

家族に頼れないまま年を重ねる不安は、誰にでも起こり得ます。体調を崩した日に頼める相手が思い浮かばないとき、公の助けがどこまであるのかは見えにくいものですが、令和6年4月1日に孤独・孤立対策推進法が施行され、国と地方公共団体が何をするのかが条文に書かれました。孤独・孤立は、個人で抱える問題ではなく社会全体の課題として扱われています。
施行された法律が最初に置いた考え方
支援の中身を並べる前に、この法律は考え方から入っています。基本理念を定めた第2条は、孤独・孤立の状態が人生のあらゆる段階で誰にでも生じ得ることを踏まえ、社会のあらゆる分野で対策を進めることが重要だとしています。支援は当事者やその家族の立場に立ち、状況に応じて継続して行われること、本人の意向に沿って社会や他者とのつながりを取り戻せるようにすることも、理念として並びます。内閣府はこの法律を、基本理念と国などの責務、施策の基本となる事項、国と地方の推進体制を定めるものだと説明しています。
国と地方公共団体、地域協議会の役割
法律が役割を与えた相手は3つあります。国は基本理念にのっとって孤独・孤立対策の施策を作り、実施する責務を負います(第3条)。地方公共団体は、その区域内の状況に応じた施策を作り、実施する責務を負います(第4条)。内閣府に置かれた孤独・孤立対策推進本部は、対策の重点計画を作り、公表することになっています(第8条・第20条)。
地域で支援を動かす場として用意されたのが、孤独・孤立対策地域協議会です。地方公共団体は、支援に関わる機関や団体などで構成する協議会を置くよう努めるものとされています(第15条)。置いたときはその旨が公示されますが、置くかどうかは地方公共団体の判断に委ねられているため、住んでいる地域にあるとは限りません。

相談先を探すときの道すじ
法律は、国と地方公共団体が、当事者等からの相談に応じて必要な情報の提供や助言が行われるよう、施策を講ずるよう努めると定めています(第10条)。もっとも、相談窓口は分野やエリアに応じてさまざまで、自分に合う先を探せずに相談をあきらめてしまうことも起こり得ます。
入り口としてまず使えるのが、内閣府の「あなたはひとりじゃない」というサイトです。チャットボットから、自分に合った支援や相談窓口を探せます。住んでいる市区町村にも困りごとに応じた総合的な相談窓口があり、自治体独自の制度やサービス、民間の支援などの情報を持っています。
声を上げることは自分を守る行動
頼れる家族がいない不安は、ひとりで抱えるほど動きにくくなります。内閣府は、支援を求める声を上げることや人に頼ることは自分自身を守るために必要で、批判されるべきものではないとしています。困ってから慌てないために、元気なうちに内閣府のサイトで窓口を一度のぞいておきましょう。その一歩が、いざというときの距離を縮めます。
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