誕生から20年以上経過する交通系IC「Suica」、移動だけでみると熊本市の交通機関でSuicaが使えなくなったり、クレカのタッチが普及したりなどで、決して安泰ではありません。
とはいえ、依然として多くの人が利用しているキャッシュレスですので、グレードアップすることでさらに利便性が高まります。
今回は、そう遠くない未来に実現するSuicaのグレードアップを「移動」「決済」「生活」に分けて解説しましょう。
Suicaの移動が変わる
交通系ICと呼ばれるSuicaは本来、移動のためのキャッシュレスでした。
その根幹たるSuicaでの移動が、「センターサーバー化」によって変わります。
1.サブスクチケットの販売
≪画像元:JR東日本≫
現在のSuicaは、定期券と残高の利用のみと、極めて固定的にしか利用できません。
フリーきっぷや往復割引などのきっぷが販売されていますが、Suicaへの移行に伴って、これらのお得なきっぷは廃止される可能性があります。
その代わり、2028年度には新たな「Suicaアプリ(仮)」にて鉄道のサブスクチケットが発売となる予定です。
具体的には、毎月3,000円支払うことによって大宮駅(自宅起点)からどの駅へ行っても運賃が50%引きと(上限あり)いった具合です。
鉄道クーポンも配信されるとのことで、さらに便利でお得になりそうです。
2.タッチレス乗車が可能に
≪画像元:JR東日本≫
現在、駅の自動改札機や簡易改札機では、読取部分にSuicaをかざすことで入出場できる「タッチ&ゴー」です。
これですと、ラッシュ時などはタッチのために改札が混雑しますし、タッチし損ねて改札を通過できず後ろがつかえる、なんてこともありました。
今後は、改札機のある駅では改札内と改札外をセンターサーバーで認証して通過できる「ウォークスルー」が可能となる予定です。
改札機のない駅でも、位置情報などを利用してウォークスルー化が目指されます。
3.JR東日本全線でSuica利用が可能に
≪画像元:JR東日本≫
現在、JR東日本の路線の中にはSuicaが利用できない路線がいくつかあります。
栃木県内の烏山線もその1つで、宇都宮線→烏山線で移動するには、その分岐となる宝積寺駅でSuicaの精算などをしなければなりません。
また、普段は意識しませんが、Suicaのエリアは首都圏・新潟・仙台・盛岡・秋田・青森の6エリアありますが、「エリアまたぎ」ができません。
2025年春以降、Suicaエリアが野沢温泉・長野・松本にも拡大します。
今後はこれらのSuicaエリアが統合され、例えばSuicaで常磐線の上野~仙台を通しで利用できるようになります。
またSuica未導入エリアでも、2027年春頃にモバイルSuicaアプリで購入できる「スマホ定期券(仮)」を利用することでSuicaを利用可能となり、将来的には位置情報などを活用した改札の実現によりって全線でSuicaが利用できる予定です。
4.「Welcome Suica Mobile」が開始へ
≪画像元:JR東日本≫
現在、訪日外国人向けの「Welcome Suica」が販売されており、通常のSuicaと同じような使い方ができます。
しかし、購入できるのは日本入国後で販売個所も限られていて、貴重な日本滞在時間を損してしまいます。
JR東日本側としても、一時期発行を中止するほどの半導体不足が、完全に解決しているとも思えません。
そこで、2025年3月よりiOSで「Welcome Suica Mobile」が開始され、日本入国前から自身のスマホで発行・チャージなどが可能となります。
2026年春までには、新幹線乗車や在来線特急、普通列車グリーン車も利用可能となる予定です。
羽田や成田へ到着した訪日外国人も、これで空港からスムーズに移動できますね。
5.JR以外でもSuica定期券を提供へ
2024年11月、モバイルSuicaにて「東京モノレール区間のみの定期券(通勤定期券)」を新たに開始しました。
これと同様に、他の交通事業者への定期券発売も行い、2026年春頃には通勤だけでなく通学定期券の発売も行います。
Suicaの決済が変わる
移動だけでなく、買い物時の決済でもSuicaは大活躍しています。
かくいう筆者も、自動販売機や立ち食いそば、コンビニやスーパーなどでSuicaを利用しています。
そんなSuicaの決済も変わります。
1.コード決済で2万円超の決済が可能に
≪画像元:JR東日本≫
現在、Suicaの残高は2万円が上限ですが、筆者も正直なところ「これでは少ない」と思っていました。
移動ではさほど残高が減らないのですが、買い物では一気に数千円減ることもザラです。
2026年秋頃に予定されているモバイルSuicaアプリのリニューアルにより、2万円を超えるコード決済が可能となる予定です。
それ以外にも、残高を送ったりクーポンを発行したりできます。
2.後払いが可能に
≪画像元:JR東日本≫
現在のSuicaは事前にチャージすることで利用可能な「前払い」ですが、残高不足で改札を通れなかったり、チャージの手間が面倒だったりしますよね。
ビューカードならオートチャージ可能ですが、特定の交通事業者の改札を通過しないとオートチャージされません。
今後は、クレジットカードや銀行口座とSuicaを紐づけることによって、「後払い」が実現する予定です。
これなら改札もスムーズに通過でき、チャージする手間もありません。
Suicaで生活が変わる
新たなSuicaの活用方法もあります。
Suicaに蓄積されたビッグデータを使ったサービスです。
身近な交通系ICだからこそ、より身近なサービスにも利用できます。
1.「ご当地Suica」発行で地域の課題を解決
≪画像元:関東自動車・ジェイアールバス関東・宇都宮ライトレール≫
宇都宮市のLRTには、「totra」(トトラ)という交通系ICがあります。
Suicaの機能に加えて、交通ポイント制度・福祉サービスを利用できたり、関東自動車・ジェイアールバス関東・LRTの定期券を購入できたりします。
≪画像元:JR東日本≫
このような地域連携ICカードを、今後Suicaでは積極的に発行していきます。
ただしカードではなく「Suicaアプリ(仮)」をベースとして、マイナンバーカードと連携することで、地域が抱える様々な課題を解決していきます。
2.Suicaのデータ活用でかゆい所に手が届くサービスを
≪画像元:JR東日本≫
Suicaには、移動や買い物に伴う膨大なデータが蓄積されています。
現在は十分に活用できていないこれらのデータを、今後はサービス面で活用するでしょう。
例えば、Suicaで新幹線を利用すると到着時にタクシーが待っているよう配車手配をしたり、Suicaで鉄道に乗って帰宅すると帰るころにお風呂のお湯が沸いていたり、Suicaで食事をすると健康状態に合わせた食事のおすすめをしてくれたりなどです。
サービスを受けるにはスマホ・Suicaのアプリが必要
≪画像元:JR東日本≫
Suicaは移動や決済にとどまらず、様々なサービスに拡大します。
ただしそのサービスを利用するには、スマホとSuicaのアプリが必要です。
まだ利用していない方は、来るべき新時代に備えて早めに慣れておくといいでしょう。
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