昨年から急進行した円安。
「悪い円安」などと多くのメディアで報道されていたことは、記憶に新しいのではないでしょうか。
今年に入って上下の動きは落ち着いてはいるものの、まだまだ1ドル140円を超える円安傾向が続いています。
併せてS&P500などの米国株式も高値付近を回復、上昇基調が続いております。
円安株高も相まって、これら外国株式ファンドを保有している多くの方が、含み益も過去最高レベルとなっているのではないでしょうか。
こんな時によぎるのが
「今のうちに利益確定した方が良いのでは?」
といった類の不安、疑問です。
確かに含み益が大きく出ている時点で売却、現金化してしまいたい気持ちはわかりますが、これはNG行動です。
今回は円安株高の今やってはいけないNG行動と題して、解説したいと思います。
含み益が大きくなっている今だからこそ冷静に、投資を始めた本来の目的に立ちかえる必要があります。
なお、本記事でいう投資は積立投資を指します。
米国株式や全世界株式などのインデックスファンドの積立投資、いわゆる長期投資を前提としておりますので、短期投資ではまた別の解釈が存在することはご承知おきください。
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1. 利益確定のための売却
大きく含み益が出ている間に売って利益確定したい気持ちはわかります。
投資とは、安く買って高く売るもの。
含み益が出ている時点の売却は一見すると理にかなっています。
「今のうちに売却しておいて、相場が下落したら再び買い直せば投資をやめることにはならないのでは?」
こんな考えが頭をよぎることもあるでしょう。
ですが、これができれば皆苦労しません。
プロでも株価の値動きは読めないもの。
ましてや一般投資家の私たちが株価の動きを当てることなんて、到底できないと考えるべきでしょう。
仮に今売却したとしても、底値を探っている間に再び株価上昇、買いタイミングを逃して結局高値で買ってしまうことになること間違いなしです。
また、買うタイミングを逃して結局買わなかった場合は、さらに最悪。
これから先に得られたであろう、大きな利益を逃してしまうことになります。
目先の小さな利益と引き換えに、です。
こんな時は、そもそも積立投資を始めた目的に立ちかえるべきです。
- 個別株取引のようなリスクの高い投資には手を出したくない
- 投資初心者でも再現性高く利益が出せる投資をしたい
- 投資の勉強に多くの時間を割けない
- NISAやiDeCoといった非課税口座を活用して投資したい
さまざまな目的、きっかけがあるとは思いますが、共通しているのは短期投資ではなく長期投資であるということです。
長い時間をかけてコツコツ積立を行い、安定性高く利益を出したいと考えたから、積立投資を選択したのではないでしょうか。
積立投資を売却して良いのは、
- 当初の目的を達成したときか、
- 想定外の入り用に直面し他では代替できないとき
です。
含み益が大きくなっているから売却するなんてことをしてしまうと、結果的に大きな利益を逃してしまうことになります。
積立投資で大きな利益を手にするためには、相場に居続けることが大切です。
詳しくは過去記事を参照ください。
2. 周りの流れに便乗する形での追加投資や積立停止
株価が上昇している時ほど、SNSをはじめとした周囲が騒がしくなります。
リセッション入りの懸念が強かった米国株式が予想に反して強い上昇を継続している今、最強米国株の人気が再び上昇しています。
併せて新興国株式も人気化しており、特にインドやベトナムといったアジア諸国への投資が注目を集めています。
もちろん自身で勉強し、確固たる自信を持って投資する分には全く問題ありませんが、流れに便乗するのは良くありません。
ひと昔前の例ですが、ビットコインの強烈な上昇相場は連日報道されていたので知っている方、もしくは実際に投資された人も多いでしょう。
人気化する前から投資していた人は大きな利益を手にすることができたようですが、周りに便乗する形で参入した人は大きな損失を被ることとなりました。
また、直近ではレバナス(NASDAQ100指数のレバレッジ型投資信託)もその急上昇と共に人気化しました。
レバレッジ型商品なので上昇し続ける相場においては価格も大きく上昇しますが、一度下落、もしくは横ばいが続くと損失も大きくなってしまいます。
こちらも周りに流された形で投資してしまった人は、損失を被る結果になったことでしょう。
米国株式でも全世界株式でも、ずっと綺麗に上昇し続けることはありません。
多くの方が経験済みかとは思いますが、上昇があれば下落もあります。
「この先急上昇確定!」なんてあおりを受けてもだまされてはいけません。
「米国株の地獄が到来!」なんてあおりを受けても、積立を止めるべきではありません。
この先株価がどう動くかなんて誰にもわかりません。
積立投資における正解は、株価が上がろうが下がろうが淡々と積立を継続すること。
これのみです。
3. 投資銘柄をひんぱんに変える
先の話に通じるところもありますが、投資銘柄をコロコロ変えることにも賛成できません。
さまざまなSNSで
- おすすめ米国株式ファンドはこれ!
- 全世界株式に投資したいならこのファンド!
などといった具体的な投資信託が推奨されています。
特に最近では新NISA開始を見据えて、各社信託報酬の値下げ合戦が熱を帯びています。
先月とは違う投資信託が手数料最安値にランキングされていることもしばしば、初心者にとっては何が正解かわからなくなるのも無理はありません。
ですが、1度投資した銘柄を変えることは、よほどの理由がない限りおすすめできません。
特に
- こちらの方が人気があるから・・・
- インフルエンサーが買い推奨していたから・・・
といった、自分主体ではない銘柄変更は、結局損失につながりかねない行為です。
将来的に推奨されるファンドが1つということは、ないでしょう。
その時その時で、1番人気のファンドは入れ替わるでしょうし、インフルエンサーが推すファンドも変わるでしょう。
それに応じてコロコロ銘柄を変更しては、長期投資ではなくなってしまいます。
そもそも投資のトレンドは数年おきに変わります。
1980年代は日本株がブームでしたし、2000年代は新興国株が人気化していました。
2010年代はご存じの通り米国株、特にGAFAMが世界を牽引していました。
では2020年代はどこが人気化するでしょうか。
それは誰にもわかりません。
間違いなく言えることは、これからもブームは一定期間ごとに入れ替わるでしょう。
投資で利益を出せる人は、トレンドではない時でも淡々と積立できる人です。
積立投資で1番大切なことは継続すること
気持ちが大きくなっている今だからこそ、注意が必要です。
改めて本来の目的に立ちかえり、冷静にそして愚直に継続する気持ちを再確認してください。
本来の目的を達成するまで、売ってはいけません。
暴騰が来ても、暴落が来ても、焦ってはいけません。
今の株価を気にすることなく淡々と続けること。
それが何よりも大切です。
今が高値に見えても、将来から見ると単なる通過点です。
今が底値に見えても、将来から見ると長期的な上昇過程のちょっとした誤差です。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)