近年、空き家問題が起こっています。
現在住んでいる家がある場合、他の家を相続しても住めないので借り手がないと空き家として放置されます。
長期間空き家になると、放置された庭木が隣の家の迷惑にかけることや全く関係のない人が、勝手に入り込んでしまい、無断使用や不法占拠されてしまう可能性があります。
今回は、空き家を相続する場合に、注意したい点や管理方法などを紹介します。
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突然、空き家を相続する可能性
自身で空き家を持っていなくても、相続で所有者になる可能性もあります。
それを防ぐためには、空き家になる前に、誰に相続するかを決めておくことです。
空き家を相続する人が決まらなかったり複数人の相続人がいると、家を処分できないという場合も生じることがあります。
相続人がいざ家を処分しようと思っても、家の中に不用品があると処分できません。
空き家を相続する場合には、今後の空き家の管理方法を考え不用品などの片付けなどをしましょう。
相続人となった場合には近所の人などにあいさつし、何か異常があった場合に連絡をもらえるようにしておきましょう。
その他には、火事などに備えて火災保険に加入することも検討しましょう。
空き家をそのまま何もせずにいると荒れて家の劣化が進む原因になります。
荒れてしまった空き家をそのままにしておくと、隣近所に迷惑をかけてしまいます。
空き家を荒れたままにせず、自分たちでできる点検やポストの整理や換気、庭木の状態の確認をしていく必要があります。
空き家を放置していると損害賠償請求をされる可能性
相続した空き家をそのまま放置していると、倒壊し、隣の家を壊したり人をケガをさせてしまう原因になります。
その場合、損害賠償請求をされる可能性があります。
損害賠償の金額はそれぞれの被害状況によります。
【実例】
家の前を通っていた、11歳男児(小学6年生)に倒壊した家がぶつかり死亡事故。
慰謝料や葬儀費用、被害者が生きていれば得ることができたはずの収入に対する補償と合わせ約5,630万円。
倒壊した空き家が他人の家を壊した場合は、損害額が上がります。
【実例】
空き家が倒壊して隣の家が全壊。
そこに住んでいた夫婦と8歳の女児がなくなった。
物件損害等と人身損害として約2億860万円。
あってはならない事態ですが、起こってしまうと高額な損害賠償が発生します。
壊れた空き家の解体費なども発生します。
このような被害を出さないためにも空き家を管理していくことは必要です。
空き家を管理するには自分で点検や修繕を行っていく必要があります。
近ければ、頻回に行って、自分で点検や修繕できますが、遠い場合は自分が管理していくことが難しということになります。
遠方に住まわれている方や体力的に難しい方が、管理していく方法として、空き家の管理代行サービスの利用がおすすめです。
空き家の手入れをしないと損をする可能性があると認識してください。
参照:NPO法人 空家・空地管理センター 空き家問題について 放置空き家がもたらす被害
自分で空き家の管理ができない場合は『空き家の管理代行サービス』
空き家の管理ができない場合は、空き家の管理代行サービスを利用する方法があります。
管理代行サービスは、家の内外の確認や除草、簡単な室内清掃などを行います。空き家管理代行サービスを利用すれば、自分の時間を使うことなく、防犯や家の傷みを軽減することができます。
今回は、大和ハウスネクストとALSOKがともに行う空き家管理サービスのLivnessをご紹介します。
サービス内容は、機械での24時間監視、月に1回敷地内に入っての見回り、ポスト整理、通風・換気、簡易清掃、庭・庭木の確認です。その巡回結果のメール報告があります。
また、必要に応じての不動産活用コンサルティングを受けることができます。
戸建ての場合の1か月の料金は、税込み11,000円です。
ALSOKのホームセキュリティーにより、機械による24時間が行われる為、センサーが侵入者を感知すると、ALSOKのスタッフが駆けつけます。
Livnessを利用すると、空き家から遠い県に住んでいても、空き家の状態について安心して過ごすことができます。
しかし、庭木の手入れや家屋の修理などは行われないので、自身や他のサービスで行う必要があります。
日々の管理や見守りをお願いしていると考えておきましょう。
≪画像元:Livness お住まい管理 空き家管理サービス≫
大きな損害を防ぐ
空き家問題は、自分に関係ないと思っている方もいるかと思いますが、知らない間に会ったことのない遠い親戚の家などを相続していることもあります。
近所の人が空き家の伸び放題の庭木や空き家に巣くっている害虫や害獣に困っていても、近所の人は勝手に切ったり、駆除したりすることはできません。
忙しい中で、空き家を相続する前や相続した後に、いろいろと対応していくのは大変だと思いますが、空き家を放置していると、損害賠償を請求される事態になりかねません。
空き家を相続する前の話し合いを専門家や親戚としっかり行い、空き家に近い親戚や空き家管理代行サービスの力を借りながら空き家の管理をしていくことをおすすめします。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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