

親にそろそろ返納をと切り出したいものの、何歳が目安なのかが分からず迷っている方は少なくありません。免許の返納は道路交通法では「申請による取消し」と呼ばれ、条文に年齢の要件はありません。では実際には何歳の人がどれだけ返しているのか。返すと何が変わるのかを、警察庁の統計と制度の決まりから解説します。
親の運転が気になり始めた50代会社員の迷い
「最近、親の運転に同乗していてヒヤリとすることが増えた」。地方で暮らす70代の親を持つ50代の会社員が、こう漏らすことがあります。車がないと買い物にも通院にも困る土地で、何歳になったら返すものなのか。切り出す前に、そこを知っておきたいところです。
統計にあるのは目安ではなく件数の内訳
まず制度の呼び名です。免許を受けている人は住所地の公安委員会に取消しを申請でき(道路交通法第104条の4)、これが一般に言う自主返納です。ただし、免許の停止や取消しの行政処分中の人などは返納できないと警察庁は案内しています。
では実際の年齢はどうか。警察庁の運転免許統計(令和7年版)では、令和7年中の申請取消件数は435,067件で、年齢層別の内訳は次のとおりです。

いずれも上の年齢を含む内数で、足し合わせることはできません。分かるのは返した人の分布までで、何歳で返すべきかを示す数字ではありません。
返納で変わるのは運転経歴証明書を持てること
免許をすべて返納した人と、更新を受けずに免許が失効した人は、運転経歴証明書の交付を申請できます。返納日や失効日の前5年間の運転の経歴を示す書面で、平成24年4月1日以降に交付されたものは、免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます。交付には手数料がかかります。
気をつけたいのが期限です。自主返納後または失効後5年以上が過ぎると交付を受けられず、交通違反などで免許取消しになった人も対象外です。令和7年3月24日からは、この経歴をマイナンバーカードへ記録する方法(マイナ経歴証明書)も始まりました。
返納した人向けの割引などの支援は自治体や事業者が地域の実情に応じて行うもので、内容も条件も提供元ごとに違います。
返すか続けるかの間にあるサポートカー限定免許
見落としやすいのが、返納と継続の二択の間にある選択肢です。申請すると、運転できる車を安全運転支援装置の付いた車に限る条件を免許に付けてもらえます。対象は衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置を備えた普通自動車に限られ、後付けの装置は対象外です。
条件を付けられるのは普通免許だけで、申請は免許証の更新申請と併せて行うこともできます。限定した車以外を運転すると免許条件違反になります。対象の車かは、車検証の車台番号を警察庁公表の一覧と照らして確かめます。
返す時期は年齢ではなく暮らし方で決まる
統計が示すのは返した人の年齢の分布までで、何歳で返すべきかという一律の目安はありません。決め手になるのは、運転する頻度、車がないときの移動の手立て、家族が手を貸せる範囲といった暮らし方です。返せば運転経歴証明書という身分証明の道が残り、続けるならサポートカーに限る形もあります。選べる形を知ったうえで、家族で一度話してみてください。
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