

独立して最初の仕事を、金額も納期も口約束のまま受けていませんか。フリーランスとして働き始めた人には、珍しくない場面です。ただ、2024年11月1日に施行されたフリーランス法は、発注する側に取引条件の明示を、従業員を使用する会社などには報酬の支払期日も義務づけました。取り決めがあいまいなまま進めていないか、受ける前に確かめてみませんか。
独立して初めての委託を、口約束のまま受けた30代の戸惑い
「金額も納期も、やりとりの中で何となく決まってしまって。」都内でウェブ制作を請け負う男性は、会社を辞めた直後をこう振り返ります。請求書を送ったあと、入金がいつになるのか分からないまま待つ日が続いたそうです。勤め先にいたころは、締め日も支払日も就業規則に書いてありました。独立してからは、その当たり前が見当たらなくなったといいます。
発注した側が示すべき事項は法律に並んでいる
正式名称を特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律といい、フリーランス法と呼ばれています。この法律は、業務委託をした事業者に対し、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、直ちに明示しなければならないと定めています(3条1項)。示す手段は書面か電磁的方法で、口頭のやりとりだけでは明示したことになりません。内容が定められないことに正当な理由がある事項だけは、定まったあとに直ちに明示するかたちが認められています。
明示を求められるのは、従業員を使う会社に限りません。この法律で業務委託事業者と呼ぶのは、フリーランスに業務委託をする事業者のことです(2条5項)。フリーランスが別のフリーランスへ仕事を回す場面も、示す側に回ります。
支払期日は、給付を受け取った日から起算して定める
報酬をいつ払うかにも線が引かれています。従業員を使用する個人や、役員が2人以上いるか従業員を使用する法人(法律は特定業務委託事業者と呼びます)が発注した場合、支払期日は、検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定めなければなりません(4条1項)。期日を定めないまま進んだときは、給付を受領した日が支払期日と定められたものとみなされます(4条2項)。他の事業者から受けた仕事を再委託した場合は、これとは別の定めが置かれています(4条3項)。
課される義務は、発注する側が特定業務委託事業者に当たるかどうかと、委託の期間によって変わります。

取り決めを抱え込まずに、決まった窓口へ
取り決めを書いたものが手元にないまま進むと、あとから確かめるすべがありません。この法律に違反する事実があるときは、取引適正化に関するものは公正取引委員会や中小企業庁長官へ、就業環境整備に関するものは厚生労働大臣へ申し出ることができます。申し出たことを理由に取引の数量を削減したり、取引を停止したりする不利益な取扱いは禁じられています(6条3項・17条3項)。弁護士に無料で相談できる窓口も、厚生労働省が案内しています。
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