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【速報!銚子丸が決算発表】売上は感染症流行前の水準  「回転寿司終了」宣言後、店舗で感じた今後への期待


千葉・東京・埼玉・神奈川といった首都圏を中心として回転寿司大手の銚子丸は3月30日に、2023年5月期 第3四半期の発表を行なったので今回はその結果を見ていきたい。

銚子丸が決算発表

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銚子丸の回らないオペレーションを体感

3月6日に公式Twitterにて、「回転寿司終了」を発表。

実際にどのようにお寿司が提供されているか確認するために、筆者は早速、銚子丸に行き「回転寿司終了」後のオペレーションを体験してきた。

≪画像元:銚子丸公式Twitter

回転レーン

回転寿司でにぎわっていたレーンには今はもう一切何もなし。

ガラーンとしている。

レーンにお寿司はない

≪執筆者撮影≫

注文すると、注文したテーブルに品物が届く。

≪執筆者撮影≫

迷惑行為対策

回転寿司を襲った迷惑行為は、回転している寿司に対してだけではなく、スプーン、ガリ、ワサビなど様々なサービスに対しても行われた。

こちらに対しても対策がされていた。

今まではガリがテーブルごとに置かれており、利用客が好きな分量、自分で取るスタイルだったが、これも取りやめとなっていた。

お茶の粉末やガリを直食いする迷惑行為対策であろう。

全てタッチパネルで注文し必要なものが届けられる仕様となっていた。

これらはもちろん無料で届けられる。

テーブルにあったモノもタッチパネルで注文

≪執筆者撮影≫

迷惑行為対策

≪執筆者撮影≫

ワサビは大きな器から各自取っていたスタイルから、袋入りで他者と共有しないで使えるような仕様になっていた。

ワサビは個包装

≪執筆者撮影≫

決算書から業績、財務に与える影響を確認

これらのような運用変更はある程度のお金のかかることでもあるだろうと感じた。

実際にどのような決算を出したか、3月30日の日本マーケット終了後に発表した3Q決算から、業績や財務に対する影響を確認していきたい。

3Q決算

前年比で

・売上、営業利益は増収増益

・経常益、最終益、EPSは前年を大きく割り込む

3Q決算

≪画像元:株探

今期の着地見通し

前年からの成長を見ると、売上、営業利益の成長が目につくが、感染症が流行する前の2019年度の売上とほぼ同水準に戻っていることがわかる。

過去最高売上を記録した2016年と比べても、同水準に戻っていることがわかる。

利益については、感染症が流行する前の過去最高レベルと比べるとまだまだ差がある

今期の着地見通し

≪画像元:株探

上方修正も発表

従来予想を大幅に上回る増益修正。

理由として、

 

・行動制限緩和に伴う来店客数増加

・新規出店及び既存店の大規模改装、並びに各種販売促進施策等が奏功

 

とのこと。

これらの点は実際に店に足を運ぶと見て感じ取ることができた。

店内は客でいっぱい、そして、注文システムなどのDXへの取り組みも見て取れた。

上方修正も発表

≪画像元:株式会社銚子丸(pdf)

BS(貸借対照表)

資産が前年比横這い、負債はは若干少なくなっている

さらに細かく見てみると、流動資産、流動負債が減少しているのに対し固定資産、固定負債が増加

これは、出店や改装など、目先の業績を良くする事以上に、新たな接客スタイルに投資をしていることが理解できる。

BS(貸借対照表)

≪画像元:株式会社銚子丸(pdf)

PL(損益計算書)

前年同時期との比較をすると粗利率が昨年58.4%から、今回57.5%とほぼ横ばいではあるが若干下落

しかしながら、営業利益率は昨年1.1%に対し、今回3.3%と上昇しており、事業に対する工夫がされたのが分かる。

キャッシュフロー計算書(12月28日発表された上半期決算より)

投資キャッシュフローが△558,704千円となっている。

有形固定資産の取得が最も大きい数字の要因なのだが、この数字自体が良いも悪いもない。

発行済み株式数で割り算すると

1株あたりの資本的支出:40.79円

この数字が、1株利益:10.25円に対して、

あまりにもアンバランスではなかろうか、という不安が出る。

営業キャッシュフローは76,128千円であり、

営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引き算することで求められる、フリーキャッシュフローは大きなマイナスとなる。

数字だけ見ると良い印象とはならないだろう。

しかしながら、筆者は、このバランスが崩れる発表をすることは自明でありながらも大きな投資を行ったことは評価したい。

≪画像元:株式会社銚子丸(pdf)

結論:今後に大きな期待を持ちたい

最後に決算書を見ての考察をまとめたい。

経常利益、純利益、EPSでは前年割れとなっているが、トップラインである売上が感染症流行前に回復していることと、営業益の成長からは、今後に大きな期待を持てると考える。

財務諸表からは、目先の業績以上に今後の経営に対する投資意欲を感じることができた。

これは巷で話題になった、回転寿司をめぐる迷惑行為だけが理由ではないと筆者は考える。

回転寿司業界を廻った迷惑行為というのは、今に始まったことではないだろう。

SNS隆盛であるこの時代、ちょっとしたイタズラがSNSでの炎上を生み、会社として大きな損失を招く事実を目の当たりにした。

回転寿司各社は迷惑行為対策をせざるを得なくなっており、その対応をどのようにするかは各社まちまちの判断と施策であり注目されている。

ちょっとした迷惑行為でそのチャンスを台無しにするリスクも隣り合わせなのが飲食業界の宿命となっている。

しかし評判の良いコメントもSNSを通してたくさん受けることができる。

有名人からの好評コメントを受ければ、広告費換算したら多額のPR効果と同等となるだろう。

キャッシュフロー計算書から感じること

銚子丸のキャッシュフロー計算書を確認すると、あまりにもバランスの崩れた投資キャッシュフローが確認できる。

利益に対しても、営業キャッシュフローに対しても、一見「大丈夫か?」と思わせるような内容であるが、同社は新規出店や既存店の改装など、多額の投資の発生を行っている。

これは、上方修正の理由でも同社が発表しているが、行動制限緩和により客足がどんどん戻ってきていることが理由だろう。

今後もまだまだ外国人など多くの人が日本に押し寄せることは確実であり、その中で日本の名物の代表格である「寿司」は、客足増加実現の大チャンスが目の前に転がっていると考える。

積極的・振り切っているを通り越し、「やりすぎ」レベルともいえる投資CFのバランスは、その大チャンスをモノにするための施策と言えるだろう。

今、飲食業界にとって、最もレバレッジをかけて業績に跳ね返ってくることが、「清潔、かつ、できたてを食べて頂く」という顧客の満足感、安心感であることを銚子丸は理解していると筆者は考える。

ライバルの回転寿司各社が格安路線を引く中で、味や素材にこだわる銚子丸ならではの姿勢にも見える。

今後の銚子丸の業績に期待したい。(株-1グランプリ優勝者 古賀真人)

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