

少しずつ買い足してきた株の配当の知らせは届いたのに、株主総会の案内は届きません。単元に満たない株を持つと、同じ株主でもできることとできないことが分かれます。線を引いているのは会社法で、会社が定款で決めても奪えない権利もあります。議決権、配当、会社への買い取りの請求の順に、条文の決まりを紹介します。
配当の知らせを受け取った50代の会社員の女性の戸惑い
「配当のお知らせは来たのに、株主総会の案内は来ないのね」。50代の会社員の女性は、届いた封筒を見比べながらこうつぶやきました。証券会社の口座で、単元に満たない数の株を少しずつ買い足してきた会社の株です。株主には違いないはずなのに、総会に呼ばれないのはなぜなのか。この先手放したくなったら、どうすればいいのか。
確かめたいのは、単元に満たない株の議決権、定款でも奪えない権利、会社への買い取りの請求の3つです。
議決権は1単元ごと、配当は定款でも奪えない
まず押さえたいのが、会社法の単元株の決まりです。第百八十八条は、一定の数の株式を1単元とし、1単元で1個の議決権を行使できるとする旨を、会社が定款で定められるとしています。日本取引所グループの用語集は、内国株券の売買単位を上場会社が定款で定めた1単元の株式数とし、100株に統一されていると説明しています。
そのうえで第百八十九条第一項は、単元に満たない株式(単元未満株式)を持つ株主は、その株式について株主総会で議決権を行使できないと定めています。単元未満株式だけを持つ株主は、招集の通知を送る相手からも外れます。冒頭の女性に案内が届かなかったのは、このためです。
一方、同条第二項は、単元未満株主の権利を会社が定款で制限できるとしつつ、制限できない権利を並べています。その中には単元未満株式の買い取りを請求する権利や残余財産の分配を受ける権利があり、法務省令(会社法施行規則第三十五条)は剰余金の配当で金銭などを受け取る権利も加えています。

手放すなら会社への買い取りの請求、値段は市場価格が基準
手放したいときに使えるのが、第百九十二条の買い取りの請求です。単元未満株主は、自分の単元未満株式を買い取るよう会社に求めることができます。値段を好きに決められるわけではなく、市場価格のある株式なら、法務省令で定める方法で算定した市場価格の額になります(第百九十三条)。いったん請求すると、取り下げられるのは会社が承諾したときだけです。
反対に1単元にそろえたい人には、足りない分を会社に売り渡してもらう請求があります。ただし使えるのは、定款にその定めがある会社に限られます(第百九十四条)。
単元株式数と定款を確かめれば、持ち方が決まる
単元に満たない株でも、配当や残余財産の分配を受ける権利は会社法と法務省令が守っています。株主総会で議決権を持ちたいなら、1単元にそろえることが前提です。まずは持っている株の会社の単元株式数と、定款で単元未満株主の権利がどう定められているかを確かめましょう。手放すときの請求の窓口や手順は、口座のある証券会社や株主名簿管理人に問い合わせておくと迷いません。
