

取引先や知人のお葬式に急に参列することになると、焼香を何回すればよいのかで手が止まります。宗派で違うと聞いていても、喪家の宗派の決まりまでは分からないものです。浄土宗・浄土真宗本願寺派・日蓮宗の公式の案内を読むと、大勢が焼香する葬儀の一般の参列者は、いずれも1回。違いが表れるのは、つまんだお香をおしいただくかどうかといった所作のほうです。
取引先のお葬式を前に、焼香の作法で迷った40代の会社員
「焼香って、何回つまむのが正しいんでしたっけ。」取引先の社長のお葬式に参列することになった40代の会社員は、会場へ向かう途中、同行した同僚にそうたずねました。返ってきたのは「3回だったと思うけど、自信はないな」という答えです。以前ほかの葬儀で、1回だけで席に戻る人を見た記憶もあります。
受付で受け取った案内から、喪家の宗派は浄土宗だと分かりました。前の人と違うやり方をして目立たないか、つまんだお香を額に近づけるのかどうかも気になります。調べても「宗派によって違う」という説明ばかりで、どう動けばよいのかは見えてきません。
浄土宗と浄土真宗本願寺派、公式の案内が示す回数と所作
喪家の宗派が分かったら、頼りになるのはその宗派の公式の案内です。浄土宗の「よくあるご質問」は、焼香の回数は厳密には決まっていないとしたうえで、1回から3回程行うと説明しています。葬儀や法要などで大勢が焼香するときは、心を込めて1回行うよう呼びかけています。
浄土宗の所作は、まず合掌してご本尊に礼をし、右手の親指と人差し指、中指の3本でお香をつまみます。つまんだ右手を仰向けて左手を下に添え、眉間の高さほどまでいただいてから香炉の炭の上にくべ、ふたたび合掌して礼をします。
名前の似た浄土真宗本願寺派は、「お香はおしいただかない」「回数は一回」と案内しています。お香をつまむ前に合掌礼拝する必要もないとしており、同じ焼香でも手の運びが異なります。

宗派が分からないときの手がかりになる、日蓮宗と天台宗の案内
喪家の宗派が分からないまま参列することもあります。日蓮宗の「仏教・仏事のQ&A」は、焼香の回数は宗派や地方によって様々で一概には言えないとしたうえで、日蓮宗では導師は3回、一般参列者は1回としています。周りの状況を判断し、大勢の場合は1回にするのが常識だという一文もあり、一番大事なのは何に対して香を捧げるのかを考え、心を込めることだと述べています。
天台宗のQ&Aは、葬儀や法事の参列者の心がけとして全体の進行を遅らせないことを挙げ、焼香に必要以上に時間をかけないことや、無用の譲り合いをしないことを例に示しています。
迷ったら、出かける前に喪家の宗派の案内を一度読む
浄土宗は大勢のときは心を込めて1回、浄土真宗本願寺派はおしいただかずに1回、日蓮宗は一般参列者なら1回。3つの宗派は、焼香の回数と所作をそれぞれ公式の案内で示しています。喪家の宗派が分かったら、出かける前にその宗派の案内を一度読んでおきましょう。当日、落ち着いて手を合わせる助けになります。
「家族葬で行います」と知らされたら。参列も香典も、案内の一文で決まる
