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遺族年金を廃止する改正案の正体と、廃止によって悪影響を受ける制度


遺族年金を廃止する改正案の正体と、廃止によって悪影響を受ける制度

日本の公的年金(老齢年齢、障害年金、遺族年金)は1階部分の基礎年金と、2階部分の報酬比例年金が支給される、2階建ての構造になっているのです。

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前者の基礎年金は所定の支給要件を満たすと、職業などを問わず国民年金から支給されます。

一方で後者の報酬比例年金は、会社員や公務員が加入する厚生年金保険に加入中の方(加入歴がある方)に、加入月数や給与の平均額に応じた金額が、厚生年金保険から支給されます。

例えば原則として65歳から支給される老齢年金は、1階部分が老齢基礎年金、2階部分が老齢厚生年金になります。

また死亡した時に支給される遺族年金は、1階部分が遺族基礎年金、2階部分が遺族厚生年金になります。

先日にSNSを見ていたら遺族年金、特に2階部分の遺族厚生年金を廃止する改正案があるという、驚くべき情報を見つけました。

そこでインターネットなどで調べてみたところ、SNSで話題になっている遺族年金を廃止する改正案の正体と、廃止によって悪影響を受ける制度は次のようになると思います。

廃止によって悪影響を受ける制度も

遺族厚生年金の支給要件(死亡した方)

遺族厚生年金は死亡した方が、次のいずれかに該当する時に、所定の遺族に厚生年金保険から支給されるのです。

(A) 厚生年金保険の加入中に死亡した時

(B) 厚生年金保険の加入中に初診日(初めて医師などの診療を受けた日)がある病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡した時

(C) 1級か2級の障害厚生年金を受給している方が死亡した時

(D) 老齢厚生年金の受給権者であった方や、受給資格を満たした方が死亡した時

以上のようになりますが、(A) と(B) は死亡した方が次のいずれかの、保険料の納付要件を満たす必要があります

・ 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの保険料を納付すべき期間のうち、3分の2以上が保険料の納付済期間や免除期間であること

・ 2026年3月末までの間に65歳未満で死亡した場合、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がないこと

一方で (D) は死亡した方の保険料の納付済期間や免除期間などの合計が、原則として25年以上という要件を満たす必要があります。

遺族厚生年金の支給要件(遺族)

遺族厚生年金を受給するには死亡した方だけでなく、所定の遺族も支給要件を満たす必要があります。

それは例えば死亡した当時に、その方に生計を維持されていたという生計維持の要件です。

基本的には死亡した方と生計を同一にして、遺族の恒常的な年収が850万円未満と認められる場合、生計維持の要件を満たします。

また遺族厚生年金の支給対象になる所定の遺族は、次のような範囲の方になりますが、複数いる場合には先順位者に支給されるのです。

(1) 子のある配偶者(妻は年齢要件なし、夫は死亡当時に55歳以上)

(2) 子

(3) 子のない配偶者(妻は年齢要件なし、夫は死亡当時に55歳以上)

(4) 父母

(5) 孫

(6) 祖父母

この中の子と孫は「18歳に到達した日以後の最初の3月31日までの間にある」、または「20歳未満で障害年金の等級が1級か2級」の、いずれかの要件を満たす必要があります。

一方で父母と祖父母は死亡当時に55歳以上という、年齢要件を満たす必要があります。

なお55歳以上の夫、父母、祖父母には60歳から遺族厚生年金が支給されますが、遺族基礎年金を合わせて受給できる夫には、55歳から60歳までの間にも支給されるのです。

遺族厚生年金に関する主な3つの改正案

社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)などで議論されている、遺族厚生年金に関する主な改正案は、次のような3つになるようです。

(1) 男女差の解消

遺族厚生年金を受給できる妻には年齢要件がないのに、夫には死亡当時に55歳以上という年齢要件があります。

こういった男女差を解消するため、夫の年齢要件を撤廃する、または妻にも年齢要件を設ける改正案があります。

(2) 有期給付の範囲の拡大

遺族厚生年金は再婚などの失権事由に該当しなければ、いつまでも受給できる無期給付になります。

しかし2004年に改正が実施され、夫の死亡当時に30歳未満で子がいない妻に関しては、5年の有期給付になったのです。

こういった有期化を更に進めて、有期給付の範囲を拡大していく改正案があります。

(3) 収入要件の見直し

遺族厚生年金を受給できる遺族には上記のように、恒常的な年収が850万円未満という収入要件があるのです。

この収入要件を撤廃して、死亡当時に生計を維持されていたか否かにかかわらず、遺族厚生年金を受給できるようにする改正案があります。

以上のようになりますが、これらの遺族厚生年金に関する主な改正案の中には、廃止という話は登場しないのです。

そのため遺族厚生年金を廃止する改正案があると主張する方は、有期化が極限まで進んで、誰もが数年しか受給できなくなった状態を、廃止と解釈した可能性があります。

実際のところ無期給付だと思っていた遺族厚生年金を、数年後に受給できなくなったとしたら、その方にとっては廃止と変わりがないと思います。

遺族厚生年金を廃止すると生活保護は悪影響を受ける

年金の月額が次のような金額の、夫婦共に65歳以上の世帯があったとします。

夫:老齢基礎年金6万円、老齢厚生年金8万円

妻:老齢基礎年金6万円、老齢厚生年金2万円

こういったケースで夫が死亡した時に妻が受給できる遺族厚生年金は、次のような二つを比較して金額が高い方になるため、6万円が目安になるのです。

・ 夫の老齢厚生年金の2分の1+妻の老齢厚生年金の2分の1=5万円

・ 夫の老齢厚生年金の4分の3=6万円

ただ妻が受給できるのは自分の老齢厚生年金との差額である、4万円(6万円-2万円)だけになるため、夫が死亡した後の年金の月額は次のようになります。

妻:老齢基礎年金6万円、老齢厚生年金2万円、遺族厚生年金4万円

受給している年金の合計が、年齢、地域、世帯人数などで算出した最低生活費を下回っている時には、年金受給者でも生活保護を受けられる場合があります。

近年の調査だと生活保護を受けている世帯は、半数超が高齢者世帯になりますが、遺族厚生年金が廃止になったら更に増える可能性があるのです。

こういった生活保護に対する悪影響から考えると、すぐに遺族厚生年金を廃止するのは難しいと思います。

また政府が遺族厚生年金を廃止するとしたら、厚生年金保険の適用を更に拡大して、女性が受給できる老齢厚生年金の底上げを図った後ではないかと思います。

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