所得税の計算は、一緒に住んでいる家族であっても別々に行わなければいけませんが、生命保険料などについては、一定の条件を満たせば家族名義のものも所得控除の対象にすることができます。
そこで今回は、家族名義の保険料を控除対象にするための条件と手続き方法について解説します。
会社員に扶養されている方の年収目標は、2025年までは150万円になる
家族名義の契約に関する支払金額も所得控除の対象になる
所得控除は、給与や年金などの所得金額から差し引くことができる控除をいい、主な所得控除の種類としては配偶者控除や扶養控除、支払った保険料に応じて控除が可能となる社会保険料控除や生命保険料控除などがあります。
社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除の対象となるのは、原則申告する人(納税者)名義のものですが、納税者が配偶者など親族の保険料を代わりに支払っている場合、それらの支払金額も含めて所得控除の計算を行うことができます。
保険料は納税者が支払っていることが条件
生命保険料控除等の計算に含めることができる金額は、納税者が実際に支払っている金額に限られます。
たとえば妻が専業主婦で収入がゼロだとしても、保険料が妻名義の口座から引き落としになっている場合、保険料は妻が支払っていますので、夫の生命保険料控除の対象に含めることはできません。
そのため家族名義の保険料等を含めて計算する際は、誰が支払いを行っているかを確認し、納税者が支払っている保険料等をベースに控除額を算出してください。
生命保険料控除・地震保険料控除は勤務先の年末調整で適用することができる
会社員や公務員の場合、10月から12月くらいに年末調整が行われます。
年末調整は税金の過不足を精算する手続きをいい、以下の所得控除については年末調整で適用することができます。
<年末調整で適用可能な所得控除の種類>
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 社会保険料控除
- 障害者控除
- ひとり親控除
- 寡婦控除
- 勤労学生控除
生命保険料控除や地震保険料控除は年末調整で計算できるため、確定申告をしなくても税金の精算が行えます。
一方、寄附金控除や医療費控除、雑損控除は年末調整で適用することができないため、これらの所得控除を適用する際は確定申告が必要です。
確定申告で所得控除を適用することも可能
年末調整で所得控除を適用し忘れたとしても、確定申告で所得控除を受けることができます。
確定申告期間は、対象年分の翌年2月16日から3月15日までの1か月間ですが、還付申告であれば年明けから申告書を提出することが可能です。
申告期限を過ぎたとしても申告書を提出できますし、還付申告であれば期限後申告でもペナルティを受ける心配はありません。
ただし、確定申告書を提出できるのは5年と期限が限られていますので、過去の年分の所得控除を適用する際は、早めに手続きすることをオススメします。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
2023年10月施行の「インボイス制度」 一般消費者の生活に影響はあるのか