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マイナ保険証の強制や義務化「予言の自己成就」に振り回されない!


2024年12月に健康保険証が廃止されるため、多くの人が急いでマイナ保険証を取得しています。しかし、実は健康保険証は廃止後1年間は使用でき、資格確認書という別の選択肢も存在します。マイナ保険証が強制や義務化されるという情報は誤解で、選択肢があることを知らない人が多く、政府の発表が遅れたために解除申請が増えない状況です。過去に誤情報が自己成就予言を引き起こした例もあり、適切な情報を元に行動することが重要です。

マイナ保険証の強制や義務化「予言の自己成就」に振り回されない!

マイナ保険証(健康保険証の利用登録を済ませたマイナンバーカード)に移行するため、政府は2024年12月2日に健康保険証を廃止したのです。

廃止日の直前にニュースサイトの記事を見たら、マイナンバーカードの取得や健康保険証の利用登録のために市役所を訪れる方が、急増していると記載されていました。

このように廃止日の直前に市役所を訪れて、マイナンバーカードの取得や健康保険証の利用登録を行った方は、2つの勘違いをしていると思います。

勘違い1:廃止日を過ぎると、健康保険証は使えない

廃止日から最長1年の経過措置期間が終わるまでは、健康保険証を使えるのです。

勘違い2:健康保険証が廃止された後は、マイナ保険証以外の選択肢はない

資格確認書という選択肢もあるのです。

2つの勘違いが生じた理由と推測するのは、マイナ保険証は実質的に強制や義務化という、SNSやニュースサイトなどに記載された情報です。

これが誤った情報と考える理由と、信じない方がいい理由は次のようになります。

2024年10月28日に開始した利用登録の解除申請

健康保険証が廃止された後の選択肢としては、マイナ保険証の他に資格確認書があります。

この資格確認書を医療機関の窓口に提示すると、健康保険証を提示した時と同じように、1~3割の自己負担で診療を受けられます。

資格確認書を入手するには、当初は申請が必要だったのですが、次のような方には申請なしで交付されるため、手元に届くのを待っていれば良いのです。

・マイナンバーカードを持っていないので、マイナ保険証を使えない方

・マイナンバーカードを持っていても、健康保険証の利用登録を行っていないため、マイナ保険証を使えない方

後者に記載した健康保険証の利用登録は、自治体の事務誤りで利用登録した場合などを除き、解除できないルールになっていたのです。

しかし2024年10月28日以降は、次のような保険者(公的医療保険の運営主体)に利用登録の解除を申請すると、特に制限なく解除できるようになりました。

【健康保険】全国健康保険協会、健康保険組合

【国民健康保険】自治体(申請の受付は市区町村)、国民健康保険組合

【後期高齢者医療】広域連合(申請の受付は市区町村)

そのためマイナ保険証を使いたくないのなら、利用登録を解除して資格確認書に切り替えられるので、マイナ保険証は実質的に強制や義務化というのは誤った情報なのです。

なおマイナポイントの第2弾が実施された時に、健康保険証の利用登録でポイントをもらった方が利用登録を解除しても、ポイントを返還する必要はありません。

健康保険証の利用登録と解除するための手段

健康保険証の利用登録を実施するため、市役所を訪れる方が急増していると記載された記事を紹介しましたが、市役所まで行かなくても手続きはできます

例えばセブンイレブンに設置されているセブン銀行のATMや、医療機関の窓口に設置されている顔認証付きカードリーダーです。

マイナンバーカードを使って、パソコンやスマホなどからマイナポータルにログインすると、利用登録の手続きや利用登録が済んでいるかの確認ができます。

一方で利用登録の解除については、一部の保険者ではマイナポータルから手続きができますが、基本的には書類を記入して保険者に提出する必要があるのです。

利用登録を解除するための手段が、利用登録する時の手段よりも少ない点に、不満を感じている方がいるようです。

書類の記入は難しいものではなく、郵送で書類の提出ができる場合が多いので、それほど負担にはならないと思います。

利用登録の解除申請が低迷している理由

マイナンバーカードの保有枚数(カードの交付枚数-死亡などで廃止されたカードの枚数)は、2024年11月末時点で約9,534万枚、人口に対する割合は約76.3%です。

マイナンバーカードを持っている方が、健康保険証の利用登録を実施している割合は、2024年10月末時点で82.0%です。

それにもかかわらずマイナ保険証の利用率は、2024年10月時点で15.67%に過ぎないため、かなり低迷しているのです。

マイナ保険証を使えるのに使っていない方は、健康保険証の方が良いと思っているはずなので、これと同じように使える資格確認書に対するニーズは高いと推測します。

しかし2024年10月28日に利用登録の解除申請が始まってから、同年11月8日までの申請件数は、全国で792件と発表されているため、こちらも低迷しているのです。

このように申請件数が低迷しているのは、マイナ保険証は実質的に強制や義務化を信じて、他に選択肢はないと思っている方が、意外に多いことを示していると推測します。

政府が解除申請の詳細を発表するのが遅くなり、2024年10月28日よりも後に受付を開始した保険者もあるので、792件というデータは参考にならないと思います。

誤った情報を信じて行動した時に起きる「予言の自己成就」

新型コロナの流行時にSNSなどで、「マスクとトイレットペーパーは原料が同じなので、マスクと同様にトイレットペーパーも品切れになる」という情報が拡散されました。

これは誤った情報であると共に、在庫は十分に確保されていたので、政府や業界団体は消費者に冷静な行動を呼びかけました。

しかし情報を信じた方が全国各地で買いだめに走ったため、トイレットペーパーは本当に品切れになったのです。

このように誤った情報でも、それを人々が信じて行動すると現実になることを、心理学では「予言の自己成就」と呼んでいます。

約50年前には「〇〇信用金庫が倒産する」という誤った情報が拡散して、預金の取り付け騒ぎが起こり、その信用金庫が本当に倒産の危機を迎えました。

トイレットペーパーに関しては不当に高い値段で販売されたり、すぐに必要としている方が入手できなかったりしたので、誤った情報は信じない方がいいのです。

マイナ保険証の強制や義務化で負担が増える

マイナ保険証は実質的に強制や義務化という情報も、上記のような理由で誤った情報ではないかと思います。

しかしマイナ保険証を使いたくない方も、強制や義務化を信じてマイナ保険証を使い始めると、「予言の自己成就」によって強制や義務化になる可能性があります。

実際のところ国民の大部分がマイナ保険証を使うようになると、反対する方が少なくなるので、政府はマイナ保険証の強制や義務化を実施しやすくなるのです。

これにより資格確認書が廃止されると、例えば高齢者施設はマイナ保険証を預かり、紛失しないように管理する必要があるので、資格確認書を預かるよりも負担が増えます

その他にも負担が増える方や困る方はいると推測されるので、マイナ保険証は実質的に強制や義務化を信じない方がいいのです。

また利用登録の解除を申請してから実際に解除されるまでに、現在は1~2か月くらいかかる点を考慮したうえで、解除申請の手続きを進めるべきだと思います。

間もなく開始のマイナ保険証 持っていない人の「資格確認書」、使えない時の「資格情報のお知らせ」について解説

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