国民年金、厚生年金どの制度においても免除制度というものがあります。
免除制度とは端的には、本来払うべき保険料を一定期間に限って免除してもらう制度ということです。
当然、しかるべき期日までに支払った保険料は年金額に結びつくのは言うまでもありませんが、免除制度とは、実際にどのような効果があるのでしょうか。
今回は厚生年金、国民年金に存在する免除制度について、解説します。
国民年金の産前産後休業中の免除制度
2019年に制度が導入され、厚生年金と同様に産前産後期間中にある被保険者の保険料免除制度ですが、厚生年金同様に保険料を納付しなくても、保険料を納付した期間と同様の期間として扱われ、将来の年金額の減額がありません。
すなわち制度を活用したことによるデメリットはないと言うことになります。
厚生年金の産前産後休業中の免除制度
産前産後休業期間中の保険料の免除制度であり、国民年金同様に保険料を納付しなくても、保険料を納付した期間と同様の期間として扱われますので、将来の年金額の減額はありません。
またこの免除は健康保険についても同様で、かつ免除期間中においても被扶養者を含めて保険証を扱うことができますので、これまで通りに3割負担で医療機関での受診も可能です。
厚生年金の育児休業中の免除制度
前述の産前産後期間中の保険料の免除制度と同様に、育児休業期間中の保険料の免除制度ということです。
育児休業期間中の保険料免除制度についても、保険料を納付した期間と同様の期間として扱われますので、将来の年金額の減額はありません。
健康保険についても同様で、かつ免除期間中においても被扶養者を含めて保険証を使うことができますので、これまで通りに3割負担で医療機関での受診も可能です。
国民年金における他の免除制度
産前産後保険料免除制度以外にもいくつかの免除制度があります。
1つは収入が一定以下になり、保険料の継続的な納付が困難となったために、活用できる免除制度もあります。
しかし、前述までの免除制度とは異なり、これらの免除制度には一定の年金額の減額が発生します。
もちろん、将来的に追納などによって保険料を納付することで、年金額の減額を回避する事は可能です。
さまざまな生活環境の変化によって、一定期間保険料の継続的な納付が困難となる事は1度はあり得るでしょう (離職などの理由により)。
産前産後育児休業等は、子の誕生等がなければ発生しないため、極めて限定的ではあるものの、離職などについては、この誕生よりもより高頻度で訪れる可能性があり得ることから、おさえておきたい制度ではあります。
似て非なる制度
似て非なる制度として、以下のようなものがあります。
納付猶予制度(国民年金)
納付猶予制度については、一定期間、納付を免除する制度であることから、年金額には全く反映されることがありません。
もちろん将来的に保険料を納付することで年金額に反映させることも可能ですが、全部または一部反映される免除制度とは根本的に異なる制度ですので、注意が必要です。
学生納付特例(国民年金)
当該制度においては、学生である間、保険料の納付をしなくてもよい制度です。
学生の本文としても、やはり勉学が第一優先すべきであることから、国民年金の継続的な保険料の納付が困難である事は想像に難くありません。
この制度の注意点としては、他の制度と共通していることではありますが、学生だからといって自動的に制度の対象となるわけではなく、申請をしなければなりません。
申請をすることが最重要
これらの免除制度ですが、申請をすることが最重要な論点です。
産前産後や、育児休業、収入の低下などについては、行政が全てを把握しているわけではありませんので、可能な限り速やかに手続きをするようにしましょう。