主人公(作者と思われる)が、高額納税者として新聞に掲載されてしまったことが、事件の発端です。
今は、廃止されていますが、昔(2005年まで)は、あったこの制度おかげで、主人公(Mさんとします)が名実ともに売れっ子作家になったことが、世間に公表されてしまったのです。
令和6年4月1日から不動産の相続登記が義務化!罰則規定もあるので要注意
家を建てるということ
人気作家になったことを知った母から、「念願の持ち家」をおねだりされることから家族の関係に変化が生まれました。
Mさんの母は離婚されており、シングルマザーで、MさんとMさんの弟である二人を育ててこられたそうです。
Mさんが、その恩に報いたいとおもい、資金を提供することで話は進みます。
その際、弟さんというと一般の会社員であり、Mさんと同様に母に同額の資金提供するのは無理があったようです。
きょうだい格差
未成年の時、同じ境遇であった「きょうだい」が、成人後に格差が生じてしまうと、「わだかまり」がどうしてもできてしまうのは、自然なことかと思います。
同じ親に育てられ、同じ家に住み、同じものを食べていた者同士が、気づいたら、全然違う境遇になっているとしたら、一方に嫉妬の気持ちが生じ、お互いその気持ちを理解できず、きょうだい間がおかしくなってしまった…筆者も同様の事例をみてきました。
Mさんは、弟と絶縁したと書いています。
家の名義が共有でした
Mさんが母に家の建築資金をプレゼントしたつもりが、家の名義が弟と共有名義になっていたことが判明したとこから、姉弟の仲がおかしくなります。
そもそもプレゼントするのであれば、母名義の家になる訳です。
ところが、共有になってしまったのは、税金対策だった(私見)のだと思います。
Mさん自身、ひょっとしたら母に寄付することでMさん自身納税額が少なくなるかもと思われたかもしれません。
ところが、母にプレゼントすると、今度は、もらった側の母に贈与税がかかるのです。
エッセイの記事から推定した、7,500万円を仮に贈与したとして贈与税を計算すると約3,600万円の贈与税がかかります。
この贈与税を回避するには、家の名義はMさんにし、居住するのは、母とすればいいのです。
ただこの家には、母と弟が居住することになっていて、家の建築資金を弟も三分の一出すことで話が進んでいたようです。
その結果、姉と弟の共有名義の家になったようです。
節税できても共有は、争族の種に
その後、その家に住んでいないMさんに、弟は、合い鍵も渡してくれない、とのけんかが始まったのです。
「それなら、家の持ち分を買い取ってください」と弟にもちかけ、しぶしぶ売買成立したものの、弟とは絶縁することになったようです。
筆者は、弟の言い分を是非、聞いてみたいです。
きょうだいの共有は、絶対やってはいけません。では、親子はというと、これもいけません。
なぜなら、親が亡くなれば、相続で子にいつか渡り、単独名義になる可能性も高いのですが、子が複数いる場合、共有名義に入っていない子にしてみると、家の持ち分をもらってもしょうがないので、自分の相続分として、かわりに現金(代償金)がほしいと言ってくる可能性は高いし、公平の点でも当然のことです。
親子で共有にする場合は、代償金を覚悟しておいた方がいいです。
準備できないようであれば、共有はやめた方がいいです。
保険の解約も
Mさんは、加入していた生命保険を解約した経緯も書いていました。
保険には、死亡保険の受取人欄があり、通常相続人の誰かを記入するわけですが。
子供のいないMさんの場合、第一順位としては、母となりますが、母は先に亡くなっている可能性が高く、弟が受取人となる可能性があることに気づきます。
そこで、その可能性を切るため、その保険を解約したそうです。
姉と弟の関係が、税金対策のため(私見)、共有にしたばかりに残念なことが起きてしまったようです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)