2019年の10月1日から、生活必需品以外への消費税10パーセントが実施されました。
同じくして2019年10月から「年金生活者支援給付金制度」が始まりました。
これは、消費税の引き上げ分を活用して、年金やその他の所得が一定の金額以下の方に支給される制度です。
物価高が続く中、少しでも年金に上乗せする給付金があれば家計が助かるのではないでしょうか。
今回は、生活の助けになる「年金生活者支援給付金」についてみていきます。
国民年金保険料を40年間全額免除だった場合、老齢基礎年金をいくら受給できるか
年金生活者支援給付金の対象者とは
年金生活者支援給付金の対象となる年金は、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の3つです。
老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の年金によって、受けられる要件や受け取れる金額が異なります。
例:各年金で給付対象となる収入や所得
・ 老齢基礎年金…前年の公的年金収入とその他の所得との合計金額が88万1,200円以下
・ 障害基礎年金…前年の所得が、4,72万1,000円以下
・ 遺族基礎年金…前年の所得が、4,72万1,000円以下
老齢基礎年金の収入額に、障害年金や遺族年金等の非課税収入は含まれません。
障害基礎年金と遺族基礎年金の場合、障害年金や遺族年金等の非課税収入は前年の所得に含まれず、扶養親族などの人数に応じて、所得金額の上限があがります。
それぞれ1か月あたりの収入や所得に換算すると、老齢基礎年金は約7万3,433円、障害基礎年金・遺族基礎年金は約39万3,416円になります。
障害基礎年金と遺族基礎年金を受け取っている方には、年金収入だけではなく、働いて収入を得ている方もいるかと思います。
そのような方でも、働いて得た金額が一定以下である場合は、対象者になります。
ひと月あたりの金額が給付対象になる収入や所得より下がっており、1年間上がる見込みがない場合は、その次の年に年金生活者支援給付金の対象者になる可能性があります。
頭の片隅に置いておくことで、ある日突然届く給付金の書類や手続きに戸惑いません。
また、給付額は毎年度、物価変動による改定がありますので、物価が上がっても安心な制度であると言えます。
老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の支給要件
支給要件については、所得などの金額的な支給要件以外にも要件があります。
老齢基礎年金の場合は、
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税で、
- 65歳以上の老齢基礎年金受給者の方となります。
障害基礎年金と遺族基礎年金の場合は、シンプルにその基礎年金の受給者であることとなります。
障害基礎年金や遺族基礎年金では同一世帯の方の課税状況によらないため、自分の支給要件がそろえば受給することができます。
給付金を受け取るには
前年度の所得が下がり支給要件に当てはまった方には、日本年金機構から簡易な「年金生活者支援給付金請求書」が届きます。
請求書に、氏名などを記入し、返送すれば手続きは完了です。
1度受給手続きを行った方で、翌年以降も支給要件に当てはまる場合は、再度の手続きは必要ありません。
支給要件に当てはまらなくなった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
給付金の手続きで注意したい点は、
- 年金生活者支援給付金請求書を詐欺だと思い手続きをしていない、
- もしくは日本年金機構の職員などと名乗る不審な電話や訪問を受けているなどの問題が起きる可能性があることです。
身内に給付要件を満たしている方がいる場合は、1度本人に給付金を受け取れているか、年金関連で電話で口座番号や暗証番号を聞かれていないかを確認することをおすすめします。
参照:日本年金機構 簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ
受給要件にあてはまる場合は確認しよう
今回は、年金生活者支援給付金制度についてみてきました。
今は食品やガソリン代など価格が高くなり、支出が増えている時世です。
少しでも、収入が増える制度があることは、生活していく上の安心材料になります。
金銭的な余裕があると、本人もそうですが家族も精神的に追い詰められることなく、安定した生活を送ることができます。
受給要件に当てはまっている家族がいる場合は、ぜひ、本人に手続きをしているか、受けとっているかなどを確認してみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)