令和5年度税制改正で、NISAの制度内容が大幅に変わることが決定しました。
制度変更はこれまで何度も行われていたのですが、今回の税制改正は制度を抜本的に変える次元の改正ですので、ポイントとなる新NISAの特徴をご紹介します。
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生まれ変わるNISAの特徴
新しいNISAは令和6年以降からの導入が予定されており、主な制度内容の変更点は次の通りです。
NISAの制度変更のポイント4つ
- 口座開設期間の恒久化
- 非課税保有期間の無期限化
- 年間投資枠の拡大
- 非課税保有限度額1,800万円
従来の非課税保有期間は「つみたてNISA」は20年、「一般NISA」は5年と非課税対象となる期間に制限がありました。
しかし、新NISAの保有期間は無期限となるため、売却しない限り非課税枠の中で運用し続けることができます。
投資枠は、
- 「つみたて投資枠」(年間120万円)と
- 「成長投資枠」(年間240万円)
に分かれているものの、併用適用が認められていますので、年間で最大年間360万円まで投資することが可能です。
NISAとして利用できる限度額についても1,800万円と、つみたてNISA(800万円)に比べて1,000万円も拡大していますので、以前よりも限度額を気にすることなく投資を行えます。
新NISAは投資額以上の節税効果を得られる
株式などの投資を行った場合、通常は売却した際に発生する運用益が譲渡所得税として課税対象となります。
90万円で購入した株式を100万円で売却すれば、利益10万円に対して20.315%の譲渡所得税が課されるのですが、NISA口座内で発生した売却益は非課税です。
従来のNISAは非課税保有期間に期限があったため、順調に資産運用できていたとしても、保有期間が満了するタイミングで計算上は損益を精算しなければなりませんでした。
しかし新NISAは非課税保有期間が無制限なので、数十年と運用することで数百万円から数千万円の利益を生み出すことも不可能ではありませんし、その利益を確定させても全額非課税です。
制度の恒久化で計画的に資産運用が可能になる
新NISAは制度が恒久化されますので、将来的に制度が廃止されない限り毎年NISAを利用できるようになりました。
1,800万円の上限はありますが、毎月5万円積み立てたとしても上限に達するまで30年かかりますので、貯蓄代わりとして利用することも可能です。
ただし、NISAは利益が発生した部分に対する課税が非課税になるだけで、運用損失が発生すれば資産を減らすことになるので注意してください。
NISA口座内で発生した譲渡損失は他の譲渡益と損益通算ができませんので、NISAを利用する場合には、投資対象とする金融商品選びがとても重要です。
新NISAは令和6年からスタートしますので、今のうちから金融商品について勉強するのもいいかもしれません。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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