・ 配偶者特別控除

・ 老人扶養親族がいる場合は10万円



(参照:確定申告によって自分の受ける社会保障はどう変わってくるのか(2)~基準となる所得~



また東京都では、児童一人あたり月1万3,500円の児童育成手当も支給していますが、こちらも所得制限があります。



この他、自治体ごとに異なるひとり親家庭向け医療費助成・家賃補助もあります。



遺族年金


遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。



また、遺族厚生年金がもらえ遺族基礎年金がもらえない場合でも、中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算がもらえる場合があります。



これらの年金をもらうには、一定以上の未納がないことや年収850万円未満の生計維持要件もありますが、その他の注意点は下記の通りです。







1. 遺族基礎年金の要件・金額




死亡時に、上記(*)の「高校生相当年齢」の子がいないともらえません。



ただし遺族年金においては、「特別児童扶養手当という障害者手当がもらえるような、所定の障害状態にある場合」は「障害年金の等級1級・2級に当てはまる場合」と置き換えます。



遺族基礎年金の金額(年額)は、



(*)に当てはまる子1人だけ:約78万円

配偶者1人+(*)に当てはまる子1人:約78万円+約22万円



であり、あとは(*)に当てはまる子がもう1人いればプラス約22万円、さらに(*)に当てはまる子が1人増えるごとに約7.4万円プラスされます



2. 遺族厚生年金の要件・金額




(*)に当てはまる子がいなくてももらえます。ただし、寡夫側だけ55歳以上の年齢制限があります



遺族厚生年金の額は、在職中の給与と加入月数(ただし300月の最低保証あり)によって変わります。



また遺族厚生年金に加えて、



(a) 夫の死亡時、子のいない妻が40歳以上65歳未満

(b) (*)に当てはまる子が、40歳到達時点でいる



(a)と(b)いずれか当てはまれば、遺族基礎年金に代わる形で、その4分の3にあたる金額(約58万円)の中高齢寡婦加算がもらえます



また中高齢寡婦加算をもらい続けたまま65歳になったり、上記の要件(a)において、妻が65歳以上であったりした場合は、昭和21年4月2日~昭和31年4月1日生まれの寡婦限定で経過的寡婦加算がもらえます。



最後に


遺族年金がもらえない場合は、寡婦限定ですが場合によっては60~64歳に寡婦年金、それももらえなければ納付月数(36か月以上は必要)に応じて12万円~32万円の死亡一時金がもらえます。



特に年金にいえますが、受給要件が複雑ですので続く(3)ではケーススタディで考えてみます。(執筆者:石谷 彰彦)



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