松井証券の日本株アプリに東証売買内訳データをもとに売買の手口、需給の分析が可能になる新機能が追加され、投資家を中心に大きな話題になっています。
今回はこの新機能について、FIRE投資家かつさんどが松井証券にインタビューしました。
東証売買内訳データの機能について「空売りの約定を当日中に把握できる」
かつさんど:2024年6月15日より、松井証券の日本株アプリ内の機能に 東証の売買内訳データが追加されました。売買内訳データの機能について概要を教えてください。
松井証券:売買内訳データの機能は、個別銘柄の出来高・売買代金の当日の売買の内訳について、「現物/信用新規/信用返済/空売り(機関投資家)」の区分で情報を提供します。
当日の売買の内訳を確認することで、個別銘柄の株価変動要因をより詳細に分析できます。これまで把握が困難だった機関投資家による空売りの約定を、当日中に把握することが可能となります。このデータについて当社のアプリでは、 ビジュアル化して表示ができますので、確認がしやすい特徴もあります。
また、ランキングについてもご用意しており、当日に信用残が急増した銘柄、 あるいは急減した銘柄といった形で、ランキングから銘柄を探すことも可能となっております。
売買内訳データの更新時間は?
かつさんど:売買内訳データの更新時間は決まっていますか?
松井証券:当日の18時半に更新開始し、遅くとも19時ぐらいには完了します。
会社員の方も帰宅後に売買内訳データを見て、当日のPTSで取引することも可能です。
売買内訳データを追加することとなった経緯
かつさんど:今までにない画期的な機能ですね。今回の機能を追加することとなった経緯を教えてください。
松井証券:株式投資関連の掲示板やX(旧Twitter)を参照した際、銘柄が動いた時に「空売り残高」や「空売り機関」という話がされているのをよく見かけました。ただ、このコメントやポストは色々な方が様々な考えでコメントされており、具体性に欠けるというか、確からしい情報が乏しいことが気になっていました。今回のデータを初めて知った時に、直感的に多くの方に喜んでいただけるデータで面白いものになりそうだなと思い、導入を決意しました。
あと、機関投資家側は自分の売り手口は知っている一方で、個人投資家の方はそれがわからないという情報の非対称性を少しでも解消したいという思いもあります。
売買内訳データはアプリをダウンロードすれば誰でも利用料金は無料
かつさんど:ありがとうございます。この売買内訳データは誰でも使用できますか?料金はかかりますか?
松井証券:松井証券に口座をお持ちの方でしたら、アプリをダウンロードいただくだけで、どなたでも無料でご利用いただけます。
かつさんど:データのソース元は東証から提供されているデータということでしょうか?
松井証券:はい、そうです。もう少し正確に言いますと、日本取引所グループ傘下のJPX総研が東証での取引データを集計しておりまして、これを活用しています。
売買内訳データの活用方法について
かつさんど:では、売買内訳データの活用方法についてお伺いしたいと思います。
一般的には、信用買い残が多いと将来の売り圧力 が高まり株価にはネガティブ、 一方、信用売り残の増加は将来の買い戻しがあるため株価にはポジティブと捉えられますが、具体的にデータの活用方法をお教えください。
松井証券: 今のお話は信用残に関してですが、信用残のデータ自体が受け手の方の取引のスタイルや読みの深さに依存する部分があって、PERやPBRのように何倍になったら割高や割安だと明確に分析できる指標ではないので難しい部分もあります。一番わかりやすいところで言うと、現物株式は長期的な資金という見方ができますし、信用は比較的短期で将来抜けやすいという形で見ることもできます。
あと、信用の残高が積み上がっている状況であれば、そこに反対売買がまとまった数量入ってきた時に、これまでのトレンドが転換する可能性があります。このようなところをこまめにチェックいただけると役立つデータという風に考えております。
上級者の方でアクティブにトレードされている方であれば、機関投資家の空売りが頻繁に入っているような銘柄は上値が抑えられる可能性があると捉えて、この空売りに乗ってもいいですし、 あるいは、機関投資家が入ってるので、それは触らないでおこうと判断することもできます。
かつさんど:信用残は株式相場の短期需給面のデータですので、デイトレーダーや短期のスイングトレードに向いていると考えますが、どのような投資スタイルの投資家が活用できるとお考えですか?
松井証券:おっしゃる通り、当初は、アクティブに取引される方をメインターゲットとして考えていました。
ただ、現物を買って長期投資するポジショントレードタイプの方が、このデータは活用できないのかというと、必ずしもそうではないと我々は考えております。
例えば、保有株が決算の前後で上下したり、決算発表後に急に値崩れする現象は結構あると思います。
何が起きたのかと色々なニュースを見ても何かが出てるわけではなく、決算も良いのにコンセンサスに届かなかったなど分かりにくい説明になっており、納得できない部分もあると思います。
そういう時に、このデータを見ると答えが出る可能性があります。
かつさんど:この機能では、機関投資家の空売り状況を約定ベースで表示できるというのが大きな特徴だと思いますが、この理解により具体的な利点を教えていただけますか?
松井証券:これまでも、空売りの残高情報は東証のオープンサイトで公開されていましたし、それを元に加工した情報を公表しているサイトもあります。
ただ、残高情報はあくまで当日の取引の最終結果であり、途中にどれだけ空売りがあったのかを把握することはできませんし、データ発表までにどうしてもタイムラグがあり、古い情報になってしまうということもありました。
当日の取引が終わり、すぐにデータが分かる点は投資判断に役立つと考えています。
新機能発表後のユーザーの反応、アプリのダウンロード数は?
かつさんど:この機能を発表した後のユーザーの反応について教えいただけますか?
松井証券:リリースを出したのが6月6日だったのですが、当日に著名な投資家の方に取り上げていただきまして、それをきっかけに多くの投資家にも広まったと認識しております。
また、実際に日本株アプリのダウンロード数も、アプリへの本機能搭載の前後で、ダウンロード数が1.5倍程度に増加しており、投資家の皆様から好評いただいていると思っています。
松井証券の日本株アプリの強みは
かつさんど:次に、松井証券の日本株アプリについて、他の証券会社の ツールやアプリと比較して優れている点を教えてください。
松井証券:基本的にはシンプルで見やすい画面という設計に大きなこだわりを持って取り組んでおります。
その上で、アプリとして基本的な機能が充実をしている点も挙げられます。
具体的には、入金から資産状況の確認、 あるいは銘柄の分析、発注といったところまで、基本的にアプリ1つで全て完結ができるというところが強みだと思っております。
さらに投資家の皆さまに喜んでいただける機能を充実させておりまして、具体的には、松井証券で口座をお持ちの方限定ですが、会社四季報の情報を無料で提供しています。
投資家の皆さまはかなり注目している情報であり、こちらも好評をいただいていると認識しております。
あとは銘柄探しにおいて様々な銘柄の切り口がありますが、例えば優待の内容であったりとか、投資のテーマ、あるいは業種といったところで、様々な観点からお好みの銘柄を探すことができるアプリ作りをしておりますので、 スクリーニングにより銘柄が探しやすいという点は強みだと思います。
読者へのメッセージ
かつさんど:では最後に「マネーの達人」読者や松井証券に口座開設を検討中の方にメッセージをお願いいたします。
松井証券:投資環境や、証券会社が提供している情報は、ダイレクトに投資結果に結びつくものになると思っております。
当社については、様々な観点からの投資情報の提供が非常に重要だと考えており、なかでもアプリの機能やタイムリーな動画コンテンツでの情報提供については力を入れています。
投資環境の充実度合いという観点は、投資証券会社選びにおいて重要かと思いますので、今まで松井証券に注目されていなかった方については、ぜひ一度口座開設をご検討いただけたらと思っております。
アプリのダウンロードについては、口座をお持ちでなくてもできます。
弊社自慢のアプリですので、ぜひ実際に触ってみていただいて、良さそうであれば口座開設をご検討いただけたらと思っております。
インタビュアーかつさんどの感想
今回お話しを聞く中で、この売買内訳データはデイトレやスイングトレードなどの短期売買はもちろん、中・長期目線での投資家の投資判断にも役立つ機能だと感じました。
新NISA制度が始まり投資人口が増加傾向にあり、取引においての公平性、透明性がより重要になってきている今、この新機能は市場の公平性に繋がる面も持っています。
一部の証券会社の手数料無料化でネット証券業界は競争が激しくなっていますが、手数料だけでなく、証券会社独自の投資環境や情報提供の観点で証券会社を選ぶことも大切だと思います。また、複数の証券会社の口座を持つことでリスク回避になる場合もありますので、まだ口座を開設していない方は松井証券の口座開設を検討してみてはいかがでしょう。