

離れて暮らす親の物忘れや足腰の衰えが気になり始めると、「要介護認定」という言葉が急に身近になります。認定は要支援1から要介護5まで7つの区分に分かれ、どの区分になるかで介護保険のサービスの枠が変わります。そして全国で一番多い区分は、最も重いところではありません。
離れて暮らす親の変化に気づいた40代会社員の迷い
「最近、実家に電話をかけるたびに、同じ話が増えている気がする」。離れて暮らす親を持つ40代の会社員には、そんな小さな変化が引っかかっています。会えるのは年に数回で、日ごろの様子までは分かりません。
介護への備えを考えたとき、最初に出てくる言葉が要介護認定です。ただ、要支援と要介護は何が違うのか、数字が大きいほど重いのか、初めての人にはすぐに分かりません。親がどの区分にあたりそうかを考える前に、まず物差しそのものを知る必要があります。
介護の手間で決まる、要支援1・2と要介護1~5
要介護認定は、介護保険のサービスを使う前提となる全国一律の判定です。区分は軽い順に要支援1・2、要介護1~5の7段階。市区町村の調査員による認定調査と主治医の意見書をもとに、介護認定審査会が審査して決まります。
区分を分ける物差しは、病気の重さではなく「介護の手間」です。介助にかかる時間を推計した「要介護認定等基準時間」などをもとに判定され、要支援1は25分以上32分未満、最も重い要介護5は110分以上が目安。この時間は判定のための推計値で、実際に家庭で介護にかける時間とは別のものです。要支援2と要介護1は同じ時間帯に収まり、心身の状態が安定しているかどうかなどで分かれます。
全認定者は約739万人。一番多いのは要介護1
厚生労働省「介護保険事業状況報告」の令和8年5月分(暫定値)によると、令和8年5月末現在の認定者は全国で約739万人。要支援と要介護を合わせた全認定者のうち、一番多いのは要介護1で、最も重い要介護5が最も少ない構成です。内訳は65歳以上が約726万人、40~64歳が約13万人。65歳以上は要介護状態になった原因を問わず対象になる一方、40~64歳(医療保険の加入者)は、脳血管疾患や関節リウマチなど政令で定める16の特定疾病が原因の場合に限られます。
区分ごとの人数と、自宅で暮らしながら使う居宅サービスの1か月の保険給付の上限(区分支給限度基準額)は次のとおりです。

限度額の範囲内で使えば自己負担は費用の1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)で、超えた分は全額自己負担です。ただし限度額は保険給付の枠で、何をどれだけ使うかは心身の状態や暮らし方に合わせて決めていくものです。
区分の意味を知っておけば、いざというときに慌てない
要介護認定は要支援1・2と要介護1~5の7区分で、一番多いのは要介護1。区分は病気の重さではなく介護の手間の物差しで、使えるサービスの枠も区分で変わります。離れて暮らす親の変化が気になったら、親が住む市区町村の窓口や地域包括支援センターなど、相談できる場所を知っておくことから始めてみましょう。
親の介護で辞める前に。介護休業は93日まで、給付は賃金の67パーセント相当
