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老齢厚生年金保険を受給している夫が亡くなった場合、妻が遺族厚生年金を受給できるケース、できないケース


老齢厚生年金を受給している夫が亡くなった場合、妻が遺族厚生年金を受給できるかどうかは妻の年金受給状況に依存します。具体的には、妻が自身の老齢厚生年金を受給していない場合は、老齢基礎年金を受給していても、遺族厚生年金を受給できます。これは、自身の老齢基礎年金と遺族厚生年金が異なる支給事由に基づいているためです。対して、妻が自身の老齢厚生年金を受給している場合、原則として遺族厚生年金は受給できません。ただし、自分の老齢厚生年金の金額が低い場合は、その差額を遺族厚生年金として受給可能です。共に支給事由が異なる年金が併給できるケースがあり、年金額の比較が重要となります。

老齢厚生年金保険を受給している夫が亡くなった場合、妻が遺族厚生年金を受給できるケース、できないケース

老齢厚生年金とは、老齢基礎年金を受給できる方で厚生年金保険の被保険者期間がある方が、老齢基礎年金に上乗せして原則65歳から受給できる年金のことです。

この老齢厚生年金を受給している夫が亡くなった場合、妻の年金受給状況などにより遺族厚生年金を受給できるケース、できないケースがあります

今回は、老齢厚生年金保険を受給している夫が亡くなった場合、どのような場合に妻が遺族厚生年金を受給できるのか、できないのかについて解説していきます。

遺族厚生年金の受給対象者

遺族厚生年金は、要件を満たした方が亡くなった場合に、亡くなった方に生計を維持されていた一定の遺族が受給できる年金です。

その受給要件のひとつに、「老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡した場合」という要件があります。

そのため、老齢厚生年金保険を受給している方が亡くなった場合には、一定の遺族が遺族厚生年金を受給できることになります。

遺族厚生年金を受給できる一定の遺族は、優先順位の高い順に以下の遺族です。

・ 子のある配偶者

・ 18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子

子のない配偶者

子のない配偶者のうち30歳未満の妻は、5年間の有期年金です。

また、子のない夫は、55歳以上である場合に60歳から受給できます。

・ 55歳以上の父母

・ 18歳になった年度の3月31日までにある孫、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある孫

・ 55歳以上の祖父母

妻が遺族厚生年金を受給できるケース、できないケース

このように、老齢厚生年金保険を受給している方が亡くなった場合には、亡くなった方に生計を維持されていた妻は遺族厚生年金の受給要件を満たしています。

ただし、公的年金制度は1人1年金のため、原則支給事由が異なる複数の年金を受給することはできません。

そのため、ケースによって遺族厚生年金が受給できるケース、できないケースに分かれます。

(1) 妻が自分の老齢厚生年金を受給していないケース

妻が老齢厚生年金を受給していなければ、老齢基礎年金年金を受給していてもしていなくても、受給要件を満たしていれば遺族厚生年金を受給できます。

自分の老齢基礎年金と遺族厚生年金では、支給事由が異なりますが、このケースでは異なる年金を併給できることになっています。

遺族厚生年金の受給額は、亡くなった夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

(2) 妻が自分の老齢厚生年金を受給している場合

妻が自分の老齢厚生年金を受給している場合は、支給事由が異なる複数の年金を受給できないため、原則遺族厚生年金は受給できません。

ただし、自分の老齢厚生年金の受給額が、遺族厚生年金の金額よりも低い場合は、自分の老齢厚生年金に加えてその差額を遺族厚生年金として受給できます

すなわちこのケースでは、老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)と遺族厚生年金というような支給事由が異なる年金が併給できるのです。

老齢年金と併給できるケースがあるので注意

このように、老齢厚生年金保険を受給している夫が亡くなった場合、妻が遺族厚生年金を受給できるケースとできないケースがあります。

遺族厚生年金の受給額によっては、老齢年金と併給できるケースがありますので注意が必要です。

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