ラグジュアリーカードは、アプラスが発行するハイグレードのクレジットカードです。
【三井住友カード】プラチナ・ゴールド・プライムゴールドの「年間利用ボーナス」が終了へ 他カードへの乗り換えも要検討
このラグジュアリーカードに、「デポジット」式が加わりました。
デポジット式クレジットカードとは、あらかじめ預け入れた資金がカード利用限度額になるタイプです。
これで次のとおり、実に不思議な現象が生じることになります。
ラグジュアリーカード…審査が厳しく、なかなか手に入れられない
デポジット式カード…基本誰でも審査に通る
この相反する2種類の要素を組み合わせたカードは、クレジットカード業界でどういう位置づけになるのでしょうか。
筆者は、このニュースを「クレジットカードのステータスの崩壊」と捉えました。
年収や信用状況に関係なく、お金を出せばその対価を得られる時代が来たといえそうです。
見てまいります。
ラグジュアリーカードにデポジット型登場
ラグジュアリーカードに新しいタイプが登場し、今後は次の2種類を選べるようになりました。
クレジットカード…従来型
デポジット型クレジットカード…事前に預け入れた保証金が、カード限度額となる
違いを見ていきます。
クレジットカード(従来型)
従来タイプのカードです。
個人の信用によってクレジット、つまり掛売り決済ができるわけです。
ラグジュアリーカードのようなグレードが高く、限度額が高いカードの場合特に審査が厳しくなります。
年収は当然、仕事の継続性も審査で見られます。
職種によっては、審査に通りにくいこともあります。
審査の厳しさは、持っている人にとっては誇りにもなります。
今回のデポジットタイプの登場で、誇りは多少損なわれるのではないでしょうか。審査に通るかわりに、お金を積んでいる人がまったく同じ券面を持っているわけです。
デポジット型クレジットカード
新たに加わったタイプです。
このタイプのカードホルダーは事前に保証金を預け入れ、これが信用に替わるものとなります。つまり、審査は必要がなく、ほぼなくなります(反社でないか、など多少はあります)。
預け入れた保証金の金額が限度額となり、この範囲で自由にカードを使えます。
カード利用代金が保証金から支払われるわけではありません。
ただカードの滞納があった場合、保証金が取り崩されます。
規約に従い強制退会させてしまえば、カード会社(アプラス)にはまったく損害がありません。
カード会社にはこのメリットがあり、そして利用者にも、厳しい審査を受けなくていいメリットがあるわけです。
保証金も、カードを解約すれば返ってくるので、持ち出しにはなりません。
前述の、従来型クレジットカードとの違いです。
キャッシング枠がない(実質審査していないため)
カード優待や、デザインには差がない
限度額を上げて欲しければ、保証金を積み増す(ラグジュアリーカードにはこの方法はないため、一度退会する必要がある)
「信用は足りないが、お金はある」
という人なら、デポジット式のラグジュアリーカードを持てるわけです。
そして、カード外観に差がない点を、メリットに感じる利用者もいるでしょう。
従来の「事前入金」とは違う
参照:Black Card I ラグジュアリーカードの事前入金サービスで限度額が最大9990万円に!
従来型のラグジュアリーカードには「事前入金」サービスがあります。
これは、高額商品を購入したい際に限度額をオーバーするため、あらかじめ入金によって、支払済みにする制度です。
アメックス(プロパー)でも、相談により利用できることがあります。
これは、今回のデポジットとはまったく違うものです。
デポジット型ラグジュアリーカードでは、事前入金はできません。
ラグジュアリーカードについて
ラグジュアリーカードの一般申込みができるラインナップは上から「ゴールド」「ブラック」「チタン」です。
最上級のゴールドは年会費22万円、チタンでも5万5,000円です。
さらにこの上に、招待制のブラックダイヤモンドもあります。
一般申込みのできるゴールド、ブラック、チタンについてはいずれもデポジットタイプが発行されます。
従来型でもデポジット型でも、還元率1.5%がラグジュアリーカードの特徴
です。
ハイグレードらしく、コンシェルジュサービスもあります。
ハイグレードと審査はどんどん無関係になっていく
プラチナカードの、「厳しい審査をくぐり抜け、選ばれたホルダーが誇りを持って使う」というイメージはすでに崩壊し掛けています。
今回のラグジュアリーカードはそのとどめという感がありますが、すでにこれ以前にもステータスの崩壊は見られていました。
プラチナカードもポイントの時代になってきた
プラチナデビットカードの登場
銀行系で、ステータスがあると語られることの多かった三井住友カードが、プラチナの主軸をポイント特化型の「プラチナリファード」に移しました。
現在、三井住友カードでプラチナを入手しようとすると、ごく普通にはこちらを案内されます。
ゴールドも、従来型でない「ゴールド(NL)」が圧倒的な人気を集めており、しかもこちらは年間100万円利用で年会費が永年無料となります。
それから、クレジットカード以外のプラチナです。
銀行が発行するプラチナデビットカードの性能が拡大してきました。
デビットカードは銀行預金の範囲内で使うものですから、審査はありません。
しかしプラチナクレジットカードに付いていたサービスの多くはそのまま付いています。年会費も低めです。
結局、リターンに見合うと考えた費用(年会費)を拠出すれば、サービスが得られる時代です。
冷静に考えると、正体のないステータスに一喜一憂していたひと昔まえのほうが異常に思えます。
デポジット型カードのイメージも様変わり
参照:ライフカード デポジット型ライフカード/Nexus Card デポジットタイプのショッピング専用クレジットカード誕生!
デポジット型のクレジットカードは、もともとは日陰の存在でした。
この例として「ライフカード(dp)」というクレジットカードがあります。
もっぱら、一般のライフカードの審査に落ちた人に対して、こちらなら発行可能ですと案内されています。
保証金とは別に年会費が5,500円もするところを見ると、今でもありますが、もともと本当にやむを得ずカードを求める人のための存在だったといえます。
その後、もう少し一般的な存在として世に出ているのがNexusカードです。
年会費は取りますが、1,375円とそれほど高額ではありません(別途発行手数料550円も)。
それでもなお、デポジットカードは例外的な存在でした。
今回のラグジュアリーカードにより、ハイグレードカードを入手する選択肢のひとつにまで成長したわけです。
過去の金融事故などでカードが作りにくい人も、狙っていいカードです。
誰でもハイグレードカードが得られる時代へ
デポジット式が登場し、誰でもラグジュアリーカードが作れる時代となりました。
こういう時代にすべきことはカード自慢ではなく、自らの使い方を振り返り、サービスに見合った年会費のカードを持つことではないでしょうか。
逆に対価に見合うと考えれば、年会費22万円のラグジュアリーゴールドをデポジット式で持つのもいいでしょう。