路線価は、相続税や贈与税の計算で土地を評価する際に用いる価格であり、令和5年分の路線価は7月3日に公開されました。
路線価の価格は毎年によって変動し、価格が上昇すれば相続税や贈与税の納税額が増えることにつながります。
本記事では、令和5年分の路線価の特徴と、路線価図の見方について解説します。
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路線価とは
路線価は道路に1平方メートル当たりの価格が設定されており、評価対象地が接している路線価に面積を乗じることで、概算の土地の相続税(贈与税)評価額を計算することできます。
路線価が記載されている路線価図は、国税庁ホームページで公開されています。
GoogleやYahoo!などで「国税庁」と検索し、国税庁ホームページのトップ画面の下部にある「関連サイト」の『路線価図・評価倍率表』を選択してください。
国税庁ホームページには、過去7年の路線価が公表されていますので、相続税や贈与税を計算するだけでなく、所有している土地の価格推移を確認したいときに用いることもできます。
路線価の価格は時価の80%相当
路線価図はその年の1月1日時点の価値を評価したものであり、地価公示価格の80%相当が路線価の価格とされています。
地価公示価格は時価と同程度とされていますので、現在の土地の価値を知りたい場合には、接している路線価を0.8で割り戻すと、おおよその時価を把握することができます。
(公示価格の80%は目安であり、地域によって価格は異なります。)
相続税の節税で土地が利用されているのは 時価と路線価の価格差があることも要因です。
1億円の預金の相続税評価額は1億円ですが、預金を土地に替えると相続税評価額は8,000万円になりますので、財産の種類を変更するだけで相続税を節税することができます。
令和5年分の路線価は前年比で上昇傾向になる
令和5年分の路線価の価格は、令和4年分に比べて上昇傾向にあります。
路線価が下がった地域もありますが、都道府県別の最高路線価は、多くの場所で上昇しています。
最高路線価が最も上昇した都道府県庁所在都市は、岡山県の「北区本町市役所筋」で、前年比9.3%増です。
日本で最も路線価が高い地域は東京都の「中央区銀座5丁目 銀座中央通り 」で、1平方メートル当たり4,272万円、1坪に換算すると1.4億円を超えます。
参照:国税庁「令和5年分都道府県庁所在都市の最高路線価(pdf)」
路線価が設定されていない地域にある土地の評価方法
路線価は、すべての地域に設定されているわけではありません。
路線価が設定されていない地域にある土地については、倍率方式により評価額を計算します。
倍率方式は、固定資産税評価額に評価倍率を乗じて評価額を算出する方法で、評価倍率は国税庁ホームページの『路線価図・評価倍率表』で確認できます。
評価倍率は地域ごとに設定されており、宅地や畑など、土地の地目によって適用する倍率は違いますのでご注意ください。
固定資産税評価額は、評価対象地の所在する市区町村から毎年送られてくる、固定資産税の納付通知書に同封の「課税明細書」で確認できます。
路線価と同様、評価倍率も毎年変動しますので、倍率地域の土地の価値を知りたい方は、最新版の固定資産税評価額に評価倍率を乗じて評価額を算出してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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