金の価格は年々上昇しており、2023年には初めて1グラム1万円を超えました。
金を早めに購入した方は値上がり分だけ利益を得られていますが、金を売る際には所得税の対象となりますのでご注意ください。
本記事では、金の売却した際に課される税金と計算方法、そして手続きのしかたについて解説します。
金の売却益には税金が課される
ゴールドやプラチナなど金地金を売却した場合、総合譲渡所得として税金の計算を行います。
総合譲渡所得に対する税金は、給与所得など他の所得と金額を合算して算出することから、金の売却益以外の所得金額が大きい方ほど課される税金は重くなります。
ただし、税金の対象となるのは売却して利益が発生した部分ですので、売却して損が発生した際に譲渡所得税を支払うことにはなりません。
金の売却益が50万円以下なら非課税
金を処分した場合、売却金額から購入金額を差し引いた額が課税対象となりますが、総合譲渡所得には50万円の特別控除額があるので、利益が50万円以下なら税金は課されません。
売却益が50万円を超えた場合でも、金を保有していた期間が5年を超える「長期譲渡所得」に該当するときは、課税される譲渡所得が2分の1に圧縮されるため、売るタイミングによっても税の負担額は変わってきます。
<総合譲渡所得の計算式>
【短期譲渡所得】(所有期間5年以下)
売却価額̠-(取得価額 + 売却費用)-50万円(特別控除額)= 課税される譲渡所得
【長期譲渡所得】(所有期間5年超)
売却価額-(取得価額 + 売却費用)- 50万円(特別控除額)= 譲渡所得
譲渡所得 × 1/2 = 課税される譲渡所得
金の売却益が発生した場合には確定申告が必要
金の売却益は年末調整の対象外なので、税金の申告をするためには原則確定申告が必要です。
確定申告期間は翌年2月16日から3月15日までの1か月間で、納期限は申告期限と同じ3月15日です。
年末調整が完了している方については、勤務先からの給与以外の所得金額が20万円以下であれば申告しなくても問題ありません。
たとえば給与以外の所得が金の売却益のみで、売却益(長期譲渡所得)が90万円以内に収まる場合、給与所得以外の所得金額は20万円以下になります。
なお、医療費控除や寄付控除などを適用するために確定申告書を提出する際は、申告書に売却益の内容も記載しなければなりませんのでご注意ください。
税務署は金の売却情報を把握している
税務署はいろいろな手段で、税に関係する情報を集めています。
金地金の取引業者は、金の売却金額が200万円を超えた場合、売買情報をまとめた書類(法定調書)を税務署に提出することが義務付けられているため、売却益を申告していないと税務署から指摘される可能性があります。
税務調査で金の売却益の申告漏れが指摘されれば、本税だけでなく加算税・延滞税が賦課されてしまいますので、必要に応じて適宜確定申告を行ってください。