家族が高齢になり介護が必要になりそうな時や急に介護が始まった時に、介護にかかわる家族やその周りの人たちは、どう動くのがベストなのでしょうか。
介護は期間は決まっていませんが、やがて終わりがきます。
その時に、家族間で納得がいかない結果になってしまったり、金銭面のトラブルが生じてしまう場合もあります。
そういった介護トラブルを防ぐためには、介護を受ける本人と介護を行う家族の事前準備や情報収集が必要です。
今回は介護トラブルを防ぐために、介護が始まる前や始まったばかりの時に確認や決めておいた方が良いことをお伝えしていきます。
1. 本人と家族の話し合いで介護に対する意思確認
家族の誰かに介護が必要となった際に、本人や家族の介護に対する意識がバラバラだとうまくいきません。
介護の中心になる方や介護について意思決定権がある方の意見に合わせて介護を行っていくことはできますが、他の方たちの不満がどこかで出てきてしまいます。
本人や本人にかかわる人たちがすべて満足する介護を行うことは不可能ですが、納得した介護生活をおくる方法はあります。
それは介護が始まる前や始まったばかりの時に、本人と介護に関わる人達の介護に対する希望を伝えあうことです。
まだ心身の状態がどうなるのか分からないのに、いざという時はどうなっているのかなど検討もつかないので、今から話し合っても意味がないのではと思われるかもしれません。
しかし、
どういった介護は受けたくないのか
どこまでの援助が可能なのか
という、介護の方向性の根本的なところをすり合わせておくことで、介護が始まったとしても慌てず、後悔や介護にかかるお金への不満がでない介護生活ができます。
まだ早いと思うのではなく、家族が集まった際に介護についての意思確認を家族間で行うことをおすすめします。
2. 相談窓口の「地域包括支援センター」へ行く
介護が始まった際に困ることのひとつが、介護保険を使いたいがどうしたら良いか分からないというところです。
介護保険の手続きはどこでどうしたら良いのか分からないなどという、介護保険の利用の仕方についてではないでしょうか。
介護保険は公的な制度だから役所に行けばという考えも間違いではありませんが、おすすめなのは同じく無料で介護の相談ができる地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは地域包括ケアの実現に向けて、市区町村に設置されており、地域の高齢者の総合相談や介護予防に必要な援助などが受けられます。
その地域における高齢者に関するあらゆる事柄のエキスパートといえる機関です。
地域包括支援センターは、
介護保険の手続きや仕組み
地域の介護サービス事業所やボランティアなどにどのようなものがあるのかなど、
介護が始まる前や始まった際に知りたい情報を得ることができます。
介護保険や介護に関係のある地域の情報を知っておくだけでも、いざという時に慌てずに済みます。
地域包括支援センターでは、介護にかかる金銭面での不安なども相談することができます。
介護サービス事業所も1回あたりの費用が異なりますし、介護サービス事業所ではなく、ボランティアなどを活用できれば、費用をおさえることもできます。
介護にかかる費用についても事前にある程度分かっていれば、前もって準備や対策をとることもできます。
介護への事前準備や始まった介護をスムーズに続けていくためにも、お住まいの地域の地域包括センターの場所を調べて訪ねてみましょう。
3. 年金受給額や貯金などの定期収入金額を把握する
介護保険は公的制度ですが、介護サービスを利用するとお金がかかります。
介護サービスの利用で介護を行う方の負担は減りますが、介護にかけられるお金はそれぞれの家庭で異なりますので介護サービスの利用回数や内容も変わってきます。
将来的には施設入所を希望しているけれど、金銭的な援助ができないのでお金が心配と思っている方も多々います。
介護サービスや施設入所にかかるお金を知ることももちろん大切ですが、事前準備や介護が始まった際に、優先的に金銭面で確認しなければならないことは、介護を受けられる方の年金支給額や貯金、定期的な支出や収入があるかどうかです。
さらに一歩踏み込むならば、将来的に現金化できそうな資産があるかどうかも確認したい点です。
お金の流れや預貯金の把握で、1か月に介護にかけられるお金が分かります。
その金額が分かれば、1か月に使える介護サービスの内容や頻度も決まってきます。
お金の話は非常にデリケートな話題で、具体的な金額などを確認することが難しいという場合も多いものです。
しかし、事前に使える金額や介護が始まった時などで、まとまったお金がいるときに使えるお金があるかなどを確認できれば、スムーズに決めていくことができます。
差し迫った必要がある場合は別として、お金に関しての具体的な金額を1度に確認する必要はありません。
テレビで介護や老後のお金に関しての話題が出た時、一緒に預貯金の出し入れに行った際などに、徐々に確認していくのも良い方法です。
誰でもお金は無限に使えるものではありません。
本人や介護にかかわる人達が、納得できるお金の使い方ができるように、お金に関しての準備や確認を行いましょう。
介護がはじまって「すぐ」のタイミングが肝
介護が必要になると今までの生活がガラッと変わってしまうことがあります。
最初は本人も家族も対応に追われ、変化についていくので精一杯です。
今回ご紹介したポイントを確認しておくことで、介護が必要になる前や介護が始まってすぐに、急激な変化があっても、金銭面の問題や本人や介護にかかわる人たちの気持ちに沿った介護の方針などで、困ることが少なくなります。
少しでも安心して介護を行う為にも、事前準備や介護が始まってすぐの対応は重要です。
他にも、家庭の状況によってはキーパーソンは誰になるのか、誰がどのくらい協力できるのかなどを確認しておくと良い場合があります。
後悔や金銭トラブルなどを抱えないためにも、事前準備や介護が始まってすぐに対応する内容について準備をしておきましょう。