近年、認知症カフェなど、認知症の方やその家族を地域でささえる取組みが行われています。その中で、軽度認知障害(MCI)と言われる認知症と健常な状態との間位の認知障害である状態が注目されています。
MCIは、1年で1割程度の人が認知症に進行すると言われています。MCIから認知症への進行を予防する方法はあるのでしょうか。
今回は、無料でお手軽にできるMCIから認知症への進行を予防する方法などをお伝えします。
MCIと認知症の関係とは
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫
MCIと診断された方は、物忘れが多くなってきているが日々繰り返し行っている、家事や買い物や散歩などの日常生活で行うことは問題なくできると言った状態です。
反対に、新しい家電製品の操作や行ったことのないところへの外出は苦手になります。
日常生活のことも問題なく行うことはできますが、シャキシャキと行うことが難しくなっています。
MCIの方は1年で約5~15%の人が認知症になり、約16~41%の人は健常な状態に戻るという傾向が知られています。MCIの状態にとどまる方もいます。
MCIから認知症に進行しない為に適切な認知症予防の対策を早期から行っていくと、健常な状態に戻ることができたり、認知症への移行を遅らせることができる可能性があります。
近年では、地域で認知症の方をサポートしていく体制を作っていっている自治体もありますが、家族が行う介護がなくなるわけではありません。
認知症が進行し介護認定がおりると介護保険のサービスを利用することもできますが、認知症の方の生活すべてを介護保険のサービスでカバーすることは難しいという現状となっています。
また、介護保険での利用料は安価とはいえ、サービスを利用すれば利用するほどお金がかかってきます。
MCIから認知症への進行予防を行うことは、金銭面や家族の負担の軽減につながります。
では、具体的にどのようなことで、進行予防ができるのか見ていきます。
体を動かすことで進行予防!有効な運動法はコレ
認知症への進行予防として認められている方法のひとつに、運動があります。
運動の種類や頻度が、認知機能の低下予防に関係があります。
具体的にはどのような運動をどれくらいの頻度で行うと認知機能に良い変化をもたらすことができるのでしょうか。
MCI高齢者においては、ウォーキングなどの有酸素運動やスクワットなどの筋力トレーニング、バランス運動などを組み合わせた運動がもっとも効果的とされています。
運動頻度は、週3回以上の頻度で、半年以上続けると認知機能への効果があると認められています。
運動習慣がない方が急に、運動を始めるのはなかなかハードルが高いかもしれません。
まずは、無料でできるラジオ体操や地域で行われている運動教室に参加するなどして、始めやすく続けやすい運動から取り組んでみることです。
複数の運動を組み合わせた内容ではなく、ウォーキングなどの有酸素運動のみなど、単一の運動でも認知機能への効果があると分かっています。
自身の生活の中で、取り組みやすく続けやすい運動を探すつもりで、いろいろなことに挑戦してみるのも、日常生活の楽しみにつながります。
散歩仲間や運動教室の仲間を持つのも、運動へのモチベーションを保つ秘訣です。
進行予防には食事内容や食べる環境を変えること!
MCIの高齢者では、栄養不良の割合が多いことが報告されています。
認知症の進行を抑制する食べ物は、今のところ証明されていませんが、糖尿病や高血圧など生活習慣病が、認知症に悪影響を及ぼすことはわかっていますので、量・質ともにバランスのとれた食事をとることが望ましいです。
いろいろな食品を摂取している人ほど、認知機能低下が抑制されたという報告があります。
食事内容だけではなく食事を1人で取る孤食は、他の人と一緒に食事をとる共食よりも、認知機能の悪化に関係するとの報告もあります。
ひとり暮らしの方であれば、地域で行われている高齢者の為の料理教室や会食会、地域食堂など、共食ができる機会があれば、積極的に活用するのも良いです。
また、自分では作らないような料理を味わうこともできるため、いろいろな食品を摂取できます。
地域で行われている共食の場は、無料や非常に安価で行われていますので、ぜひ一度どこで行われているか等調べて、参加されることをおすすめします。
進行を予防していきましょう
MCIから認知症への進行予防は、運動にしても食事にしても効果のある内容を続けていくことが重要です。
間違った知識に振り回されるのではなく、科学的に裏付けのある内容を日々続けていくことが、認知症への進行予防につながります。
今回取り上げた運動や食事以外にも、外出して人と交流したり、頭を使うような活動も進行予防には有効です。
一度に進行予防対策のすべてを取り入れることは難しいので、まずは、取り入れやすい予防対策から始め、続けていくことを行ってみてください。