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往来の健康保険証廃止→マイナ保険証一本化で起きる2つの「2025年問題」とは?


往来の健康保険証廃止→マイナ保険証一本化で起きる2つの「2025年問題」とは?
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2024年は日本の公的医療保険(国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療制度など)にとって、大きな転換点になりそうです。

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その理由としては2024年12月2日に、従来の保険証が原則廃止され、マイナ保険証(保険証の登録を済ませたマイナンバーカード)に一本化される予定だからです。

厚生労働省によると国民全体のマイナ保険証の利用率は、2023年12月時点で4.29%にすぎないため、一本化できる状況とは思えません。

ただマイナンバーカードの保有枚数は、2024年1月31日時点で約9,168万枚(人口に対する割合は約73%)に達しているため、かなり普及しているのです。

また政府は2024年12月2日に向けて、マイナ保険証の利用率を高めるための政策を実施するはずなので、マイナ保険証の利用率は高まっていくと思います。

これによって当初の予定通りに、従来の保険証が原則廃止になった場合、次のような「新たな2025年問題」が起きる可能性があります。

健康保険証廃止→マイナ保険証一本化で起こる「2025年問題」とは?

マイナンバーカードと電子証明書には有効期限がある

各人の個人番号が記載されたマイナンバーカードと、この裏面のICチップに搭載された電子証明書には、次のような有効期限があるのです。

【マイナンバーカード】

発行日から10回目の誕生日(18歳未満の場合は5回目の誕生日)

【電子証明書(利用者証明用電子証明書、署名用電子証明書)】

年齢にかかわらず発行日から5回目の誕生日

前者のマイナンバーカードについては、パソコン、スマホ、郵送、街中の証明用写真機など、さまざまな手段で更新手続きができます。

一方で後者の電子証明書については、市区町村の窓口で更新手続きを実施する必要があります。

  • また電子証明書の暗証番号を忘れた時や、

  • この入力を連続3回(署名用電子証明書は5回)間違えてロックがかかった時は、

市区町村の窓口で初期化(再設定)の手続きを実施する必要があります。

このように電子証明書の手続きを実施する際は原則的に、市区町村の窓口に行く必要があるため、平日に仕事を休むのが難しい方は、家族などに代理人になってもらうのです。

なお署名用電子証明書の暗証番号については、利用者証明用電子証明書の暗証番号がわかっていれば、コンビニなどにあるキオスク端末で初期化(再設定)の手続きができます。

電子証明書の有効期限を迎える時に起きる「2025年問題」

マイナンバーカードが普及する最初のきっかけになったのは、新型コロナの影響を受けた家計を支援するために支給された、1人10万円の特別定額給付金です。

この特別定額給付金は2020年4月20日に支給が決定され、その後に申請の手続きが始まりました。

郵送でも手続きは可能だったのですが、マイナンバーカードを使った方が早く支給されたため、これが普及する最初のきっかけになったのです。

この時にマイナンバーカードを交付申請した方は、2025年に電子証明書の有効期限を迎える場合が多いのです。

また2025年に電子証明書の有効期限を迎える方が、市区町村の窓口に押し寄せることによって起きる問題を、個人的には「2025年問題」と呼んでいるのです。

特別定額給付金の手続きが始まった頃には、マイナンバーカードを交付申請する方、電子証明書の暗証番号を忘れた方、入力間違いでロックがかかった方などが、市区町村の窓口に押し寄せました。

これにより市区町村の窓口が混雑したり、システム障害が起きたりして、その日に手続きが終わらないなどの問題が発生したのです。

「2025年問題」として想定されるのは、このような問題になりますが、当時のような事態が起きない可能性もあります。

その理由としては市区町村のウェブサイトなどから予約しないと、電子証明書を更新できないようにした市区町村があるからです。

ただ予約が必要ということは、電子証明書の有効期限が切れているのに気が付き、急いで市区町村の窓口に向かっても、すぐに対応してくれない可能性があるため、良い面ばかりではありません。

一斉に更新をむかえることにより市町村の窓口が混雑する懸念あり

期限切れのマイナ保険証が引き起こす「新たな2025年問題」

病院などに設置されたカードリーダーにマイナ保険証を置き、オンライン資格確認を実施する際は、ICチップに搭載された利用者証明用電子証明書が使われます。

そのため利用者証明用電子証明書の有効期限が切れてしまった時は、マイナ保険証を使えなくなるため、いったんは医療費の10割を負担する場合があるのです。

もちろん後で医療費の7~9割は還付されますが、医療費の金額が多くなると、立て替えが大変になるのです。

現在でも利用者証明用電子証明書の有効期限が切れて、マイナ保険証を使えない場合がありますが、その代わりに従来の保険証を提示すれば、医療費の1~3割の自己負担で済みます。

しかし2024年12月2日に従来の保険証が原則廃止され、その後の猶予期間(最長で1年)を過ぎた後は、このような手段を使えなくなる可能性が高いのです。

また特別定額給付金のためにマイナンバーカードを交付申請した方は、2025年に利用者証明用電子証明書の有効期限を迎える場合が多いのですが、更新を忘れる方もいると思います。

そのため2025年の後半あたりから、いったんは医療費の10割を負担する事態が、全国各地で発生する可能性があるのです。

マイナ保険証を持っているのに期限切れで使えないため、このように医療費の10割を負担することを、個人的には「新たな2025年問題」と呼んでいるのです。

なお更新から24時間は電子証明書の機能が使えないため、有効期限が切れる前に更新を行った方も、同様の問題に直面する可能性があります。

マイナ保険証の期限切れで窓口で医療費10割負担する可能性も

マイナンバーカードは定期的に使った方が良い

電子証明書の有効期限を迎える方には、この3か月前くらいに地方公共団体情報システム機構から、有効期限通知書(青色の封筒)が送付されます。

そのため行政側から送られてくる書類を、きちんと確認するようにしておえば、電子証明書の有効期限が切れるのを防げると思います。

またマイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインすると、次のような用途でもマイナンバーカードを活用できるのです。

  • e-Taxでの確定申告

  • パスポートの新規申請、更新

  • 国民年金の資格取得(種別変更)の届出、保険料の免除申請

  • ねんきんネットとの連携による年金記録の確認、年金額の試算

  • 引っ越しの際の転出届の提出

いずれかの用途のためにマイナンバーカードを使っていると、この表面に記載された電子証明書の有効期限を確認する機会ができます。

そのためマイナンバーカードは定期的に使った方が良いのですが、使うために持ち歩く機会が増えると、紛失する可能性が高まるのです。

こういった点を心配する方は、スマホ用電子証明書(電子証明書の機能をスマホで使える制度)を活用して、マイナンバーカードを持ち歩く機会を減らした方が良いと思います。

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