老齢基礎年金とは、受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間)が10年以上ある場合に、原則65歳から受給できる国民年金の給付です。
この老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢年金は、60歳から65歳までの間に繰り上げて受給できます。
ただし、65歳から受給するよりも減額になります。
また、老齢年金は、66歳以降75歳までの間に繰り下げ受給をすることで、年金受給額を増やせます。
今回は、老齢基礎年金を60歳から繰上げ受給する方と、75歳から繰下げ受給する方とどのくらい年金受給額に差がでるのか分かりやすく解説していきます。
65歳になって年金の受給資格がない方が年金を受給するにはどうすればよい?
老齢年金の繰上げ受給
老齢年金は原則65歳から受給できますが、請求すれば60歳から65歳までの間に月単位で繰り上げて受給できます。
老齢年金を繰上げ受給することにより、60歳から65歳までの間に収入が減った場合でも、不足した生活費を補填できます。
しかし、老齢年金の繰上げ受給は、繰上げ請求をした時点に応じて年金額が減額され、減額率は一生変わりません。
老齢年金を繰上げ受給した場合の受給額は、以下の計算式で算出されます。
老齢年金の繰下げ受給
老齢年金の繰下げ受給とは、請求すれば66歳から75歳までの間に月単位で繰り下げて受給できる制度です。
老齢年金を繰下げ受給することにより、年金受給額を増やせます。
老齢年金の繰下げ受給は、繰下げ請求をした時点に応じて年金額が増額され、増額率は一生変わりません。
老齢基礎年金を60歳から繰上げ受給する場合と75歳から繰下げ受給する場合の比較
65歳からであれば老齢基礎年金を年額795,000円(令和5年度満額 新規裁定者)受給できる方が、60歳から繰上げ受給する場合と75歳から繰下げ受給する場合とを比較します。
0.4%×60か月=24%(減額率)
100%-24%=76%
795,000円×76%=604,200円(年額)
0.7%×120か月=84%(増額率)
100%+84%=184%
795,000円×184%=1,462,800円(年額)
老齢基礎年金を60歳から繰上げ受給する場合と75歳から繰下げ受給する場合では、受給額にかなりの金額の差があります。
しかし、老齢年金を75歳から繰下げ受給する場合は、65歳から75歳までの10年間老齢年金を受給できません。
人はいつ亡くなるかはわからないので、いつから老齢年金を受給するかは、よく検討する必要があります。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)
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