本格的キャッシュレス時代においては、クレジットカードの役割は極めて重要です。
その重要なカード代金が、銀行の残高不足で引き落とされないと、なかなか大変なことになります。
この記事では、カード代金滞納で生じることや、予防策についてお伝えします。
社会に出て初めてカード決済を増やしている最中の方も、くれぐれも気をつけていただきたいものです。
カード引落しは最重要
最初にクイズです。
次のうち、誰がどの角度から見ても、明らかによくない行為はどれでしょうか。
1. クレジットカードで買い物すること
2. カード代金支払日に銀行の残高が不足していること
3. 公共料金を銀行引落しにしていて、支払日に銀行の残高が不足していること
4. 携帯電話の料金を銀行引落しにしていて、支払日に残高が不足していること
5. リボ払いをすること
6. カードローンで借り入れること
1は普通の行為です。
それ以外、2から6まで、すべて同列に「よくない」と考える人が多いかもしれません。
しかし、同列ではありません。
正解である、「絶対によくないこと」は、「2」です。これが圧倒的です。
それから4です。
4(携帯電話の料金滞納)のすべてが、2と同列によくない行為ではありません。ただ、スマートフォンの本体を分割で支払っていて、基本料金と合算して請求されている場合については、2とまったく同じです。
これは、信販会社のショッピングクレジットを組んでいるからです。
2と、4(のうち端末代金分割支払中)は、長引くと個人信用情報に記録されるため、他のものとはレベルが違う失策です。
3(公共料金を銀行引落し)の滞納はもちろん社会人としては失格ですが、これで電気ガス水道が止まることはあっても、信用情報には記録されません。
もちろんクレジットカード引落しにしている場合は2の問題です。
5(リボ払い)や5(カードローン)は、知識のない人にとっては2と同列に思えるでしょう。
心構えとしては、リボ払いやローンを使わない生活設計は重要です。
ですが、クレジットカードの滞納とは問題のレベルが数段違います。
クレジットカードの引落し日に残高が足りない場合、リボ払い(あとから)であらかじめ請求額を減らしたり、引落しの当日にカードローンで借りてきたりするのは、むしろ奨励されるべき行為です。
それをしないで、クレジットカードの信用を損なうほうがはるかに大問題です。
クレジットカードに引落しに間に合わないとどうなる?
クレジットカードの代金を、引落し日に支払えなかった場合、どうなるでしょう。
数日間の滞納の場合と、月をまたぐような長期の場合について見てみます。
なお、先に見た通り、携帯端末分割代金の支払遅れの場合もクレジットカードと同じ問題となります。
数日間の滞納
先に申し上げると、数日間程度の滞納が個人信用情報に記録され、他のカード会社や金融サービスすべてに筒抜けになってしまうことは、まずありません。
楽天カードなど、本来の引落し日(27日)に残高不足だった場合、再引落しがあります。
イオンカード(イオン銀行引落し)の場合も再引落しがあります。
気をつけたいのは、「再引落しに間に合えばセーフ」ではないということです。
再引落しに間に合っているなら、確かに信用情報に滞納の印がつくことはありません。
ただ、カード会社からの信用は確実に損ないます。
繰り返すと、今後限度額が増えないことなど考えられます。
多くのカードでは再度の引落しはなく、コンビニ払いや振込で支払う必要があります。
カード会社からの連絡を待っていないで、支払い遅れに気がついたら自分から連絡を取りましょう。
とにかく、うっかり支払遅れがあったら、信用情報にキズがつかないうちに行動しましょう。
長期の滞納
クレジットカードは数日間の滞納でも、使用不可となるのが普通です(支払後再び使えるようになる)。
これは、信用情報に滞納が記録されるかどうかとは別の話です。
さて、数日では支払いきれず、おおむね1か月を超える場合(日付も関係してくるので、日数だけでは判断できない)場合はおおむね信用情報に滞納が記録されます。こうなると「延滞」と表現するほうが妥当です。
この延滞の記録は、最低でも2年残ります。
最低でも、というのは、滞納した当のカードをその後も毎月使い続けていれば滞納記録が押し出され見えなくなるためです。
そのチャンスを与えられる前に、カード強制解約となる場合もあります。もちろん、代金支払は免除されません。
こうなるともはや、金融事故です。
1回だけならまだしも、数回繰り返すと間違いなくこうなります。
信用情報に明らかにキズのついた状態なので、他のカードについても強制解約が待っているでしょう。
こうなると完済から5年以上経って、事故記録が消えるまではクレジットカード、ローン等信用に基づく行為が一切できなくなります。
いわゆるブラックリストです。
数日間の滞納までは同情の余地もありますが、その後支払うための行動をしなかったのなら、やむを得ません。
クレジットカードの滞納を防ごう
クレジットカードの滞納から、社会的信用を失うことも珍しくありません。
支払日の残高不足を防ぐ方法を見ていきましょう。
残高不足を防ぐ方法 (1) 前払いキャッシュレス主体にする
キャッシュレスに反対する現金派の主張の中には「目に見えるお金だけ使うべき」というものがあります。
といって現金払いでは、キャッシュレスの大きな還元を逃します。
現金派の主張を一部取り入れ、デビットカードや、銀行チャージと組み合わせたQRコード決済等、前払いキャッシュレスを中心に使っていく方法は考えられます。
つまり、「カード支払日」を消滅させてしまえばいいのです。
カーライフ(ETC、ガソリンスタンド、カーシェア)やサブスクについてはクレジットカードなしでは対応しづらいものの、それ以外はおおむね前払いキャッシュレスで乗り切れますし、還元率も損だとも言えない時代になってきています。
残高不足を防ぐ方法 (2) あとからリボ払いにする
社会で糾弾されがちなリボ払いも、使い方次第です。
一回払いで決済したものを、後日リボ払いにすることは、ほとんどのクレジットカードで可能です。
「リボなんて絶対ダメ」という主張は理解はしますが、カード代金を払えないときには役に立たない主張です。
ただし、支払日直前のリボ払いはできないことが多いので、早めに気づいた場合のみ役に立ちます。
リボ払いを使ってしまったら、「返済が猶予された」と思わず、頑張って早めに返済しましょう。
これができない人が、リボ地獄に陥るのです。
残高不足を防ぐ方法 (3) 銀行口座にカードローン(自動融資)を設定する
ローン自体の利用に反対する人もいるわけですが、先に見た通りクレジットカードの滞納を防ぐためにカードローンを使う行為は、なにも間違ってはいません。
よくないのは、その後カードローンを返済できず、債務が膨らんでいくことです。
銀行カードローンは、残高不足の場合に自動融資してくれるものが多数あります。
あらかじめ申し込んでおきましょう。
失敗談:カードローンをセットしていたのに滞納
筆者にも失敗があります。
筆者は現在発行されているものでない、古いタイプの銀行カードローンを使っています。
これがあれば安心なはずでしたが、落とし穴がありました。
このローンの返済日が毎月10日です。そして、10日引落しのクレジットカードを滞納してしまったのです。
ローンの残高があったためです。10日にはまず、ローンへの返済が優先されるので、クレジットカードのための自動融資が行われなかったのでした。
これは、次の手段で防げました。
・あらかじめローン返済分をカードローンから追加で借り入れ、普通口座に入れておく
・また別口から借入れ、カードローン残高をゼロにする
ごく少額のことであり、多重債務や自転車操業といったレベルの話ではありません。ですが、少額でも問題になることがあるのです。
ちなみにその後クレジットカードはすぐ返済しています。振込みでした。
カードローンは、翌日に入金し、自動返済されました。
銀行カードローンのほうは、消費者金融と異なり1日の滞納でもキズになったかもしれません。現在は使い続けているので、この記録も消えているはずです。
なおカードローンをセットしておくメリットがひとつあります。
筆者の場合、クレジットカード支払当日であっても、時間を問わず入金すれば、支払い遅れになることはありません。
カードローンが、実際に使われなくてもバックアップしてくれているのです。
銀行口座に定期預金をセットする
借金の嫌いな人にぜひおすすめしたい方法です。
定期預金(積立でも可)を総合口座にセットしておけば、定期預金を担保に9割までは借入れられます。
新社会人など、10万円程度定期預金をしておくと、安心できるでしょう。
もっとも、定期預金の9割をいつも借りているような状態になると、残高が常にマイナスになり、結局意味がありません。
くれぐれも、普通預金の残高はプラスに戻しましょう。
この方法と、先に挙げた前払いキャッシュレスを組み合わせるのもおすすめです。
クレジットカードの代金支払は別格で重要
クレジットカードの代金支払は、最重要だということを見てきました。
スマートフォン端末の支払中の電話代も同様です。
信用で掛売りができるクレジットカードは便利なものですが、その分自分の支払える限界を超えてしまうこともあります。
不安な方には、前払いキャッシングへの切り替えや、定期預金の担保等を強くおすすめします。
それと当然ながら、使い過ぎはいけません。
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