物価が上昇傾向にある昨今、自宅の価値がどれくらいあるか気になると思います。
時価額を正確に知りたい場合は不動産業者に聞く必要がありますが、概算であればご自身で確認することができますので、今回は自宅の価値をざっくり調べる方法をご紹介します。
建物は固定資産税評価額が目安
不動産の所有者に対しては毎年固定資産税が課されますが、建物の価値は市区町村から送付される固定資産税通知書に同封している、固定資産税の課税明細書で確認することができます。
固定資産税評価額は自治体が固定資産税を課すために設定しているものですが、固定資産税の課税明細書に記載されている評価額(価格)と時価に大きな隔たりはありません。
建物は老朽化の関係で、建築年数が経過するたびに価値が下がるため、基本的には建築した当初が最も価値が高いとされています。
土地は固定資産税評価額または路線価をベースに計算
土地の時価相当額は、固定資産税評価額または路線価を参考に計算します。
土地の固定資産税評価額は、課税明細書や固定資産評価証明書で確認することができます。
ただ土地の固定資産税評価額は建物と違い、時価の70%程度とされていますので、時価相当額を求める際は70%で割り戻してください。
<計算例>
700万円(固定資産税評価額)÷70%=1,000万円(時価相当額)
路線価は相続税や贈与税を計算する際に用いるもので、国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」で路線価を調べることができます。
<路線価図(一部抜粋)>
路線価は道路に1平方メートルあたり(1,000円単位)の金額が設定されており、評価対象の土地が接している路線価に面積を乗じることで、概算の路線価の評価額を算出できます。
路線価の評価額は時価の80%相当とされていますので、時価相当額を求める際は路線価の評価額を80%で割り戻してください。
<計算例>
10万円(1平方メートルあたりの路線価)×100平方メートル=1,000万円(路線価の評価額)
1,000万円÷80%=1,250万円(時価相当額)
ちなみに、相続税や贈与税の評価額を出すためには補正計算が別途必要になりますが、概算の評価額を確認するだけであれば、路線価に面積を乗じるだけで問題ありません。
マンションの価値を計算するのは難しい
戸建て住宅の場合、先にご紹介した方法で建物と土地の価値を算出できますが、マンションの価値はこれらの方法で求めることは難しいです。
マンションは、建築年数よりも立地条件の方が不動産価値に与える影響は大きく、人気のあるエリアのマンションは、相当年数経過している建物でも価値が上がることも珍しくありません。
マンションを購入した際には、土地の権利として敷地権を取得しますが、高層マンションほど敷地権の割合は小さくなります。
固定資産税評価額や路線価の評価額は面積の大きさが価値に直結するため、先ほどの評価方法で計算すると、マンションの価値は低く算出されやすいので注意してください。
不動産の取引価格は個別事情によって上下する
今回ご紹介した自宅の価値を求める方法はあくまでも目安となる金額なので、実際に不動産を売却する際の取引価格とは異なります。
同じ建築年数の建物でも、木造と鉄筋コンクリートでは老朽化具合は違いますし、リフォームの有無によっても取引価格は上下します。
土地の面積が同じでも、形状が違えば資産価値は変わりますし、接している道路の数が多ければ資産価値が高くなりやすいです。
また、不動産の取引価格は、売手と買手の立場や状況によっても変動します。
買手側がどうしてもその不動産が欲しいと思えば、取引価格は相場よりも高くなりますし、売手側の事情で1日でも早く不動産を手放したい事情があれば、取引価格は下がります。
ご自宅を売ることを検討している方は、今回ご紹介した方法を参考程度に留めていただき、実際の不動産価値については不動産仲介業者等にご確認ください。
税務調査に不服申立てで結果が覆る確率は〇〇% 元税務署員が解説