相続税は相続人が取得した財産の割合に応じて納めることになりますが、遺産をどのように引き継ぐかは相続人間で話し合って決めます。
遺産分割協議がまとまらないと、相続税の申告書を未分割の状態で作成することになりますし、仲の良い家族であっても、相続で揉める可能性は十分あるので気を付けなければなりません。
本記事は、遺産分割で揉めやすいケースと対策方法について解説します。
相続財産の中で現金・預貯金の割合が低い
民法では、相続人の立場によって取得する割合(法定相続分)が定められており、相続人が配偶者と子2人の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子は各4分の1となります。
ただ相続人間で合意していれば、遺産をどのように分けたとしても問題ないため、配偶者など特定の相続人がすべての財産を相続することも可能です。
各相続人が相続する権利を主張するときは、法定相続分をベースに遺産分割するケースが多いですが、主な相続財産が現金や預貯金であれば各人が取得する金額を調整しやすいため、分け方を巡って争いになることは少ないです。
一方、現金・預貯金が少なく、主な相続財産が不動産の場合には、遺産を法定相続分で分けるのが難しいため、遺産分割のしかたを巡って相続人間で対立することがあります。
不動産は持分で相続することもできますが、共同で所有する不動産の使用・処分は所有者全員の同意が必要となるので、不動産の使い道まで話し合わないと相続後に揉めることになるので注意してください。
特定の相続人が財産を管理していた
同居親族が被相続人の財産を管理し、被相続人のお金で生活した場合、財産管理者がお金を散財するなどして遺産が減少し、問題となるケースがあります。
不動産の購入など、使ったお金が相続財産として残っていれば、その財産を各相続人で分けることが可能です。
しかし、旅行など形として残らないものにお金が使われていた場合、他の相続人から使い込んだ分のお金について問いただされるなど、相続トラブルに発展する可能性が高いです。
同居家族が適切に被相続人の財産を管理していたとしても、別居していた相続人は財産がどの程度あったかはわかりません。
そのため、相続財産が想像よりも少なかった場合、別居の相続人からお金の使い込みが疑われ、相続トラブルになってしまうこともあります。
相続人の家族が口を出す
仲が良い家庭でも相続トラブルが生じてしまう理由の1つに、相続人の配偶者や子が相続について意見を言うケースがあります。
相続人の配偶者や子からすれば、相続人が亡くなった際には相続人の財産を引き継ぐことになるため、少しでも多く遺産を取得することを望む方もいます。
相続人間の関係が不仲の場合、相続トラブルが発生する可能性は高いですが、事前にトラブルを回避する対策を講じやすいので、大きなトラブルになることなく遺産分割が完了することもあります。
一方で、相続人間の関係が良好の場合には相続トラブルが発生することを予期していませんので、一度話し合いがもつれてしまうと、まとまるまでに時間を要します。
生前からできる相続対策
家族が亡くなったことを想定して相続に関する話し合いをしたくない気持ちは理解できますが、相続トラブルを回避するためには、生前から対策することが重要です。
生前に相続人へ保有している財産の存在を伝えることで、財産の有無を巡っての争いは避けられますし、遺言書で財産を引き継いでもらいたい人を指定することもできます。
相続が発生するタイミングは誰にもわかりませんが、何もしないまま相続が発生した方がトラブルになりやすいため、財産目録を作成するなどの準備をすることで相続トラブルが発生するリスクを抑えてください。
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