「教育費」と言っても、いろいろな項目があります。
入学金や授業料といった費用は、誰もが頭に浮かびやすいのですが、寄付などは入学してほっとひと安心しているころに郵送されてきたりもします。
そこで今回は、注目されにくい「寄付金や学校債」について調査してみました。
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寄付金と学校債の違い
学校債は、それほどなじみがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
寄付金は金銭や物品を贈ることであるのに対して、学校債は債券です。
学校から保護者に向けて依頼されるものは、無利子であることが多いのですが、有利子であれば利息も受け取れます。
寄付金と異なり、卒業時に償還されます。
どちらも目的は、教育や研究、運営資金に利用されることがほとんどです。
少子化により学校経営も厳しいなか、子どもたちによりよい教育を行うために使われるという趣旨は、よく理解できます。
ただ調べてみると、学校のホームページには「入学金・学費等一覧」には記載していないことも多く、別に掲載されていることが少なくありませんでした。
ベテランママなら、それらの費用を念頭に置くことは難しくないかもしれません。
しかし新人ママにとっては、寄付金や学校債は気が付きにくい費用です。
実情を把握しておきましょう。
現状は?東京都内私立中学校を調査結果
東京都が調査した「令和4年度 都内私立中学校学費一覧」から抜粋すると、「寄附学債」が有りとされている学校の一部は以下の通りです。
数えてみると49校もありました。
- 開智日本橋学園
- 慶應義塾中等部
- 東海大学付属高輪台高等学校中等部
- 目白研心
- 駿台学園
- 帝京大学
- 明治大学付属
- 中野八王子
- 中央大学附属など
参照:東京都「令和4年度 都内私立中学校学費一覧(pdf)」
どのくらい必要?
慶應義塾中等部、2023年募集要項を参考にしてみましょう。
- 寄付金(慶應義塾教育振興資金) 年額一口3万円
- 学校債(慶應義塾債) 一口10万円(慶應義塾離籍時に償還)
と書かれているものの、寄付金は「二口以上」学校債は「三口以上」の協力を依頼されています。
ほかにも、中等部には単独の教育充実資金として、寄付金の案内があります。
いずれにしても、「任意のもの」と但し書きはあるものの、
「教育充実のために使われるものであり多くの方にご協力をいただいています」
と表記されています。
少額とはいえない費用になりますので、注意が必要です。
負担を軽減するには
確定申告を行うことで、寄付金控除を受けることが可能となり、「税額控除制度」または「所得控除制度」と比較して有利なほうを選ぶことができます。
どちらを選択するかについては、文部科学省のこちらの資料を参考にしてください。
所得控除
各寄附者の所得に応じた税率を寄付金額に乗じて、控除額が決定されます。
≪画像元:文部科学省≫
税額控除
各寄附者の所得税率に関係なく、所得税額から直接寄附金額の一定割合が控除されます。
≪画像元:文部科学省≫
ただし、入学時の寄付金は、「学校の入学に係る寄付金」とみなされるため、寄付金控除の対象から除外されますのでご注意ください。
しかしながら、慶應義塾の教育振興資金等、一部の募金は入学した年内の寄付金であっても、寄付金控除の対象となるものもあるようです。
詳しくは学校にお問合せください。
玉川学園のように、寄付を行った方に対して返礼品を贈る学校もあります。
学校教育にどのように参加するのか?
寄付金や学校債は、「任意」でお願いされることが一般的です。
これから子どもがお世話になる身としては、余裕があれば「協力しよう!」と考える方がほとんどだとは思います。
とはいえ、特に学校債の負担は大きく、一口数十万円単位が多く見受けられました。
「支払ったから」といって他の教育費を削るわけにもいきませんし、個人的な考えですが、「寄付金や学校債が払いたくないから」と子どもの将来を変えるのも、何だか違うように感じます。
経済的な協力が難しければ、役員やボランティアなど、学校生活の中で保護者がお手伝いできる場面はあります。
どんな形で学校とともに教育に関わっていくか、これを機会に考えてみてください。(執筆者:FP2級 吉田 りょう)
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