大きな災害が起こると、一時的にATMやキャッシュレス決済が使えない事態が多発します。
また、自宅が火災に遭うなどして、現金や現金を引き出すために必要な通帳やキャッシュカード、銀行届出印を紛失する事態も多発します。
そのような緊急時でも、銀行で所定の手続きを行えば預金口座からの払い戻し(現金の引き出し)に応じてもらえます。
この記事では、
預金口座から現金を引き出す際に必要な持ち物
現金引き出し以外に必要な手続き
などについて詳しく説明します。
実店舗がある銀行では「本人確認書類」または「罹災証明書」の窓口持参で10万円まで払い戻し可能
災害で通帳やキャッシュカード、銀行届出印を紛失した場合、銀行は不正利用防止のために一時的に口座の利用を停止します。
しかし、口座名義人が本人確認書類(本人であることを確認できる書類)を窓口に持参すれば、災害支援法にもとづき預金残高の範囲内で預金口座から現金を引き出すことができます。(※)
※大半の銀行では引き出し可能な金額の上限を10万円としています。
また、銀行届出印を紛失した場合は、災害救助法にもとづき口座名義人の拇印が銀行の出金伝票に押す印鑑(届出印の印影)代わりとなります。
銀行で提示を求められる本人確認書類
・ 運転経歴証明書(2012年4月1日以降交付のもの)
・ パスポート(2020年2月3日以前に申請されたもの)
・ マイナンバーカード
・ 在留カード・特別永住者証明書
・ 官公庁が顔写真を貼付した各種福祉手帳(身体障害者手帳など)
・ 官公庁が顔写真貼付の上、発行・発給した書類
・ 健康保険証・年金手帳
・ 顔写真が貼付されていない各種福祉手帳(母子健康手帳など)
・ 銀行取引に使用する実印の印鑑登録証明書
・ 3に該当しない印鑑登録証明書
・ 住民票の写し・住民票の記載事項証明書
・ 戸籍謄本・抄本(戸籍の附票の写しが添付されているもの)
・ 官公庁が発行・発行した顔写真なしの書類
・ 旅券(パスポート)(2020年2月4日以降に申請されたもの)
災害時の現金引き出しで必要な本人確認書類は、銀行により異なるケースがあります。その点につきましては各銀行にお問い合わせください。
本人確認書類を用意できない場合はまず「罹災証明書」の発行を受ける
何らかの事情で本人確認書類を用意できない場合は、まずお住まいの市区町村から罹災証明書を発行してもらいましょう。
それを持参すれば預金口座から10万円を上限に現金を引き出せます。
損傷した紙幣を銀行に持ち込むと新しい紙幣に引き換えてもらえるケースも
災害時は手持ちの紙幣が損傷することもあります。
その場合は銀行の窓口に損傷した現金を持ち込みましょう。
損傷の度合いによっては全額または半額分の紙幣と引き換えてもらえます。
≪画像元:日本銀行高知支店~災害等における「金融上の措置」をご存知ですか?~(pdf)≫
紙幣が損傷してもダメ元で銀行に持ち込んでみましょう。
紛失した通帳、キャッシュカード再発行などの手続きも同時に行いたい
通帳、キャッシュカード、届出印を紛失すると口座が一時利用停止となります。
そのため、銀行で口座から現金を引き出す際には窓口で以下の手続きも行いたいところです。
・通帳、キャッシュカード=再発行の手続き(要本人確認書類+銀行届出印)
・届出印=届出印の変更手続き(要本人確認書類+新しい銀行届出印)
※手続きなどの詳細については各銀行にお問い合わせください。
インターネット専門銀行の預金口座から現金を引き出したい場合
インターネット専業銀行の場合、キャッシュカードが手もとにあれば災害時でもコンビニなどのATMで現金を引き出せます。
一方、キャッシュカードを紛失した場合は、各銀行のカスタマーセンターなどに連絡して本人確認を行います。
銀行が本人であることを確認すると、自分が所有する別の銀行の預金口座に10万円を上限としてお金を振り込んでもらえます。
万が一振込先銀行の通帳やキャッシュカードも紛失した場合は、振込先銀行の窓口に本人確認書類を持参して預金の払い戻し手続きを行いましょう。
※手続きなどの詳細については各銀行にお問い合わせください。
災害時に現金の引き出しに困ったらまず銀行に連絡を
以上で説明したものを用意して銀行の窓口に行けば、災害で通帳等を紛失した場合でも現金を自分の預金口座から引き出すことができます。
ただ、災害などの非常時は命を守ることに必死で、現金の引き出し方法など忘れてしまう人も多いと思われます。
それで困った場合は、自分の口座がある銀行に電話などで連絡して紛失したものを申告しましょう。
その上で、自分の預金口座からの払い戻し(現金引き出し)や、通帳・キャッシュカードの再発行、お届け印の変更手続きに必要なものを教えてもらいましょう。
その後は銀行から言われた「必要なもの」を用意して窓口に行き、銀行員の指示に従って手続きを行えばOKです。
各銀行では災害時に以下の相談にも応じています。
≪画像元:全国銀行協会リーフレット 自然災害で被災されたみなさまへ(pdf)≫
災害時に銀行との取引やお金について困ったことがあれば、ぜひ取引銀行に相談してみてください。
各銀行にも緊急時に現金を引き出すにはどうすれば良いのかを聞いてみました
各銀行に問い合わせし、緊急時に現金を引き出すにはどうすれば良いのかを聞いてきました。(順不同)
ソニー銀行の場合
■緊急時に現金を引き出しとなった場合の問い合わせ先
現金引き出しについてやその他、当社でのお取り引きに関してお困りの点などに関しては、カスタマーセンターにてご相談を承っております。
(カスタマーセンター)
尚、内閣府が公表している災害救助法が適用されている地域に居住などされているお客さまへ、
お問い合わせ先等を以下のようにご案内しております。
(災害に遭われたお客さまへ)
■問い合わせ方法
お電話もしくは、チャット・メールでのお問い合わせを承っております。
■キャッシュカードが紛失したときのお手続きに必要な物
紛失時のお手続きにご用意いただく物はございません。
カードを紛失された場合は、サービスサイトにログインいただき、「各種手続き」-「カード紛失のお届け」より紛失のお手続きを行っていただいております。
なお、災害に遭われてキャッシュカードを紛失された場合、カードの再発行手数料は無料となります。
上記カスタマーセンターまでご連絡いただき再発行を承っております。
また、紛失して不正利用に遭われた場合は、不正利用緊急ダイヤルにて年中無休24時間、お問い合わせの対応をしております。
「不正利用緊急ダイヤル(フリーダイヤル)0120-365-738」
セブン銀行の場合
■緊急時に現金を引き出しとなった場合の問い合わせ先
コンタクトセンターまでお問い合わせください。
※セブン銀行口座をお持ちの方が対象
■問い合わせ方法
お電話にてお問い合わせください。
オペレーター対応時間:日曜・祝日・年末年始を除く
月曜~土曜9:00~18:00
電話番号:0088-21-1189(通話料無料)
03-5610-7730(有料)
■現金を引き出したい際に必要なもの
本人確認書類が必要となります。
※補足:Myセブン銀行(スマートフォンアプリ)を使うと、スマホのみでATM入出金ができます。
スマホATM(セブン銀行口座)セブン銀行
三菱UFJ銀行の場合
■緊急時に現金を引き出したい際の問い合わせ先
お近くの支店、もしくは口座をお持ちの支店の窓口にお問い合わせ下さい。
■問い合わせ方法
お電話にてお問い合わせ下さい。
■現金を引き出したい際に必要なもの
災害救助法の適用地域で罹災したお客さまから緊急の生活必要資金として預金払戻の申出があった場合は、金融庁等からの要請に準じて対応させて頂いております。
お客さまの属性(法人、個人)や預金の種類、お客さまの状況によって、 手続は異なります。
詳細はお取引を予定している支店にお問い合わせ下さい。
参照:金融庁等からの要請
災害等に対する金融上の措置要請の一覧
auじぶん銀行の場合
■緊急時に現金を引き出したい際の問い合わせ先
auじぶん銀行お客さまセンターまでお問い合わせください。
電話番号:0120-926-111(携帯電話、スマートフォンからもご利用可能)
受付時間:全日9:00~17:00(12/31~1/3を除く)
■問い合わせ方法
災害によりキャッシュカードを紛失され、当行口座からの払戻しにお困りのお客さまには、お電話にてご本人さま確認のうえ、他行のご本人名義口座への振込みを無料にて承ります。
なお、振込金額は「預金口座残高」または「10万円」のいずれか小さいほうの金額を上限として受付いたします。
■現金を引き出したい際に必要なもの
お電話でご本人さま確認のうえ承りますので、ご用意頂く書類などはございません。
三井住友銀行の場合
■緊急時に現金を引き出したい際の問い合わせ先
国内各支店までお問い合わせください。
■問い合わせ方法
お電話または、ご来店ください。(ご来店時は事前にお電話いただけますと幸いです)
■現金を引き出したい際に必要なもの
運転免許証、マイナンバーカード等、ご本人さまであることを確認できる資料が必要となります。
※預金通帳、証書、お届けのご印鑑等を紛失された場合でも、別途ご本人さまであることを確認のうえ、窓口にてお手続きいただけます
災害に備えた現金の用意も忘れずに
災害時はキャッシュレス決済ができない、ATMで現金を引き出せないなどの困った事態が起こりやすくなります。
そんな時にあると役立つのが現金。
いつ来るかわからない災害に備えて、当面生活に必要な額の現金を用意しておきたいところです。
一般的には、災害で通帳等を紛失した人が口座から引き出せるお金の上限額(10万円)が目安となりますが、人によってはそれ以上必要かもしれません。
また、災害時は少額の支払いでおつりが出ないように小銭を用意しておくことも必要です。
それらのことを考慮に入れながら、我が家が災害時に必要となりそうな現金を紙幣や小銭で用意しておきましょう。