

「少ない資金から始められる」と聞いて、FXが気になっている人もいるでしょう。ただ、FXは預けた証拠金の何倍もの額を取引する仕組みで、為替レートが急に大きく動けば、預けた額を上回る損失が出ることもあります。金融庁が示す決まりをもとに、損が膨らむ理由と取引の前に確かめたいことを解説します。
FXの広告を見た30代の会社員が抱いた思い込み
「少しのお金なら、損しても少しで済むよね」。30代の会社員の男性は、FXの広告を思い出しながら同僚にこう話しました。預けたお金がなくなれば、そこで取引が終わるだけだと考えていたのです。
同僚に「預けた以上に損をすることもあるらしい」と言われて金融庁の案内を開くと、「差し入れた証拠金以上の多額の損失が生じるおそれ」があると書かれていました。元手の小ささと損の小ささは別の話だと、男性は初めて気づきました。
預けた額の何倍もの取引になる証拠金の決まり
金融庁の案内によると、FXは証拠金を預けて2つの国の通貨の為替レートを予測して売買する金融商品で、預けた額に比べて大きな額の取引ができます。この倍率がレバレッジです。案内は、資金効率がよい反面、元本も利益も保証されない取引だとしています。
倍率には上限があります。個人が店頭FX取引をするときは、通貨の組み合わせを問わず、取引金額の4%以上の証拠金を預けて維持する必要があり、レバレッジに直すと25倍以下です(金融庁の案内・令和2年2月21日更新)。この水準は、金融商品取引業等に関する内閣府令にも定められています。
ロスカットがあっても損失が証拠金を上回る理由
損失の拡大を防ぐ仕組みとして、業者はロスカットルールを定めます。為替レートが想定と逆に動いて評価損が膨らみ、あらかじめ業者と取り決めた水準に達すると、業者が取引を強制的に決済して終わらせる決まりです。内閣府令も、個人の顧客の取引でロスカットを行う十分な管理体制を整えていない状況を、公益や投資者の保護を損なうおそれのある業務運営の状況として挙げています。
それでも金融庁は、為替レートが急激に変動したときは、ロスカットルールが適用されても証拠金の額を上回る損失が生じることがあるとしています。急変で流動性が下がると、意図した取引や決済が難しくなるおそれもあります。金融商品取引法と金融商品取引業等に関する内閣府令は、損失が証拠金などの額を上回るおそれがあるときはその旨を、業者が原則として契約の前に顧客へ伝えるよう定めています。

取引を始める前に確かめたい3つのこと
FXは金融商品取引法の登録を受けた業者でなければ扱えず、無登録業者との取引はトラブルが起きても追及が極めて困難とされています。まず金融庁の事業者一覧で相手が登録業者かを確かめ、次にロスカットの水準と、損失が証拠金を上回ったときの扱いを業者の説明で確認しましょう。そのうえで、自分の資力や取引の経験、目的に照らして無理のない範囲かを考えてから判断しても遅くはありません。
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