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【基礎年金の底上げ案】内容や財源を考えると、国民年金の将来は…


2024年の社会保障審議会年金部会で国民年金(老齢基礎年金)の底上げ案が議論されました。この案では、厚生年金の余裕ある財源を活用し国民年金に回すことで、厚生年金のマクロ経済スライドを10年間延長し、国民年金を21年間短縮することが提案されています。これにより、老齢基礎年金の実質の目減りを抑え、現行制度より3割底上げが目指されます。しかし、国庫負担増加に対する具体的な財源案は示されておらず、将来的な消費税増税の可能性も指摘されています。この底上げ案は、個人事業主や低所得の会社員を支援する目的があり、将来の年金制度の安定に向けた重要な一歩とされています。

【基礎年金の底上げ案】内容や財源を考えると、国民年金の将来は…

国民年金の将来は…

2024年11月25日に第21回社会保障審議会年金部会が開催されました。

在職老齢年金の見直しなどが話し合われましたが、その中で、老齢基礎年金(国民年金)の底上げも議論されています。

底上げは悪い話ではありませんが、その内容や財源はどのようになっているのでしょうか。

老齢基礎年金(国民年金)の底上げの内容

公的年金制度の老齢給付はご存知の通り、国民年金(老齢基礎年金)をベースに、会社員・公務員の方は厚生年金(老齢厚生年金)も受給できます。

日本の公的年金制度は2階建て(企業年金も含めると3階建て)と言われています。

2024年の財政検証の中の一つに、もし今後経済が悪化し、経済成長率がマイナス0.7%に落ち込んだ場合には国民年金の積立金が2059年に枯渇すると記載されています。

厚生年金は、女性や高齢者の加入者増加により、国民年金と比べると財政は安定しています。

そこで、厚生年金の積立金を国民年金(老齢基礎年金)に回すという案が出されています。

マクロ経済スライド

具体的には、公的年金制度では「マクロ経済スライド」の制度があります。

現状では厚生年金はマクロ経済スライドを2026年度に終了することを想定している一方で、国民年金のマクロ経済スライドは2057年度まで続くことになります。

それぞれの終了期間を2036年度に統一させる案が出ています。

  • 厚生年金のマクロ経済スライドを10年間延長

  • 国民年金のマクロ経済スライドを21年間短縮

厚生年金の財政状況は余裕があるけど、年金額の削減期間を伸ばします。

その削減したものは財政状況が厳しい国民年金に回します。

の意味になります。

この案「マクロ経済スライドの調整期間の一致」は、財政検証(2024年)のオプション試算の内容に含まれていたものです。

マクロ経済スライドとは

平成16年の年金制度改正で導入されています。

賃金や物価の上昇などによる改定率から、現役世代の加入者(被保険者)数の減少や平均余命の伸びを勘案して算出した「スライド調整率」を差し引くことで、緩やかに公的年金の給付水準を調整する仕組みです。

<例>

・物価上昇率:+2% ・スライド調整率:~0.9% 

→公的年金の給付水準:+1.1%(+2%-0.9%)

影響や背景、今後考えられること

マクロ経済スライドの終了期間を2036年度に統一させることで、老齢基礎年金の実質の目減りは1割程度にとどまり、現行制度の見通しからは3割底上げとなります。

また、会社員や公務員の方は老齢厚生年金とともに老齢基礎年金も受給できます。そのことから、厚生年金受給者の99.9%は受給額全体が増えると示しています。

この底上げ案の背景としてあるのが、個人事業主(自営業・フリーランスなど)は国民年金のみの加入となっており、非正規雇用を含む低所得の会社員の方は国民年金の上乗せとなる厚生年金の年金額が少ない状況です。

将来、老齢基礎年金の大幅な減少により老後の生活への影響が大きくなることを少しでも防ぐ意味合いがあると言われています。

2009年度以降は基礎年金(国民年金)の国庫負担は2分の1となっています(以前は3分の1)。

2分の1への引き上げに必要な財源は、消費税を8%に増税した一部分が賄われています。

今回の底上げ案の導入について、国庫負担の増加については具体的な財源案は示されていません。今後、消費税の増税も検討される可能性もあります。

18.30%の厚生年金保険料(労使折半)、106万円の壁が登場しその対象者数の増加など厚生年金の加入者数を増加させ、その厚生年金の財源を国民年金に回すことは、厚生年金受給者の99.9%は受給額全体が増えると示されても思うところがあるでしょう。

言い換えると、国民年金の状況は将来的にかなり厳しい状況になってると言えます。

昨今は物価上昇に目が行きがちですが、今後の年金改革案についても注視しておく必要があります。

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