

「入院するので保証人になってほしい」。親しい相手からそう頼まれると、断りづらさと不安が同時に来ます。保証人・身元保証人・緊急連絡先は響きが似ていますが、引き受ける中身はまるで違います。重さを決めるのは、署名欄に付いた名前ではなく、そこに書かれた約束の中身です。
入院の保証人を頼まれた50代会社員の迷い
「入院することになったから、保証人の欄に名前を書いてくれないか」。長年つきあいのある友人からそう電話を受けた50代の会社員は、その場で返事ができませんでした。断れば冷たいと思われそうですし、引き受ければ何を背負うのかが分かりません。
送られてきた病院の書類を開くと、署名欄の見出しは「身元保証人」で、別の欄には「緊急連絡先」とあります。同じ1枚に似た言葉が並び、どれがどこまでの約束なのかが読み取れません。迷いの正体は情の問題ではなく、言葉の整理がついていないことにあります。
名前が違えば、負う責任も違う

保証人は、本人が払わないときに代わりに払う責任を負います。これに「連帯」が付くと、債権者から先に請求されても本人に回してもらう主張ができなくなります。名前が1文字増えるだけで、立ち位置が本人と並びます。
紛らわしいのが身元保証人です。同じ名前の付いた法律に身元保証ニ関スル法律がありますが、こちらは雇った人の行為で会社が受けた損害を賠償する約束についての法律で、入院の場面を定めたものではありません。つまり中身は病院ごとの契約書しだいで、支払いだけを指すこともあれば、退院時の引き取りまで含むこともあります。
極度額(上限額)の書いていない保証の書面は効力を生じない
入院費のように、これからいくらになるか決まっていない支払いをまとめて保証する契約を根保証といいます。個人がこの保証人になる場合、民法465条の2は極度額(上限額)を定めなければ効力を生じないと定めています。極度額(上限額)の記載がない書面は、その保証自体が成り立ちません。
保証の約束はそもそも書面でしなければ効力を生じません。口約束は保証にならず、逆にいえば署名した書面に書かれたことが、そのまま引き受けた範囲になります。緊急連絡先の欄に名前を書いただけであれば、支払いの保証をしたことにはなりません。
保証人がいないことだけでは入院を断れない
引き受けを迷ったときに知っておきたいのは、断っても行き止まりにはならないことです。厚生労働省は2018年4月27日付の通知で、身元保証人等がいないことのみを理由に入院を拒否することは医師法19条1項に抵触する、と示しています。断るという答えも選べます。まず署名欄の名前ではなく、契約書の中身と極度額(上限額)の記載を読んでください。
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