
近年、住宅街などにおいて、子どもたちが道路で遊ぶことに大きな関心が寄せられており、「道路族」という言葉も広く浸透するようになりました。
この記事では、「道路族」が違法になる可能性や、子どもの遊び声に関するトラブルの対応策などを弁護士が解説します。

「道路族」の意味と背景
「道路族」とは、住宅街の道路上で大きな声を出しながら遊ぶ子どもと、その状況を手放しにしている親を批判的に指す言葉です。子どもが自由に遊ぶこと自体は否定すべきではありませんが、近年では、住宅の密集や住環境の変化などに伴い、トラブルにつながるケースが増え、社会的な問題となっています。
「道路族」問題は、単なる生活スタイルの問題ではなく、法律トラブルにも発展しかねない現代的な課題と言えます。
子どもの遊び声が違法になる境界
道路族に関して問題になりやすいのは、遊び声に関する騒音トラブルです。この点、子どもの遊び声が違法な騒音となるかどうかの基準は、明確には定められていないため、個別の事件に応じて判断されることになりますが、一般的には、「社会通念上許容される範囲か」「一般生活上受忍すべき限度を超えていないか」といった基準で判断することになります。
一例としては、以下のような場合に違法性が認められやすいでしょう。
早朝や深夜における大声、奇声がある
連日、長時間に渡り、住宅の間近で遊び声がある
叫び声やボールの音などが大きく、室内に響く状態である
度重なる注意にもかかわらず、継続的に大声を上げている
以上のように、時間帯や頻度、時間の長さ、音の大きさ、継続性といった事情が判断要素になりやすいところです。
違法性が認められやすいケース
道路族に関する騒音トラブルは、以下の事情が認められる場合にも、違法との判断がなされやすい傾向にあると考えられます。
■環境基準や法令の基準超過
環境省の定める環境基準や、個別の法律、条例で定められた基準を超過する場合、受忍限度を超えているとの判断がなされやすい
■被害者の健康被害
生活環境の悪化に伴い、被害者の心身に具体的な支障が生じた場合、損害の大きさに配慮した判断がなされやすい
■先住性
被害者側の居住開始が騒音の発生より先である場合、従前の環境を保護すべきとの判断がなされやすい
■公共性・公益性がない
保育園や公的な施設における遊びでなく、当事者の判断のみで遊んでいる場合には、子どもの環境を保つべきという公共性や公益性が小さいと判断されやすい
■他の騒音要因がない
交通騒音など、他に騒音の生じる原因がない場合、遊び声と被害との因果関係が強いと判断されやすい
道路族問題への対応策

道路族問題に直面した際、効果的な対応策として以下の方法が考えられます。
■直接の話し合いを試みる
可能であれば、まずは相手の親と話し合いをし、できるだけ円満に解決することが望ましいでしょう。
■要望を手紙にして投函する
直接の会話が難しい場合には、要望を手紙にして相手方に投函する方法も一案です。口頭でのやり取りが負担に感じられる場合にも有力でしょう。
■防音対策を図る
遊び声が一切なくなるという結果までは期待できない場合、音や遊び声を感じにくくするための防音対策を講じるのも有効な自衛策と言えます。
■警察に相談する
あまりに悪質と判断する場合には、警察に相談をして取り締まってもらうことを目指すのも選択肢の一つです。ただし、警察による解決を期待できない場合も多く、トラブルの深刻化を招きやすいため、最終手段と考えることをお勧めします。
訴えることの可否と方法
道路族の行為を法的に訴える場合、相手方に損害賠償を求めて民事上の請求をする方法と、犯罪に当たると主張して刑事処罰を求める方法が考えられます。
この点、民事上の請求は、道路族の行為が「不法行為」に当たることを根拠にしたものですが、不法行為に該当するには以下の点を明らかにする必要があります。
何をされたか
どんな被害を被ったか
された行為と被害に因果関係があるか
民事訴訟では、これらを証拠とともに丁寧に主張立証することが求められますが、主張が対立しやすい道路族のトラブルでは、容易でないことも多く見られます。
一方、刑事処罰の対象となる場合としては、交通の妨害になった場合に道路交通法違反、居宅を傷つけた場合に建造物損壊罪、といった例が挙げられます。もっとも、騒音問題などに直接対処するわけではないため、問題の根本的な解決につながるかは不明確になりやすいでしょう。
法的に訴える以外の手段がない、という状況の場合には、できる限り丁寧に根拠を集めた上で、民事上の請求を検討することが有力な手段と考えられます。
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